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週刊 調査士日報

お時間のある方は『第1回 不動産表示登記ってなに?』からご覧ください。

第35回 具体例【法務局にある地積測量図と現地のブロック塀の位置が合わない土地】

2005-09-14 | 具体例

今日はいきなり本題に入ります。
土地を分筆したいとの依頼を受けて法務局で調査したところ、昭和44年にその土地の一部を分筆した地積測量図がありました。先週も書いたとおり、ひとくちに地積測量図といってもその精度は様々です。が、寸法が書いてあって面積を計算した測量図のある土地は、あくまでその図面が境界を確定する基礎になります。

次に、ブロック塀が境界だからと聞いて現地を測量したのですが、それでは土地Bの辺長が縦横ともに地積測量図と合いません。(図を参照してください)

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登記を依頼されたのは、最初の分筆登記で残地になっていたAのほうですが、今度の分筆登記で作製するAの地積測量図はBの測量図と接する部分が整合していなくてはいけません。簡単に言うと、図面同士をぴったり貼りあわせる事ができるはずだということです。ブロック塀が境界ではAとBの測量図を貼り合せることができなくなります。

こうしたケースはとても困ります。なにしろ所有者同士はお互いにブロック塀が境界だと了解済みなので、『一体なにが問題なんだ?』ということになるからです。しかし第7回にも書いたように、そもそも最初に決まった土地の筆界の位置が変わることはなく、分筆によってあとからできた境界も土地所有者同士の認識と違うからといって都合よく変えられるものではありません。ですから、この場合の境界はブロック塀の位置とは関係なく分筆図面のとおりに確定します。

それではブロック塀のとおりに境界をそろえるのはどうするかというと、それぞれの所有者がaとbの部分の土地を分筆して交換することになります。そんな大変なことになるのかと驚く人もいると思いますが、現実にこのような例は少なくないし、何も知らないままに不動産を所有している人が多いのも事実です。

このBの現在の所有者はお母さんが買った土地を受け継いだだけで、法務局に測量図があることも知りませんでした。実際は土地分筆登記のかなり後にお母さんが購入しているので、当時から地積測量図は法務局にありましたし、今のように大げさな測量器械がなくても巻尺1本あれば長さが違うことがわかったはずです。こうしたトラブルを防ぐには、自分の土地なり建物なりの情報をきちんとつかんでおくことが一番大切です。ここでも第2回第3回で法務局での調べ方について説明しています。法務局に行くのはなんだか気がひけるという人もいますが、どうってことないので気軽に出かけて調べてみましょう。


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