万葉集ブログ・3 まんえふしふ 巻十一~巻十四

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3573 作者未詳

2010-05-07 | 巻十四 比喩歌・2
安之比奇能 夜麻可都良加氣 麻之波尓母 衣我多奇可氣乎 於吉夜可良佐武

あしひきの 山かづらかげ ましばにも 得がたきかげを 置きや枯らさむ


「“あしひきの” ヒカゲノカズラは、しばしば、入手などできないプレミアものです。それを放置して枯らすなんてとんでもありません」

(彼女は深窓の麗人。お顔を拝めるなんてものではない。彼女の両親は虫がつかないように、彼女を外に出さないのさ。そのまま年月を経て、彼女が老婆になってしまうなんてとんでもないぜ)

3572 作者未詳

2010-05-06 | 巻十四 比喩歌・2
譬喩歌

安杼毛敝可 阿自久麻夜末乃 由豆流波乃 布敷麻留等伎尓 可是布可受可母

あど思(も)へか 阿自久麻山(あじくまやま)の 弓絃葉(ゆづるは)の ふふまる時に 風吹かずかも


比喩歌

「どう思っているの。阿自久麻山の、ユズリハ(のつぼみ)が、開かないうちに、風が吹くかもしれないでしょう」

3571 作者未詳 防人歌

2010-05-05 | 巻十四 防人歌
於能豆麻乎 比登乃左刀尓於吉 於保々思久 見都々曽伎奴流 許能美知乃安比太

己妻(おのづま)を 人の里に置き おほほしく 見つつぞ来ぬる この道の間

3570 作者未詳

2010-05-04 | 巻十四 防人歌
安之能葉尓 由布宜里多知弖 可母我鳴乃 左牟伎由布敝思 奈乎波思努波牟

葦の葉に 夕霧立ちて 鴨が音の 寒き夕(ゆふへ)し 汝(な)をば偲はむ


「アシの葉に、夕霧が立ち込めてくる。カモが鳴きだす、寒い夕方になると、(遠い故郷の)あなたを思い出す」

3569 作者未詳 防人歌

2010-05-03 | 巻十四 防人歌
佐伎母理尓 多知之安佐氣乃 可奈刀□尓 手婆奈礼乎思美 奈吉思兒良波母

防人(さきもり)に 立ちし朝開(あさけ)の 金戸出(かなとで)に たばなれ惜しみ 泣きし子らはも


「防人に出立する朝、船出の際に、別れを惜しんで泣いた、妻よ」