融資申込に求められることが多い資金繰り表の作成ですが、資金繰り計画を立てる前には、資金繰りの実績、つまり過去の数字を並べてみることが遠回りのようで近道です。
こうした金融機関などから求められる資金繰り表は、その多くが「月次」での資金繰り表の書式である場合が多いものです。

しかし実際には、初心者が月次資金繰り表をいきなり作るほうがハードルが高いため、これまた遠回りのようですが「資金日繰り表」から作成することをお勧めしています。
「資金日繰り表」とは、荒ぼったく言ってしまえば「お小遣い帳」に近いイメージです。

毎日の資金の収入と支出を記入し、その日の収支(資金の出入り)と、現預金残高が更新される表です。
まずは、会社から出ていくお金のなかでも毎月の決まった日に、一定の金額が出ていく支出を、記入していきます。
例えば、給料支払、仕入先への支払い、公共料金支払い、地代家賃などです。
次には、会社に入って来る収入を記入していきます。
これは業種によって収入の金額やタイミングが異なってきます。
例えば小売業や理美容院のようなサービス業であれば、日々お客様が購入して頂いた分だけの収入が毎日発生します。
一方で製造業などでは、一定の売上入金日に取引先からまとまった金額が入金されてきます。
建設業などでは、工事物件ごとにお施主さんから着工時、中間金、完成時などの3回程に分けて入金されることが多いものです。
こうした売上に伴う収入は、ある程度の売上見込を元に記入していくことになります。
ちなみに、損益計算書での損益ベースでは「収益」と「費用」と呼びますが、資金繰り表では資金の入りと出を表す「収入」と「支出」というように呼び名が変わります。
「収益」と「収入」は、似て非なるものです。
なぜなら「売上高」のような「収益」は、その全てが掛け売りであれば現金は一銭も入ってこないからです。
だから仮に100の「収益」が有ったとしても、「収入」は0ということも有り得ます。
だから会社の損益計算書や月次損益を表す月次試算表などの表とは別に、実際の現預金の増減を表す資金繰り表が必要となるわけです。
資金日繰り表の話に戻ります。
まずは過去の実績数値をもとに1か月~2か月前の資金日繰り表を作成してみます。
それは、会社の預金口座の動きなどを元に作成していきます。
極簡単にに言ってしまえば、会社から資金が出た「支出」の項目と、会社に資金が入った「収入」の項目をひとつづつ丁寧に拾いながら、資金日繰り表に記入していくだけです。
こうして作成していくと、「一か月の中でも、何日にいくらの資金が不足するか」ということが数字で手に取るように見えてくると思います。
さらに、資金日繰り表を2か月~3か月先までの計画として作成していくと、次のような会社の資金状況が見えてきます。
・毎月、何日に資金が底を打つか(資金が最も少なくなる日が何日か)
・毎月の最低資金残高の日を乗り切るためには、その前の何日の段階でいくらの資金残高が必要か
・資金繰りを回すためには、最低いくらの収入が必要か
・消費税支払いや賞与支払などによって資金繰りのキツイ時期は何月か
・何か月先の何日に資金がショートするか、またはいくらの資金残高で乗り切っていけるか
・資金ショートする日を乗り切るためには、いつ、いくらの借入調達が必要か
・資金不足を借入調達で乗り越えた後、いつ、いくらの入金で借入返済を行えるか
その他にも資金繰りの多くの情報が把握できるはずです。
これらを読んで「へえ~! すごいんだな資金繰り表って!」と思われた経営者と後継者の方は・・・
資金管理が成り行き任せになってしまっている可能性が高いです。
若しくは、資金管理が経理担当者任せになっているということです。
本来の会社経営とは、こうした資金繰り管理が肝心要であり、これらを綿密に管理できていなければコワくて仕方がありません。
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