イマココLIFE

キャリア18年の研修講師。少し心が軽くなるセルフケアやマインドフルネスの事、研修講師のお仕事を綴ります♪

耐える力

2023年08月02日 | マインドフルネス
こんにちは。
MBSR(マインドフルネスストレス低減法)認定講師(IMA/ドイツ , IMCJ/日本)、ヒューマンスキル研修講師のマグノリアです。
マインドフルネスやコミュニケーション、研修講師の日常についてブログに綴っています。


お盆休みの前に、忙しい日々を送っています。ブログも1週間ぶりです。

最近の出張先では、とても興味深いお話を伺う機会がありました。

夕食のために入ったレストランの店主はミャンマーご出身。大変流暢な日本語で話されるので、はじめは全く気づきませんでした。
(お顔立ちは少しエキゾチックでしたが、マリンスポーツなどをしていてきれいに日焼けしているのかな?と思っていました)

聞けば日本に来て30年以上になるそうです。

まだ少年だった頃にミャンマーは2度目のクーデターにより、軍が政権を握ることになりました。
彼の家族は民主化運動に加わっていたこともあり、身の危険を感じ、国を出ることを決意。アメリカやオーストラリアなど、英語圏を検討しましたが、最終的に日本を選びました。
比較的裕福だった彼の家は、財産の殆どを手放して家族全員のパスポートを手に入れたり、国を出て日本に入国する手配をしたりしました。
(いわゆる不法滞在です)

今では日本人と結婚し子供もいて、日本人として生活していますが、日本に来た当時は大変な生活だったそうです。

まだ15歳でしたが、小さい妹や弟もいる家族で生活を成り立たせなければいけません。他人のつてを頼り、レストランで働かせてもらうことになりました。
1日10時間以上、そのレストランで一生懸命に下働きの仕事をします。

仕事以外では一切外出をせず、人の目に触れないように過ごさねばなりませんでした。
万が一、人の目に止まり不審尋問されたりして、不法滞在の事実がバレたら、国に強制的に返されてしまいます。
日本は不法滞在者の扱いが厳しく、難民認定もほとんど受けられない事で有名です。

まだ遊びたい盛りの年頃の少年です。
それはとても苦しい事だったそうです。


食事中のカウンター席で話しかけられたとき、彼の明るく屈託なく思えた表情からは想像もつかない内容で、大変驚きました。
(はじめは他愛のないお喋りをしていたのですが、何かのきっかけで彼の半生を伺うことに)

良い人々に出会い、何とか過ごしてきたとはいえ、苦しいこともあったと思います。

辛いとき、どうやって乗り越えたの?
と伺ったら、彼の口から出たのが「瞑想」でした。

ミャンマーは仏教国です。
そしてミャンマーの仏教は上座部仏教。日本で広く広まる大乗仏教との違いは置いておきますが、上座部仏教は厳しい戒律を厳格に守る宗派です。

男の子は子供の頃にお坊さんとしての修行をすることが多いそうで、彼も2度の修行を経験したということでした。

7歳の頃は数週間。12歳の頃は3ヶ月。
その中でひたすらに呼吸に集中する瞑想を行ってきました。

どんなに呼吸に意識を向けていても、痒いところが出たり、痛みを感じることがあったりします。
その痒みや痛み(不快さ)は自分ではコントロール出来ない事だと理解し、呼吸へと戻る。

その時の経験が彼の土台であり、苦しいときの支え・心のあり方となっているんだ、と言っていました。

どうしょうもない事に抗わず、それはそれとして、今出来ることに意識を向けてゆく。


彼が言うには、もともとはとてもキレやすい性格だったそうで、それを心配した祖母が修行を勧めたとのこと。

そのような環境が身近にあり、価値を認めていればこそですね。

他にもたくさんの興味深いお話を伺いました。出張先での出会いに感謝です。

今日もお読みいただきありがとうございました。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (umaonaosora3104)
2023-08-05 07:00:51
とても興味深く拝見しました。
店主の過去を感じさせない人柄には感服させられます。

私もですが、苦しいことや嫌なことから逃れたいためにもがき、更に悪化させてしまうことが多々あります。
店主の方のように瞑想し浄化する域に達する事は難しいと思います。が、
目を閉じて「どうしょうもない事はどうしょうもない。それはそれとして、今出来ることはなんだろう」と問いかけることはできそうです。

ミャンマーは自分自身の修行の小乗仏教なんですね🤔。
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Unknown (magnolia-wl)
2023-08-06 08:29:05
@umaonaosora3104 さま

こんにちは。
コメントありがとうございます。

彼の辛い経験は、想像するにも限りがあると思いながら話を聞いていました。

実は、私のMBSRのスーパーバイザーの先生も、政治的に厳しいイランから家族で逃れてカナダに移った方です。とても大変な経験をされてきたはずですが、とても穏やかでユーモアに溢れています。そして本当に優しい。

無くしたもの、失ったものを追いかけ続けて苦しむよりも、今持っているものを大切にしたいな、と思わせられました。

ミャンマーやタイなど南アジアは上座部仏教(小乗仏教)が広まっていますね。

葉月
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