アメリカの研究室で日本と違うなと感じたのは実験ノートの事だろうか。
実験ノートは、当たり前だけど、日々の実験のやり方とか結果を記録したノートです。
化学系の実験ノートの書き方しか知らないけど
僕は、端的に言ってしまえば「AとBからCを合成する」的な実験を毎日してるので
実験ノートは基本的に
一番上に化学式 A + B → C を書いて
その下に、AとBの仕込み比(何mg使ったか等)を書く。
さらにその下は、人に依るけど、実際にやった実験手順を書く。
ある人は、文章で
The dry toluene solution of A was cooled to -78 oC, and B was added dropwise.Then the reaction mixture was warmed to room temperature and stirred for 4 h.
After 4 h, water was added to quench the reaction, and the organic layer was washed with NaOH aq.and dried over MgSO4.
After removing the solvent, the crude product was purifed with column to give orange solid.
ほとんどの人は、フローチャートで
↓
cool to -78 oC
|
|← B
↓
warm to r.t. and stir for 4 h
↓
add water
↓
wash with NaOH aq.
↓
dried over MgSO4
↓
evaporation
↓
column
どっちで書こうが、言ってることは
Aの脱水トルエン溶液を-78度に冷却し、Bを滴下した。その溶液を室温まで温め、4時間かく伴した。
4時間後、水を加えて反応を止め、有機層を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。
溶媒留去後、粗生成物をカラムで精製し、オレンジ色固体を得た。
まぁここまでは、どうでもいい。
で、毎ページの一番下にdateとsignatureという欄があるので、そこに日付を書いてサインを入れなければならない。
日本では日付はだいたい記入していたけど、サインは記入したことがなかった。
ってか、こっちでも全然記入してなくて、先生の部屋に実験ノートを持っていく機会があって
そこで「日付とサインを記入しないとダメじゃないか」と言われた。
あと「NMRとかスペクトルデータはどこにあるんだ?」って言われたから
「自分のラップトップの中です」と言うと、実験ノートで全ての情報が完結するように、スペクトル類もコピーして貼っとけと言われた。
しかし、同部屋の人でそこまで実験ノート徹底している人はいなかったんだよなぁ。。。
まぁ何故ここまで実験ノートに敏感になるかというと、これが公的文書と見なされる場合があるからだそうな。
例えば、今イケイケドンドンなiPS細胞は、京都大学の山中教授が世界で最初にマウスiPS細胞を作製したわけだけど
その後、ヒトiPS細胞作製が成功したとき、山中グループは論文をセル(という学術誌)に投稿し、掲載された。
一方で、アメリカのナントカ(名前忘れた)グループもヒトiPS細胞作製をサイエンス(だったと思う)に投稿し、山中グループと同日に掲載された。
両グループのヒトiPS細胞作製方法が少し違っていたために、問題にならかなったけど
万が一両グループが全く同じ方法で実験を行っていた場合、論文掲載日は同日でも、どちらが「世界初」かとなったときは
実験ノートの日付とサインが、どちらが先かを証明する唯一の手段となるわけです。
まぁ、そんなすごいこと出来ると最初から思ってないから
日付もサインも気にかけてないんですけどね。。。
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実験ノートは、当たり前だけど、日々の実験のやり方とか結果を記録したノートです。
化学系の実験ノートの書き方しか知らないけど
僕は、端的に言ってしまえば「AとBからCを合成する」的な実験を毎日してるので
実験ノートは基本的に
一番上に化学式 A + B → C を書いて
その下に、AとBの仕込み比(何mg使ったか等)を書く。
さらにその下は、人に依るけど、実際にやった実験手順を書く。
ある人は、文章で
The dry toluene solution of A was cooled to -78 oC, and B was added dropwise.Then the reaction mixture was warmed to room temperature and stirred for 4 h.
After 4 h, water was added to quench the reaction, and the organic layer was washed with NaOH aq.and dried over MgSO4.
After removing the solvent, the crude product was purifed with column to give orange solid.
ほとんどの人は、フローチャートで
↓
cool to -78 oC
|
|← B
↓
warm to r.t. and stir for 4 h
↓
add water
↓
wash with NaOH aq.
↓
dried over MgSO4
↓
evaporation
↓
column
どっちで書こうが、言ってることは
Aの脱水トルエン溶液を-78度に冷却し、Bを滴下した。その溶液を室温まで温め、4時間かく伴した。
4時間後、水を加えて反応を止め、有機層を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。
溶媒留去後、粗生成物をカラムで精製し、オレンジ色固体を得た。
まぁここまでは、どうでもいい。
で、毎ページの一番下にdateとsignatureという欄があるので、そこに日付を書いてサインを入れなければならない。
日本では日付はだいたい記入していたけど、サインは記入したことがなかった。
ってか、こっちでも全然記入してなくて、先生の部屋に実験ノートを持っていく機会があって
そこで「日付とサインを記入しないとダメじゃないか」と言われた。
あと「NMRとかスペクトルデータはどこにあるんだ?」って言われたから
「自分のラップトップの中です」と言うと、実験ノートで全ての情報が完結するように、スペクトル類もコピーして貼っとけと言われた。
しかし、同部屋の人でそこまで実験ノート徹底している人はいなかったんだよなぁ。。。
まぁ何故ここまで実験ノートに敏感になるかというと、これが公的文書と見なされる場合があるからだそうな。
例えば、今イケイケドンドンなiPS細胞は、京都大学の山中教授が世界で最初にマウスiPS細胞を作製したわけだけど
その後、ヒトiPS細胞作製が成功したとき、山中グループは論文をセル(という学術誌)に投稿し、掲載された。
一方で、アメリカのナントカ(名前忘れた)グループもヒトiPS細胞作製をサイエンス(だったと思う)に投稿し、山中グループと同日に掲載された。
両グループのヒトiPS細胞作製方法が少し違っていたために、問題にならかなったけど
万が一両グループが全く同じ方法で実験を行っていた場合、論文掲載日は同日でも、どちらが「世界初」かとなったときは
実験ノートの日付とサインが、どちらが先かを証明する唯一の手段となるわけです。
まぁ、そんなすごいこと出来ると最初から思ってないから
日付もサインも気にかけてないんですけどね。。。

ヒトiPS細胞ってなに??
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E5%A4%9A%E8%83%BD%E6%80%A7%E5%B9%B9%E7%B4%B0%E8%83%9E
皮膚の細胞から精子や卵子作れちゃうかもね(全能性持っちゃうよ)
だと思われ。
ここの大学は大学が作ったラボノートがあるのね。。。御丁寧にラボネームが刻印されてる。。。
日本でも独法では書かされてたよ~。
去年から本当にイケイケドンドンなんです。
>ゆみさん
簡単に言えば、ある細胞からどんな細胞でも作れる技術です。
将来は、肝臓移植が必要な人は、自分の皮膚細胞から肝臓作って、それを移植するみたいな。。。
自分の細胞から作ってるから、拒絶反応もないみたいな。。。
本当にイケイケドンドンなんです。
僕は畑違いなので詳細はわかりませんが。
>いえねこさん
たぶん医学系は工学系より
そーゆー管理意識が高いんでしょうねorz
山中研の人達と飲んだら...まぁ、話題の中心になると色々あるらしい。
> ある細胞から
「どの細胞からでも」だと思われ。ここに価値がある、ハズ。
同性同士の子供も作れちゃうかもらしいよ。
倫理的に駄目だろうけど。
それが成功したら、臓器移植とかもなくなるのかね。そうしたら、免許証のハートマークとかある人もいなくなるわけだ。
ノートには時間とかも書くのかな。世界初の祝賀会には呼んでちょ!
厳格な規律が必要でしょうけど
倫理で縛りすぎるのもどうかと思います。
>ぞーじおさん
まぁ真面目な人は時間書きますけど
僕はダメダメなんで書かないですね。。。