3.1.3 トルコ政府は歴史的に、トルコの領土保全、国家の単一性を守り、政治的安定を維持するため、クルド人の影響力とアイデンティティを制限しようとしてきた。これに対して、クルド人は長い間、より大きな文化的、政治的自由を求めてきた。この利害と目的の衝突は、差別と暴力の時代をもたらした。1984年、PKKはトルコ国家治安部隊に対して最初の武力攻撃を実行し、南東部の3,000以上のクルド人村落が避難し、100万から300万人が避難するという長期にわたる紛争につながった。この紛争でおよそ4万人が死亡し、現在も続いているが、近年民間人の死者数は減少し続けている（詳細については、背景と最近の歴史、人口統計、およびトルコに関する国別政策・情報ノート「クルド労働者党（PKK）」を参照）。
3.1.4 憲法は、言語、人種、その他の要因にかかわらず、すべての個人は平等であり、すべての市民は「トルコ人」であると定めている。クルド人が公的または民間部門の雇用を得たり、公的生活に参加したり、サービスにアクセスしたりすることを妨げる法律はなく、一般的にクルド人はこれらの権利を行使することができる。しかし、クルド人がそうすることができる範囲は、個人の状況と地理的な場所に依存する。クルド人の中には、雇用機会の制限を回避するために、クルド人としてのアイデンティティを隠したり、軽視したりする者もいる。特にトルコ西部の都市部ではクルド人の中流階級が拡大しているが、開発が遅れ紛争の影響を受けているトルコ南東部のクルド人は、以前は西部に住むクルド人よりも政府サービスへのアクセスが少なく、機会も少なかったが、最近の政府投資とインセンティブの急増により状況は改善し始めている（人口統計、国籍、公的生活におけるクルド人、雇用を参照）。
3.1.5 トルコ語はトルコの公用語であり、憲法では教育機関で他の言語を主な教授言語とすることは禁じられているため、トルコ語を話せないクルド人の生徒は不利な立場に置かれる。政府や公共サービスではトルコ語以外の言語の使用が制限されることがあり、2016年と2017年に政府によって閉鎖された多くのクルド語学校は閉鎖されたままである。しかし、1980年の軍事クーデター後に制定されたクルド語の禁止は、2000年代初頭から徐々に解除されている。一部の大学プログラムや私立学校では主な教授言語として教えられる場合があり、公立学校では選択科目としてクルド語が選択される場合もある。2008年には国営のクルド語テレビニュースチャンネルも設立された。情報筋によると、文化におけるクルド語の使用に対する不寛容は続いており、当局はトルコ南東部やその他の地域で多数のクルド語公演を阻止し、一部のアーティストが逮捕されている。クルド政府はクルド語のアルファベットのいくつかの文字の使用を禁止しているため、クルド人は子供にクルド語の名前を付けることができない。しかし、クルド人が支配する地方自治体は、法的根拠がないにもかかわらず、村や通りのクルド語名を道路標識に表示する取り組みを進めている（「クルド語」および「教育と文化におけるクルド語」を参照）。
3.1.6 情報筋によると、クルド人の一部はPKKの思想と手法を支持しているが、多くは反対している。保守的なクルド人は、クルド人議員を数人擁する政府与党のAK党に多大な支持を与えることもあった。AKPを支持し続けるクルド人の数は減少しているものの、依然として相当数に上る。左派の社会民主党HDPもクルド人から多大な支持を得ている（クルド人の政治的見解を参照）。
3.1.7 情報筋によると、政府は親クルド政党に圧力をかけたり、禁止しようとしたり、また政党メンバーの一部を起訴し投獄したりしている可能性がある。PKKとのつながりの疑いで職務を解かれ拘留された民主的に選出されたクルド人市長の中には、今も拘留されている者もいる。しかし、クルド人はこれまでも、そしてこれからも、政治の場で代表される存在であり続ける（「公的生活におけるクルド人」を参照）。
3.1.8 クルド問題や反対派グループに関連する多くの大規模集会は、治安上の理由で禁止された。しかし、クルド分離主義と関連があると見られることが多いネウルズの祝賀行事は、警察の厳重な警備のもとではあったものの、2022年と2023年にはおおむね許可された。これらの祝賀行事の参加者の中には、ゴム弾、加圧水、催涙ガスの使用、そして短期間ではあったが強制的な拘留など、行事を制限するための不均衡な措置を受けた者もいた（集会の自由とネウルズの祝賀行事を参照）。
3.1.9 2022年、政府はクルド語ジャーナリズムに携わる数十人のジャーナリストを起訴または拘留し、その多くが2022年末までにテロ関連またはその他の反国家犯罪で起訴され、最長40年の懲役刑を宣告されている。ほぼすべてのクルド語の新聞、テレビ局、ラジオ局は、政府の法令により安全上の理由で閉鎖されたままである。2016年のクーデター未遂事件後に政府によって閉鎖された多くのクルド人市民社会組織は、閉鎖されたままである。継続的な制限にもかかわらず、活動を続けている市民社会グループは、状況を監視し、声を上げ続けている（「ジャーナリストと出版」および「市民社会と文化的権利」を参照）。
3.1.10 弁護士の中には、政府に対する訴訟でクルド人を代理することを好まない人もいますが、クルド人にサービスを提供する弁護士もいます。トルコ語を話せない場合は、法廷で通訳を提供しなければなりません（司法制度を参照）。
3.1.11 情報筋によると、クルド人が多く住む南東部の民間人は政府とPKKの間で続く紛争の影響を受け続けているものの、それらの民間人に対するリスクは過去数年に比べて大幅に低下している。政府による夜間外出禁止令の使用も2019年から大幅に減少したが、主にクルド人で構成される一部のコミュニティでは、対PKK作戦を容易にするために依然として夜間外出禁止令が適用されている。拉致、強制失踪、警察の拘留施設や刑務所での虐待が引き続き報告されているが、適切に調査されていない（政府の人権侵害と夜間外出禁止令を参照）。
