出やがったよ。
Gの奴が……
洗濯物を干してるとき、奴は姿を現した。
洗濯機の排水溝のあたりから侵入してきたと思われる。
まさか、午前11時という健全な時間に現れるなんて思いもしなかったから、
そういう意味でもびびったね。
しかも、9月も末に差し掛かった、秋めいてきた陽気に現れるだなんてねえ。
とんだ爽やか野郎だぜ。
ああ、だけど、確か去年の今頃、マンションの通路に現れたGと
死闘を繰り広げた覚えがあるし。
自分のイメージ的には奴らが活発に動くのは6~8月だったんだが、
この家は9月が要注意らしい、ということを学習した。
相変らず、使った武器は飛び道具で、容赦なく噴射してやった。
今回使用した武器はG用のものだが、『飛び道具』『噴射』という点に置いて、
ベターなのはミントの香りのする、スプレー式トイレ用洗剤であると自分は思っている。
Gの奴はミントの匂いに弱いという性質があり、こいつは結構な殺傷力を持っていた。
なんでその洗剤を推奨しているかというと、G用の武器より片付けがラクだし、
空気がよどまないというメリットがあるからだ。
G用、および害虫用の飛び道具だと、何度か拭いても油っぽい感じが残るし、
身体に悪そう~な空気に汚染されてしまうから、あまり室内で乱射するのは
よろしくないとは思っている。
にも関わらず、私はG用の武器を噴射した。
それには、やむにやまれぬ事情があったのだ。
銃にも弾数に限りがあるように、洗剤にも限りがある。
奴が現れたあと、即座にトイレに駆け込み、
洗剤を装備して敵のもとに現れた私は、その一撃を放った。
が。
残りの弾数……いや、洗剤量がわずかだったらしく、
ぷしぃ~ などという、情けない音を立て、微かな量が情けなく床に落下しただけだった。
「ちっ、弾切れか……」
弾切れの銃など、武器ではない。
ただの、無力な物体でしかなかった。
やむなく、私はG用の武器に持ち替えるべく、武器庫へと足を運んだ。
こちらの目論見を敵に悟られるわけにはいかない……
むやみやたらに音を立てないように、それは慎重な動作となった。
武器を持って奴のもとへ戻ると、当然、元の場所からは姿が消えていたが、気配は感じていた。
私は迷いなく、奴の潜んでいそうなところへ噴射した。
豪快に。
いやもう、言ってしまえばベギラゴンくらいは唱えているような心境だ。
私の読みは当たり、黒光りの身体を持った敵が姿を現した。
「成敗!!」
とばかりに、集中砲火を浴びせかける。
「グァアアアアアアアアアアアアア」
などという悲鳴を上げたかどうかは謎だが、しばらくのた打ち回ったのち、
奴はこと切れていた。
そう。
倒すまでは大した作業ではないのだ。
問題はここからである。
印刷ミスの紙を二枚ホウキとチリトリのように使って奴を回収してから、捨てる。
それから、薬剤を散布したあたりを念入りに掃除せねばならんのだ。
倒した時点で、勝手に消えてくれたらいいんだがなあ……
あ、ちなみになんで私が、飛び道具ではない打撃系の武器を使わないのかというと、
つぶさずに倒せる自信がないから……なんでございますな。
昔、友人にきいた、「Gを潰すと匂いが出て、そっから仲間を呼ぶらしい」
というホントかウソか分からん話を真に受けてるためで。
なんにせよ、もうお目にはかかりたくないよ。
せめて今年はもう、出てくんな!
Gの奴が……
洗濯物を干してるとき、奴は姿を現した。
洗濯機の排水溝のあたりから侵入してきたと思われる。
まさか、午前11時という健全な時間に現れるなんて思いもしなかったから、
そういう意味でもびびったね。
しかも、9月も末に差し掛かった、秋めいてきた陽気に現れるだなんてねえ。
とんだ爽やか野郎だぜ。
ああ、だけど、確か去年の今頃、マンションの通路に現れたGと
死闘を繰り広げた覚えがあるし。
自分のイメージ的には奴らが活発に動くのは6~8月だったんだが、
この家は9月が要注意らしい、ということを学習した。
相変らず、使った武器は飛び道具で、容赦なく噴射してやった。
今回使用した武器はG用のものだが、『飛び道具』『噴射』という点に置いて、
ベターなのはミントの香りのする、スプレー式トイレ用洗剤であると自分は思っている。
Gの奴はミントの匂いに弱いという性質があり、こいつは結構な殺傷力を持っていた。
なんでその洗剤を推奨しているかというと、G用の武器より片付けがラクだし、
空気がよどまないというメリットがあるからだ。
G用、および害虫用の飛び道具だと、何度か拭いても油っぽい感じが残るし、
身体に悪そう~な空気に汚染されてしまうから、あまり室内で乱射するのは
よろしくないとは思っている。
にも関わらず、私はG用の武器を噴射した。
それには、やむにやまれぬ事情があったのだ。
銃にも弾数に限りがあるように、洗剤にも限りがある。
奴が現れたあと、即座にトイレに駆け込み、
洗剤を装備して敵のもとに現れた私は、その一撃を放った。
が。
残りの弾数……いや、洗剤量がわずかだったらしく、
ぷしぃ~ などという、情けない音を立て、微かな量が情けなく床に落下しただけだった。
「ちっ、弾切れか……」
弾切れの銃など、武器ではない。
ただの、無力な物体でしかなかった。
やむなく、私はG用の武器に持ち替えるべく、武器庫へと足を運んだ。
こちらの目論見を敵に悟られるわけにはいかない……
むやみやたらに音を立てないように、それは慎重な動作となった。
武器を持って奴のもとへ戻ると、当然、元の場所からは姿が消えていたが、気配は感じていた。
私は迷いなく、奴の潜んでいそうなところへ噴射した。
豪快に。
いやもう、言ってしまえばベギラゴンくらいは唱えているような心境だ。
私の読みは当たり、黒光りの身体を持った敵が姿を現した。
「成敗!!」
とばかりに、集中砲火を浴びせかける。
「グァアアアアアアアアアアアアア」
などという悲鳴を上げたかどうかは謎だが、しばらくのた打ち回ったのち、
奴はこと切れていた。
そう。
倒すまでは大した作業ではないのだ。
問題はここからである。
印刷ミスの紙を二枚ホウキとチリトリのように使って奴を回収してから、捨てる。
それから、薬剤を散布したあたりを念入りに掃除せねばならんのだ。
倒した時点で、勝手に消えてくれたらいいんだがなあ……
あ、ちなみになんで私が、飛び道具ではない打撃系の武器を使わないのかというと、
つぶさずに倒せる自信がないから……なんでございますな。
昔、友人にきいた、「Gを潰すと匂いが出て、そっから仲間を呼ぶらしい」
というホントかウソか分からん話を真に受けてるためで。
なんにせよ、もうお目にはかかりたくないよ。
せめて今年はもう、出てくんな!