@んま研究所

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農村という誤解/過疎農村で成り立つコンパクトな住宅地

2006年07月06日 | とやま起業未来塾
今回は、「農村」という誤解について説明してみたいと思います。

私は、今住んでいる朝日町も含め、「富山県に農村はない」と考えています。
そんな!と思われる方は、実態を客観的に知るために、ちょっと統計データを覗いてみて欲しいと思います。
http://www.toukei.maff.go.jp/shityoson/map/mapimg/16/index.html
このページを見ると、例えば朝日町は人口約1.6万人に対し
  第1次産業就業者数 502 人
  第2次産業就業者数 3,423人
  第3次産業就業者数 4,334人
となっています。
これをパーセントで表せば、第1次産業就業者は、なんと3%しかいないことになります。就業者比率で見ても6%です。恐らく、都市部に住んでいる方はもとより、農村部に住んでいる方ですら、大きく誤解をしていますが、データが示すとおり農地が広がっている地域でも、実際には農民は少ないのが実態なのです。
住民の多くは第2、第3次産業に従事、つまりサラリーマンの方が圧倒的に多いのです。別のデータでは農家就業率が約31%と高いように見えますが、殆どが中高年のボケ防止のための週末園芸となっているのが実態です。

現代は、構造的に農村が成り立たなくなっています。主業農家となれば、今時なら米で10haぐらいは耕作しなければならないのだから、その面積あたりで農家を配置すれば、実際には散居村にもならないぐらいに農家が拡散してしまいます。だから、農村という概念は成立し得ないのです。
極論すると、殆どの人が農村と考えている場所も、実は、その殆どがサラリーマンのベッドタウンです。無理やり言い換えるとすると、過疎の進む農村とは「僻地のベッドタウン」と言えるかもしれません。
今、農村だったところが過疎化している理由は、農家あたりの農地が拡大(つまり農地あたりの農家数が減少)していて、かつての農家の家がベッドタウンとなり、雇用は都市部に集中しているから、ベッドタウンの価値の低い場所(つまり農村)は過疎化するという理由から来ていると考えられます。
これはもちろん、かつて農村であったところでも、ベッドタウンとしての価値が高い場所は、人口が増えることになります。まとめると、農村と言う言葉はそれ自体に矛盾があるということと、農村の過疎化はベッドタウン化から起こっており、仮にこれを止めようとするならば、少なくとも「農村」という発想からは生まれてくるはずがない、ということです。
そして、今回の地域づくりリーダーコースの趣旨に当てはめてこのことを考えると統計データに基づかない対策をすれば、失敗するかもしれないということが考察されます。

例えば県には「都市との交流による農山漁村と地域の活性化」に関する条例がありますが、山村は地理的にありうるとして、そもそも農村や漁村がないのだから、間違った前提に基づく考え方で、活性化も交流も出来るはずがありません。
(この点については、3年前に条例を作った議員に意見書を提出済みです。)

現実に、やっていることはごく一部の専業農家がちんまりとグリーンツーリズムをやっていたり、志ある人が山で人工的に自然体験のための施設を作ったり、食品加工用の建物を建てたりと、殆どの地域住民には全く関わりないところで、つまりは「村」という観点からはおよそ離れた次元で政策が施行されています。
別にこれは悪いことではないのですが、少なくともこの様な政策で地域全体を活性化することは出来ないと考えられるのです。


関連ブログ:農家の若者は、ドットコム企業に入るか青年実業家を名乗ろう!
http://blog.goo.ne.jp/martyjapan/e/a2786b7a142b039b0bb78270b7017c8e