この1年間で読んだ本メモ(2年目)in Malawi
Jul,2006-Jul,2007
*前年分についてはコチラ
1.『私にとって神とは』
遠藤 周作
光文社
→遠藤キリスト教には頷ける部分が多い。
自分なりの解釈をしようとすることで悩む部分こそ大事だと私は思うので。
2.『フラニーとゾーイー』
J.D.サリンジャー 野崎 孝・訳
→このエンドはいいと思う。好き。
「ぼくは自分の行く所には常に太陽を持って行くのさ」
って台詞、いいよなぁ。
3.『板谷バカ三代』
ゲッツ板谷 西原 理恵子・絵
角川書店
→めちゃくちゃ笑えた。
特に バカ三代で運転免許取り直し講習を受ける場面。やばい。
4.『2001年宇宙の旅』
アーサー・C・クラーク 伊藤 典夫・訳
早川書房
→こんな話だったんだー・・・・
キューブリックの映画だけでは
よくわからないところがわかって逆にちょっと・・
5.『日本の伝統』
岡本 太郎
光文社
→京都の寺社めぐりに新たな楽しみがくわわりそう。
庭を こうは見ないよね、ナカナカ・・・・
見方を変えれば なんでも発見に溢れていることを思い出させてくれる。
6.『9月11日からの僕のこと』
小林 紀晴
講談社
→写真でなくて、文章できた、9・11について。
で、後でこのひとの写真を見直して
自分は このひとの写真ではなくて文が好きだったのかな?と思った。
7.『光の教会 安藤忠雄の現場』
平松 剛
建築資料研究社
→これは ものすごい面白かった!!ここ最近でもかなりのヒット。
建築用語たくさんでてくるけれども読みやすい。
建築家・建築事務所・施主等々のかけひきも またドラマチック。
かなりオススメ。
8.『武士の家計簿 加賀藩御算用者の幕末維新』
磯田 道史
新潮社
→これも面白い。
刀から筆とそろばんへ転向したある武士の一家。
今日の官僚制度の成り立ちもわかって 楽しく一気に読める。
9.『開発フィールドワーカー』
野田 直人
築地書館
→「プロジェクトは祭りと一緒である。祭りの後に持続性もなにもないのだ。」
本書の中にあった、この一言にどれだけ救われたかわからない。
著者の野田さんがマラウイを訪れたときに話を聞く機会があった。
印象に残った言葉は・・・・
「モデルビレッジ、モデルファーマー。選ばれない人は常に選ばれない。」
「対象者が何かをするようになることを期待するな。それを指標にするな。
問題は自分が目標達成のために何をするかだ。」
「本当に成功しているのなら、続ける必要はない。」
青年海外協力隊植林隊員としてスタートし、木を育てることよりも木を育てる人 を育てることに重きを置くようになった野田さん。
私達がよく抱く疑問別に項目がわかれており読みやすい。
10.『ジョゼと虎と魚たち』
田辺 聖子
角川書店
→田辺聖子って読んだことあったっけ?
短編集。 細かな部分で非常にリアルで艶かしい。
その中で映画かされた表題作は、現実から遊離したようなロマンチックさ。
映画のほうも、読後にみたけれど それぞれの良さを感じた。
原作で幸せと死が同じ位置にあるとこ、海の底の魚、好き。
11.『イサム・ノグチ 宿命の越境者(上)(下)』
ドウス 昌代
講談社
→感嘆。ここまで一人の人に迫り、そしてまた日本とアメリカどちらにも属せなか った男の苦悩を描ききったものだと思う。
12.『援助する国 される国 -アフリカが成長するために』
服部 正也
中央公論新社
→かつてルワンダ中央銀行の総裁をつとめ、世界銀行の副総裁までもつとめた著 者。
かなりわかりやすく書かれていて、
他国の援助傾向などもサラリとわかってよか った。
日本語の筆致が美しいと思ったのは、かつて『海軍主計大尉小泉信吉』という本 を読んだとき以来だ。
13.『みみず物語』
小泉 英政
コモンズ
→著者は、成田空港建設反対運動をしてきた人。
立ち退きに抵抗してきた農家さんにならって、その地で自分も有機循環農業を始 める。
昔高学歴、今 畑の哲学者。ある年代の自ら農業を始めた有機農家に多いタイプ だ。みんな言うことが似てる。
で、みんな奥さんが、よーできてはる!奥さん達、エライ。
化学物質過敏症の人の話が出てきたけれど、ほんとうにあるんだろうか、こんな 病気・・・
14.『土を喰う日々』
水上 勉
→かつて大きな感銘を受けた本。
マラウイと日本、土の匂いが違うみたい。。。
初めて読んだとき(旅先のネパール)と違って、今回はより土を喰う日々そのも のといえる今の生活。
15.『サイバラ式』
西原 理恵子
角川 書店
→わりと初期の漫画も掲載されていたので、昔はガロっぽい路線も入ってたのかな ぁ、(絵柄は今より丁寧)と意外に思った。
マラウイ隊員は、「西原理恵子?絵がダメで・・・読んでないです」という人が 多かった。
あーあ・・・食わず嫌いかぁ・・・私はサイバラ大好き。
16.『旅をした人 星野道夫の生と死』
池澤 夏樹
スイッチ・パブリッシング
→これは非常に読み辛かったです。
何度も繰り返される「そうはいっても、私は星野と昵懇だったわけではない」の 言葉に おそらく(池澤夏樹の名ではなく、星野道夫の名にひかれてこの本を手 に取った私と同じような)読者は ではなぜ、この本を?と思うに違いない。
これは 星野道夫の、というよりも 池澤夏樹自身が自らの魂を鎮めるために書 き綴ったものだとこの本を読んでまもなく大事なマラウイアンと死別した私は感 じた。
17.『戦場を駆ける医師 ~愛、勇気、憐憫』
リチャード・ヴィラー 熊谷 千寿・訳
原書房 1999.2.26 KNIFE EDGE by Richard Villar
→英国空軍特別部隊SAS(Special Air Service)~マスター・キートンでおなじみ ~として数々の戦場を駆ける医師の ほぼノンフィクション。
かなり面白く読めるのは著者のwitのおかげ。
18.『坂の上の雲』(一)~(八)
司馬 遼太郎
文藝春秋
→本当に、司馬遼太郎のいうとおりとすると
ある時代を境に 日本人がまるで変わってしまったことになる。
そうなのかな?
19.『フィールドワークへの挑戦―<実践>人類学入門』
菅原 和孝・編
世界思想社
→京都大学での学生達のフィールドワーク例の数々。
興味深かったのは、京都での振り売り調査、
エチオピアでのビデオシアター調査、
そして摂食障害を抱えた人たちについての調査である。
食べたものを口に含んで咬んで吐き出す、って私 昔 よくやってた・・・・・
「チューイング」っていう摂食障害の一種だそうです。知らなかったから、深刻 化しなかったのかも・・・
人類学って何?ってよくわからずにいたけれど 面白い学問であることがわか る。
20.『ムーミン谷の十一月』
ヤンソン 鈴木 徹郎・訳
講談社 SENT 1 NOVEMBER by Tove Jansson 1971
→ムーミンシリーズの最終作。(たしか。)
素晴らしいです。これが一番じゃないでしょうか。
フィンランドを始めとする北欧って、自殺者が多いみたい。とくに11月は危険そ うだなぁ。
それぞれ危険要素を抱えた登場人物たちが主のいないムーミンの家にやってき て・・という話。
そう、アニメとは全然違うんです、活字のムーミンは。
21.『琉球布紀行』
澤地 久枝
新潮社
→沖縄で読みきれなかった本。
布に織込められた想いを一本ずつ解きほぐしていく著者の眼差しと
仕事の丁寧さ。
久米島紬の色あいを、そう、次の沖縄へのたびで私も見てみたい。
22.『錦繍』
宮本 輝
新潮社
→宮本輝の小説をよむと、(あまりこういう言葉は使いたくないけれど)救われる 気持ちになる。
それは決して 一筋の光のような形ではなく
全ての人間がもっている 底流のような濁った、一筋の流れともいうべき力につ いて気づかされるのである。
23.『蛇にピアス』
金原 ひとみ
新潮社
→暇だったので、読んだ。
「蛇にピアス」ってどういう意味?と 疑問には思っていたので。
(舌の先にピアス穴あけて、入れるピアスの大きさを大きくしていって最後には 舌に切れ込みがはいって蛇の舌みたくするってことだったんですよー)
村上龍が芥川賞にこの作品をプッシュしたのもわかるなぁ、
ラストシーン、「たぶん大丈夫」とつぶやく主人公に共感できるのはたぶん少女 だけ。(私も、あ、わかるな、あの頃の気持ち、という共感はしましたよ。)
漫画や映画で既に描かれているような気もしたけど。
24.『参加型開発と国際協力 変わるのはわたしたち』
ロバート・チェンバース 野田 直人/白鳥 清志・監訳
明石書店
WHOSE REALITY COUNTS? by Robert Chambers 1997
→参加型開発ってナンジャラホイ? だったので読んでみた。
で 私の同僚たちは一応、PRAの研修をほうぼうで日当もらって受けていてまぁ いちおう知ってはいるわけです。
(ちなみに私は「開発」の名を冠した学科を出たが、そこでは熱帯の農業総論しか 学んだ記憶がない。
PRA も RRAも PCMも M&Eも どれもこれも知らず、まぁ 伝統農業万歳、と いう学生しか輩出してない。)
で いちおう世銀とかがドナーのプロジェクトでは じゃ、参加型で調査して、 となるわけですが参加型なんて面倒くさいだけで、農家なんて無知蒙昧でトップ ダウンしかないだろっていうのが実際のとこでした。
(この本によると「参加型で調査」というのが そもそも違うらしい。)
そのあたりの現状や、視察者にたいして演じて・見せる 村人や現場の役人の 姿、ドナーに合わせて 要望もかわるしたたかな受益者など、ウワー 全部今目 の前で展開してる!
感じたこと:無数の失敗例の共有が必要。
でも、たいした経験もなく「参加型開発専門家」なるものになれてしまうのが大 問題。
そして失敗被害を被るのが、専門家自身でもドナーでもなく 住民というのがキ ツイ。
いやでも失敗被害とはとらえてないかな?あぁ堂々巡り。
「いいことをしている」「いい結果を出すに決まっている」という思い込みが
うまくいかないことの繰り返しを生んでいるのだろうか?
ささやかに関われたらいいのに、それが私が思うこと。
25.『ムーミン谷の夏まつり』
ヤンソン 下村 隆一・訳
講談社 FARLIG MIDSOMMAR by Tove Jansson 1954
→「わたし、あんたにさらわれたってことにしておくわ」
「ゆめって、あたる?」
「もちろんよ。いつも、すてきなことが」
・・・ムーミンをアニメでしか知らない人。もったいなさすぎます!!
絶対に活字で読むべき。
26.『イラスト図解 世界情勢の地図帳―日本はどうなる』
池上 彰 2003
講談社
→2003年なので、少し古い。でも紛争の根は変わらない。
非常にわかりやすかったので、もしこれがシリーズ化/毎年発行されているとし たら最新版も読みたい。
27.『シリーズ食文化の発見〔世界編〕2 キャッサバ文化と粉粥餅文化』
関野 吉晴、加曽利 隆 著
宮本 常一・監修 日本観光文化研究所・編
柴田書店
→グレートジャーニーを成し遂げた関野吉晴氏が若き頃にアマゾン奥地の村々に滞 在した記も含まれる。
ふつうに楽しく読めるのだが・・・・「民俗学」の限界を感じたのも確か。
”私は旅や探検家が嫌いだ”とは、レヴィ・ストロースの言。
28.『Michio's Northern Dreams 6 花の宇宙』
星野 道夫
PHP研究所
→星野さんが花により目を向けるようになったのは、結婚してかららしい。
アラスカの花は、それはそれは小さくて可憐なのだろうな
とちょっと思いをはせてみる。
29.『Michio's Northern Dreams 4 森に還る日』
星野 道夫
PHP研究所
→そう、私は あの 森の写真を一番 愛す。
30.『THE DAVINCI CODE』
DAN BROWN
CORGI BOOKS
→事前に映画を見ておいたので、なんとか原文で読めた。
(何回か電子辞書の電池を入れ替えた。それくらい単語ひいた。)
好きです、こういうの。
31.『南方に死す』
荒俣 宏
集英社
→荒俣さんの南方への憧れ大成。やっぱすごいわこの人。
32.『デセプション・ポイント』
ダン・ブラウン 越前 敏弥・訳
角川書店
→ダン・ブラウン面白いですねー
33.『セネガルのお雇い日本人』
本城 靖久
中央公論社
→だいぶん前に書かれた本なのだが・・・(70年代)
いまでもたいして変わってないように思える。
それにしても イギリスとフランスの統治の仕方の大きな違いをかんじた。
(マラウイは旧イギリス領、セネガルは旧フランス領。)
セネガルではフランスの申し子ともいえる当時の大統領(フランスで博士号を取 り、詩人)が「フランスでは義務教育から外れたラテン語が、わが国ではまだ義 務教育となっていることは誇るべきで」
などとのたまったところに 心底びっくり。
文章の印象が小田実の「なんでも見てやろう」に似ている気がした。
今ではこういう風に書く人はいない。
そのちょっと客観的な洒脱な(っていうの?)文章、読みやすい。
34.『義経』
司馬 遼太郎
文藝春秋
→この切り口は、司馬遼太郎にしかできない、と思うのですが。どうでしょ。
個人的には、一夫多妻をやめさせようと始めたのが北条政子の説に戦慄が・・・
35.『電車男』
中野 独人
新潮社
→忙しい時期に、逃避のように読んでしまった。
これ、途中から創作だと思う・・・・・
エルメスは一体 何のサブヲタだったんだろう・・・ どーでもいいけど。
ヒットするなよ、こんな本。セカチューといい・・読むなよ、私!
まぁ 言葉遣いとか絵文字で「あの人(自分の知人)も2ちゃん見てる人なんだ ろうなぁ・・・」というのがわかりました。
36.『ヘブン ショップ』
デボラ・エリス さくま ゆみこ・訳
鈴木出版
→これはJICA関連の広報誌で度々紹介されていた。
マラウイを舞台としたエイズ孤児の話ということであえて避けていたのだけれ ど・・
「ヘブン ショップ」って何を売ってる店だと思います?
棺桶ですよ。儲かってます。
(ちなみに、職業訓練校で木工を教えている隊員によるとシラバスに必ず棺桶作り が含まれているとのこと。)
読むほどに、非常に丹念に取材をして書かれた本であることがわかる。
親を亡くした子供たちから家だけでなく遺品全て、子供の教科書やノートも奪い 去る親戚達の姿など
あまりにリアル・・・
マラウイのHIV/AIDS感染者数は、全人口の15%(公表値)とされ 実際は30%く らい?とされ地域によっては50%とも言われている。
その通り、この話のなかでもごく普通にエイズ患者がエイズ啓発活動をしていた りする。
それでいて、私はマラウイにいた間 自分の周りではひとりも患者とされる人、 エイズ孤児とされる人の話を聞かなかった。
皆、他人事のように捉えていた。若者たちは「ファッショナブルではない」とコ ンドーム着用を嫌がっていた。
一方で「エイズ対策」という職種の隊員は、日常茶飯事に孤児や患者さんたちと 向き合う。知人をエイズで亡くしている。
・・・・本書はなんと児童向けの本。挿絵も可愛い絵柄だけれど痩せ細った感染 者の絵がまたリアル。
将来、自分に子供ができたとして、この本を読み聞かせるとして、・・・・
37.『連戦連敗』
安藤 忠雄
東京大学出版
→今や東大の名誉教授、安藤忠雄の学生向け講義集を基にしている。
なんつーか 非常にわかりやすく面白く、安藤さんのホットぶりがわかると思 う。
雑誌でたくさんの写真を見ながら、とは かなり違う面白さ。
でも実際の授業は関西弁だったんだろうなー 生で聞きたい。。。
自分も負けなきゃあかん!と思った。
★
マラウイにいる2年間に、64冊読んだことになります。
(このペースは、日本にいたときよりも多いのかな。薄い本も厚い本もあったから一概にいえないけれど。)
本は自分で日本から持ってきたものもありますが
たいていは隊員用の宿泊所で借りてきた本や 隊員仲間、ボランティア調整員の方に借りた本でした。
あえてベスト5を挙げるとしたら・・・
1. イサム・ノグチ 宿命の越境者
2. ムーミン谷の十一月
3. 光の教会 安藤忠雄の現場
4. THE DAVINCI CODE
5. 宇宙からの帰還
・・・かなぁ。
Jul,2006-Jul,2007
*前年分についてはコチラ
1.『私にとって神とは』
遠藤 周作
光文社
→遠藤キリスト教には頷ける部分が多い。
自分なりの解釈をしようとすることで悩む部分こそ大事だと私は思うので。
2.『フラニーとゾーイー』
J.D.サリンジャー 野崎 孝・訳
→このエンドはいいと思う。好き。
「ぼくは自分の行く所には常に太陽を持って行くのさ」
って台詞、いいよなぁ。
3.『板谷バカ三代』
ゲッツ板谷 西原 理恵子・絵
角川書店
→めちゃくちゃ笑えた。
特に バカ三代で運転免許取り直し講習を受ける場面。やばい。
4.『2001年宇宙の旅』
アーサー・C・クラーク 伊藤 典夫・訳
早川書房
→こんな話だったんだー・・・・
キューブリックの映画だけでは
よくわからないところがわかって逆にちょっと・・
5.『日本の伝統』
岡本 太郎
光文社
→京都の寺社めぐりに新たな楽しみがくわわりそう。
庭を こうは見ないよね、ナカナカ・・・・
見方を変えれば なんでも発見に溢れていることを思い出させてくれる。
6.『9月11日からの僕のこと』
小林 紀晴
講談社
→写真でなくて、文章できた、9・11について。
で、後でこのひとの写真を見直して
自分は このひとの写真ではなくて文が好きだったのかな?と思った。
7.『光の教会 安藤忠雄の現場』
平松 剛
建築資料研究社
→これは ものすごい面白かった!!ここ最近でもかなりのヒット。
建築用語たくさんでてくるけれども読みやすい。
建築家・建築事務所・施主等々のかけひきも またドラマチック。
かなりオススメ。
8.『武士の家計簿 加賀藩御算用者の幕末維新』
磯田 道史
新潮社
→これも面白い。
刀から筆とそろばんへ転向したある武士の一家。
今日の官僚制度の成り立ちもわかって 楽しく一気に読める。
9.『開発フィールドワーカー』
野田 直人
築地書館
→「プロジェクトは祭りと一緒である。祭りの後に持続性もなにもないのだ。」
本書の中にあった、この一言にどれだけ救われたかわからない。
著者の野田さんがマラウイを訪れたときに話を聞く機会があった。
印象に残った言葉は・・・・
「モデルビレッジ、モデルファーマー。選ばれない人は常に選ばれない。」
「対象者が何かをするようになることを期待するな。それを指標にするな。
問題は自分が目標達成のために何をするかだ。」
「本当に成功しているのなら、続ける必要はない。」
青年海外協力隊植林隊員としてスタートし、木を育てることよりも木を育てる人 を育てることに重きを置くようになった野田さん。
私達がよく抱く疑問別に項目がわかれており読みやすい。
10.『ジョゼと虎と魚たち』
田辺 聖子
角川書店
→田辺聖子って読んだことあったっけ?
短編集。 細かな部分で非常にリアルで艶かしい。
その中で映画かされた表題作は、現実から遊離したようなロマンチックさ。
映画のほうも、読後にみたけれど それぞれの良さを感じた。
原作で幸せと死が同じ位置にあるとこ、海の底の魚、好き。
11.『イサム・ノグチ 宿命の越境者(上)(下)』
ドウス 昌代
講談社
→感嘆。ここまで一人の人に迫り、そしてまた日本とアメリカどちらにも属せなか った男の苦悩を描ききったものだと思う。
12.『援助する国 される国 -アフリカが成長するために』
服部 正也
中央公論新社
→かつてルワンダ中央銀行の総裁をつとめ、世界銀行の副総裁までもつとめた著 者。
かなりわかりやすく書かれていて、
他国の援助傾向などもサラリとわかってよか った。
日本語の筆致が美しいと思ったのは、かつて『海軍主計大尉小泉信吉』という本 を読んだとき以来だ。
13.『みみず物語』
小泉 英政
コモンズ
→著者は、成田空港建設反対運動をしてきた人。
立ち退きに抵抗してきた農家さんにならって、その地で自分も有機循環農業を始 める。
昔高学歴、今 畑の哲学者。ある年代の自ら農業を始めた有機農家に多いタイプ だ。みんな言うことが似てる。
で、みんな奥さんが、よーできてはる!奥さん達、エライ。
化学物質過敏症の人の話が出てきたけれど、ほんとうにあるんだろうか、こんな 病気・・・
14.『土を喰う日々』
水上 勉
→かつて大きな感銘を受けた本。
マラウイと日本、土の匂いが違うみたい。。。
初めて読んだとき(旅先のネパール)と違って、今回はより土を喰う日々そのも のといえる今の生活。
15.『サイバラ式』
西原 理恵子
角川 書店
→わりと初期の漫画も掲載されていたので、昔はガロっぽい路線も入ってたのかな ぁ、(絵柄は今より丁寧)と意外に思った。
マラウイ隊員は、「西原理恵子?絵がダメで・・・読んでないです」という人が 多かった。
あーあ・・・食わず嫌いかぁ・・・私はサイバラ大好き。
16.『旅をした人 星野道夫の生と死』
池澤 夏樹
スイッチ・パブリッシング
→これは非常に読み辛かったです。
何度も繰り返される「そうはいっても、私は星野と昵懇だったわけではない」の 言葉に おそらく(池澤夏樹の名ではなく、星野道夫の名にひかれてこの本を手 に取った私と同じような)読者は ではなぜ、この本を?と思うに違いない。
これは 星野道夫の、というよりも 池澤夏樹自身が自らの魂を鎮めるために書 き綴ったものだとこの本を読んでまもなく大事なマラウイアンと死別した私は感 じた。
17.『戦場を駆ける医師 ~愛、勇気、憐憫』
リチャード・ヴィラー 熊谷 千寿・訳
原書房 1999.2.26 KNIFE EDGE by Richard Villar
→英国空軍特別部隊SAS(Special Air Service)~マスター・キートンでおなじみ ~として数々の戦場を駆ける医師の ほぼノンフィクション。
かなり面白く読めるのは著者のwitのおかげ。
18.『坂の上の雲』(一)~(八)
司馬 遼太郎
文藝春秋
→本当に、司馬遼太郎のいうとおりとすると
ある時代を境に 日本人がまるで変わってしまったことになる。
そうなのかな?
19.『フィールドワークへの挑戦―<実践>人類学入門』
菅原 和孝・編
世界思想社
→京都大学での学生達のフィールドワーク例の数々。
興味深かったのは、京都での振り売り調査、
エチオピアでのビデオシアター調査、
そして摂食障害を抱えた人たちについての調査である。
食べたものを口に含んで咬んで吐き出す、って私 昔 よくやってた・・・・・
「チューイング」っていう摂食障害の一種だそうです。知らなかったから、深刻 化しなかったのかも・・・
人類学って何?ってよくわからずにいたけれど 面白い学問であることがわか る。
20.『ムーミン谷の十一月』
ヤンソン 鈴木 徹郎・訳
講談社 SENT 1 NOVEMBER by Tove Jansson 1971
→ムーミンシリーズの最終作。(たしか。)
素晴らしいです。これが一番じゃないでしょうか。
フィンランドを始めとする北欧って、自殺者が多いみたい。とくに11月は危険そ うだなぁ。
それぞれ危険要素を抱えた登場人物たちが主のいないムーミンの家にやってき て・・という話。
そう、アニメとは全然違うんです、活字のムーミンは。
21.『琉球布紀行』
澤地 久枝
新潮社
→沖縄で読みきれなかった本。
布に織込められた想いを一本ずつ解きほぐしていく著者の眼差しと
仕事の丁寧さ。
久米島紬の色あいを、そう、次の沖縄へのたびで私も見てみたい。
22.『錦繍』
宮本 輝
新潮社
→宮本輝の小説をよむと、(あまりこういう言葉は使いたくないけれど)救われる 気持ちになる。
それは決して 一筋の光のような形ではなく
全ての人間がもっている 底流のような濁った、一筋の流れともいうべき力につ いて気づかされるのである。
23.『蛇にピアス』
金原 ひとみ
新潮社
→暇だったので、読んだ。
「蛇にピアス」ってどういう意味?と 疑問には思っていたので。
(舌の先にピアス穴あけて、入れるピアスの大きさを大きくしていって最後には 舌に切れ込みがはいって蛇の舌みたくするってことだったんですよー)
村上龍が芥川賞にこの作品をプッシュしたのもわかるなぁ、
ラストシーン、「たぶん大丈夫」とつぶやく主人公に共感できるのはたぶん少女 だけ。(私も、あ、わかるな、あの頃の気持ち、という共感はしましたよ。)
漫画や映画で既に描かれているような気もしたけど。
24.『参加型開発と国際協力 変わるのはわたしたち』
ロバート・チェンバース 野田 直人/白鳥 清志・監訳
明石書店
WHOSE REALITY COUNTS? by Robert Chambers 1997
→参加型開発ってナンジャラホイ? だったので読んでみた。
で 私の同僚たちは一応、PRAの研修をほうぼうで日当もらって受けていてまぁ いちおう知ってはいるわけです。
(ちなみに私は「開発」の名を冠した学科を出たが、そこでは熱帯の農業総論しか 学んだ記憶がない。
PRA も RRAも PCMも M&Eも どれもこれも知らず、まぁ 伝統農業万歳、と いう学生しか輩出してない。)
で いちおう世銀とかがドナーのプロジェクトでは じゃ、参加型で調査して、 となるわけですが参加型なんて面倒くさいだけで、農家なんて無知蒙昧でトップ ダウンしかないだろっていうのが実際のとこでした。
(この本によると「参加型で調査」というのが そもそも違うらしい。)
そのあたりの現状や、視察者にたいして演じて・見せる 村人や現場の役人の 姿、ドナーに合わせて 要望もかわるしたたかな受益者など、ウワー 全部今目 の前で展開してる!
感じたこと:無数の失敗例の共有が必要。
でも、たいした経験もなく「参加型開発専門家」なるものになれてしまうのが大 問題。
そして失敗被害を被るのが、専門家自身でもドナーでもなく 住民というのがキ ツイ。
いやでも失敗被害とはとらえてないかな?あぁ堂々巡り。
「いいことをしている」「いい結果を出すに決まっている」という思い込みが
うまくいかないことの繰り返しを生んでいるのだろうか?
ささやかに関われたらいいのに、それが私が思うこと。
25.『ムーミン谷の夏まつり』
ヤンソン 下村 隆一・訳
講談社 FARLIG MIDSOMMAR by Tove Jansson 1954
→「わたし、あんたにさらわれたってことにしておくわ」
「ゆめって、あたる?」
「もちろんよ。いつも、すてきなことが」
・・・ムーミンをアニメでしか知らない人。もったいなさすぎます!!
絶対に活字で読むべき。
26.『イラスト図解 世界情勢の地図帳―日本はどうなる』
池上 彰 2003
講談社
→2003年なので、少し古い。でも紛争の根は変わらない。
非常にわかりやすかったので、もしこれがシリーズ化/毎年発行されているとし たら最新版も読みたい。
27.『シリーズ食文化の発見〔世界編〕2 キャッサバ文化と粉粥餅文化』
関野 吉晴、加曽利 隆 著
宮本 常一・監修 日本観光文化研究所・編
柴田書店
→グレートジャーニーを成し遂げた関野吉晴氏が若き頃にアマゾン奥地の村々に滞 在した記も含まれる。
ふつうに楽しく読めるのだが・・・・「民俗学」の限界を感じたのも確か。
”私は旅や探検家が嫌いだ”とは、レヴィ・ストロースの言。
28.『Michio's Northern Dreams 6 花の宇宙』
星野 道夫
PHP研究所
→星野さんが花により目を向けるようになったのは、結婚してかららしい。
アラスカの花は、それはそれは小さくて可憐なのだろうな
とちょっと思いをはせてみる。
29.『Michio's Northern Dreams 4 森に還る日』
星野 道夫
PHP研究所
→そう、私は あの 森の写真を一番 愛す。
30.『THE DAVINCI CODE』
DAN BROWN
CORGI BOOKS
→事前に映画を見ておいたので、なんとか原文で読めた。
(何回か電子辞書の電池を入れ替えた。それくらい単語ひいた。)
好きです、こういうの。
31.『南方に死す』
荒俣 宏
集英社
→荒俣さんの南方への憧れ大成。やっぱすごいわこの人。
32.『デセプション・ポイント』
ダン・ブラウン 越前 敏弥・訳
角川書店
→ダン・ブラウン面白いですねー
33.『セネガルのお雇い日本人』
本城 靖久
中央公論社
→だいぶん前に書かれた本なのだが・・・(70年代)
いまでもたいして変わってないように思える。
それにしても イギリスとフランスの統治の仕方の大きな違いをかんじた。
(マラウイは旧イギリス領、セネガルは旧フランス領。)
セネガルではフランスの申し子ともいえる当時の大統領(フランスで博士号を取 り、詩人)が「フランスでは義務教育から外れたラテン語が、わが国ではまだ義 務教育となっていることは誇るべきで」
などとのたまったところに 心底びっくり。
文章の印象が小田実の「なんでも見てやろう」に似ている気がした。
今ではこういう風に書く人はいない。
そのちょっと客観的な洒脱な(っていうの?)文章、読みやすい。
34.『義経』
司馬 遼太郎
文藝春秋
→この切り口は、司馬遼太郎にしかできない、と思うのですが。どうでしょ。
個人的には、一夫多妻をやめさせようと始めたのが北条政子の説に戦慄が・・・
35.『電車男』
中野 独人
新潮社
→忙しい時期に、逃避のように読んでしまった。
これ、途中から創作だと思う・・・・・
エルメスは一体 何のサブヲタだったんだろう・・・ どーでもいいけど。
ヒットするなよ、こんな本。セカチューといい・・読むなよ、私!
まぁ 言葉遣いとか絵文字で「あの人(自分の知人)も2ちゃん見てる人なんだ ろうなぁ・・・」というのがわかりました。
36.『ヘブン ショップ』
デボラ・エリス さくま ゆみこ・訳
鈴木出版
→これはJICA関連の広報誌で度々紹介されていた。
マラウイを舞台としたエイズ孤児の話ということであえて避けていたのだけれ ど・・
「ヘブン ショップ」って何を売ってる店だと思います?
棺桶ですよ。儲かってます。
(ちなみに、職業訓練校で木工を教えている隊員によるとシラバスに必ず棺桶作り が含まれているとのこと。)
読むほどに、非常に丹念に取材をして書かれた本であることがわかる。
親を亡くした子供たちから家だけでなく遺品全て、子供の教科書やノートも奪い 去る親戚達の姿など
あまりにリアル・・・
マラウイのHIV/AIDS感染者数は、全人口の15%(公表値)とされ 実際は30%く らい?とされ地域によっては50%とも言われている。
その通り、この話のなかでもごく普通にエイズ患者がエイズ啓発活動をしていた りする。
それでいて、私はマラウイにいた間 自分の周りではひとりも患者とされる人、 エイズ孤児とされる人の話を聞かなかった。
皆、他人事のように捉えていた。若者たちは「ファッショナブルではない」とコ ンドーム着用を嫌がっていた。
一方で「エイズ対策」という職種の隊員は、日常茶飯事に孤児や患者さんたちと 向き合う。知人をエイズで亡くしている。
・・・・本書はなんと児童向けの本。挿絵も可愛い絵柄だけれど痩せ細った感染 者の絵がまたリアル。
将来、自分に子供ができたとして、この本を読み聞かせるとして、・・・・
37.『連戦連敗』
安藤 忠雄
東京大学出版
→今や東大の名誉教授、安藤忠雄の学生向け講義集を基にしている。
なんつーか 非常にわかりやすく面白く、安藤さんのホットぶりがわかると思 う。
雑誌でたくさんの写真を見ながら、とは かなり違う面白さ。
でも実際の授業は関西弁だったんだろうなー 生で聞きたい。。。
自分も負けなきゃあかん!と思った。
★
マラウイにいる2年間に、64冊読んだことになります。
(このペースは、日本にいたときよりも多いのかな。薄い本も厚い本もあったから一概にいえないけれど。)
本は自分で日本から持ってきたものもありますが
たいていは隊員用の宿泊所で借りてきた本や 隊員仲間、ボランティア調整員の方に借りた本でした。
あえてベスト5を挙げるとしたら・・・
1. イサム・ノグチ 宿命の越境者
2. ムーミン谷の十一月
3. 光の教会 安藤忠雄の現場
4. THE DAVINCI CODE
5. 宇宙からの帰還
・・・かなぁ。
私はね 飛び飛びで読んでいて全部は読んでいないと思う。(なのに「十一月」がベストだ!とか言ってしまっているのだけれど。)
妹が都内で某ムーミンショップの店長をしています。妹の部屋にはムーミンシリーズのみならず、ヤンソンさんの著書が勢揃い。ゆっくり読んで、暑い日本でフィンランドの森を感じようかなと思っています。
それにしても帰国して実家に戻ったら、家がムーミングッズであふれてて驚いた。私の部屋にまでクッションとかたくさん・・・・・・カップ全部ムーミン化。ハハハ
実は大人向けに書かれた漫画でスヌーピーもそう。心理学者が書いていて、もともと引きこもりがちな人達が「説教」じみた医者の説得を自然と受け入れられるよう漫画というオブラートに包んだものだった。
でも実際その意図はあんまり読者に伝わっていない部分が多いだよね。スヌーピーは自分の子供に読ませてみたいけど、ムーミンはちょっと。
「開発フィールドワーカー」は読みやすかったな。
へー スヌーピーっってそうだったんだ。ちゃんと読んでみようかな。たしかに毛布ずっとひっぱってるところとか、?といえば?だった・・・
今日、妹が店長をつとめるムーミンショップに行ってきたよ。ニョロニョロのマウスパッド買っちゃった
>ゆうたくん
かきこみありがとう!
そそ 野田さんはマラウイで進行中のとあるプロジェクトの調査にいらっしゃってました。森林再生プロジェクトね。で、その調査が終わってから隊員と話す機会を設けていただいたのです。
そもそもプロジェクト方式自体がダメって言い切ってた。事務所の人は皆苦い顔をしてたよ~
ひょっとして じみさん@沖縄ですか?
書き込みどうもありがとうございます 拝
仕事のない、日曜なんかに読みつつ眠ってしまったらわりと幸せではないでしょうか。
もしくは沖縄の冬、あの ニンニクをひとつひとつ分けたような寒い日に納屋で読む「ムーミン谷の11月」はいいかもしれません。
ムーミン谷 の活字本ですね 興味が出ました是非読んでみたいと思います、
マラウイでは色々と読まれていたんですね!
私などは 池波正太郎 シリーズばかりでした 仕掛け人藤枝梅安 鬼兵犯科帳 今読んでいるのが 剣客商売シリーズです その原動力は 某古本チエーン店で¥105円だったからだなあんて情けない。
そうそう maki makiチャンの文体が 犬丸りんチャン に似ていると思うのは僕だけでしょうか?
>miruniiさん
どうもどうも。私の父も池波サン好きですね。よく家で鬼平をテレビで見ているのを私も横でチラ見しています。ジプシーキングスの音楽がたまりませんね。
マラウイでは夜が長かったので・・・停電のときなど、ろうそくの灯で読んでいて、いちど本に燃え移ってかなりあせりました。
犬丸りん? 今度読んでみようかな・・・忍玉乱太郎か 汚JAL○(←「おじゃる丸」)の作者でしたっけ。
日本の図書館は感動モノです!!