【感球自在】ボビー色一掃で西村ロッテ初白星

　昨季までのロッテなら、この日の大松の先発出場はまずなかった。西武の先発は左腕の帆足。日替わり打線を組んでいたバレンタイン前監督は右打者を起用していた可能性が高い。だが、西村監督は試合前、左打者の大松に「左投手でも先発だから」と伝えて試合に送り出した。

　５番に入った大松は「意気に感じた。結果を出したいという気持ちが強かった」と起用に応える。１点リードされた四回２死二塁から、同点の中前適時打。七回は右翼席へ勝ち越しの１号ソロを運び、西村新監督に初勝利をプレゼントした。

　指揮官が昨年１０月の就任から取り組んできたのは“ボビー式”からの脱却。その一つが打線の固定だ。ヘッドコーチとして前監督に仕えていたが、「そのほうが打者は自分が何をすべきか、役割を理解しやすい」との思いが常にあった。

　キャンプでは、選手と酒を酌み交わし、意見を交わしてきた。徐々にではあるが、選手は自らの役割を理解しつつある。昨季までは早打ちが目立った打線に、粘りが出てきた。前日の涌井には８回で１４５球、帆足には７回で１０８球を投げさせた。犠打や盗塁を仕掛ける場面も多くなった。

　「西村色」を出しての初勝利。「もっと楽に勝てればいいんでしょうけれど、こういう勝ち方を味わうのは最高ですね」。指揮官は、西岡から手渡されたウイニングボールをいとおしそうに見つめた。（神田さやか）







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