読売新聞にオーサーのインタビュー記事が掲載されていました。記事はこちら
「チーム・ヨナ 戦略の成果…オーサーコーチに聞く」
フィギュアスケートの今季グランプリ(GP)シリーズに2勝した金妍児(韓国)が、3日に開幕するGPファイナル(東京)に臨む。指導するブライアン・オーサー・コーチ(カナダ)が、五輪シーズンの戦略と成長ぶりを語った。(聞き手・結城和香子)
五輪の重圧、経験伝えた
――昨季は世界選手権を制覇し、今季は2勝。金が自信をつけ、一層成長したように見える
「大切なのは、ジャンプや演技を自分のものにすることだと教えている。彼女の良さは、成果に慢心せず、自分を信じて、難易度の高いジャンプにも攻撃的に挑めること。私も選手時代、1988年カルガリー五輪に男子の世界王者として臨んだが、力を保とうとするあまり、更に上を極めようとしなかった。五輪は重圧もあり、全く異なる勝負になる。(銀に終わった)自分の経験もヨナに伝えてある」
――金はショートプログラム(SP)や総合での、歴代最高得点も更新した
「実は私は当初、あのSPのボンドガールのテーマには懐疑的だった。振り付けのデービッド・ウィルソンが昨季のエキシビションでのヨナのセクシーな演技を見て思いついたものだ。滑るリズムやジャンプのタイミングに合わせ、科学的に曲を当てはめて行くのに非常に苦労していた」
ライバルを徹底分析
――チーム・ヨナの成果が出ているということか
「デービッド、(カルガリー五輪アイスダンス銅の)トレーシー・ウィルソンら専門家とヨナの母で、1~2週に一度、話し合いを持つ。ライバル選手の技術的進歩から衣装までを分析し、今ヨナが何をすべきかを決めるためだ。私はコーチとしての経験が浅かったので、考え抜いた末にヨナの指導チームを、信頼に基づき作り上げた」
――金の演技の安定感と高得点の秘密は
「新採点基準下では、個々の技術要素の出来栄えを示す評価点(GOE)でプラスを得ることがポイントになる。12ある要素のGOEのプラス分を合算し、(芸術性を評価する)プログラム構成点の合算分を加えると、大きな得点源になることが分かるだろう。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)などの大技を入れても、他の部分にGOE等の取りこぼしが出てくれば、それは得策とは言えない」
ブライアン・オーサー 1984年サラエボ、88年カルガリー五輪フィギュアスケート男子のカナダ代表。両五輪で銀メダルを獲得。プロスケーターとして活躍後、2006年からカナダ・トロントを拠点に金を指導している。