
佐原の仕事柄、多くの中小企業経営者やその会社の社員の方々と話をさせて頂く機会が多い。
それも、かなり突っ込んだ内容の話だ。
経営者であれば、「赤字体質を解消したい。」、「問題社員をなんとかしたい。」、「後継者の息子がなんとも頼りない。」といった、おそらく他の人には打ち明ける事が無いであろう話題だ。
社員であれば、「あの管理者が頼りない。」とか「もう会社を辞めたい。」、「あの社長には付いていけない・・・」とか。
勿論、他の誰にも聞いた話はしない、という前置きをしてから話をしているので、こうした話をお聞きできる。
そして、話を聞くことが目的ではなく、こうした会社の「恥部」や「実態」をしっかりと把握してから、その改善策を共に検討して進めていくという流れの一つである。
会社の表面上の上っ面をなぞっただけで会社の事情を知ったつもりになってしまっていては、効果の上がるコンサルはできないからだ。
そして、こうした初期ヒアリングを経営者や社員達に行うなかで、時々感じることが、「人を仕事に突き動かす原動力は何か?」ということである。
経営者も社員の立場の違いに関わらず、良い意味でギラギラとした前に進むエネルギーやバイタリティを感じる人たちが居る一方で、どこか小さく収まってしまって欲や向上心を感じられない人達もいる。
肉食系と草食系の違いと形容しても良いだろう。
その違いは何だろうか?と自問自答することがある。
この場を借りて、少し整理してみたいと思う。
まず、仕事に対して意欲を感じるグループであるが、次のようなことを考えて行動しているように見える。
〈仕事に対する意欲の高いグループ〉
・目標が明確
・欲(物欲、出世欲、成功欲、承認欲など)が旺盛
・過去に苦難の時代があり、それを自分の努力で乗り越えてきた
・今の仕事や生活が上手くいっているが、それでも課題や目標との差が見えている
・未来志向 将来こうなりたいという理想像を鮮明に思い描けている
・危機意識 今は良くても、将来に亘って今の状態が続くとは考えていない
・変化を恐れない 常に何かを変えていきたいと欲している
・自分の使命感 仕事を通じてお客様や社員、社会をより良くしたいし貢献したいという使命感
・知人や友人が豊富 そこから良い刺激を受けているように思われる
一方で対照的な草食系は下記のような性質を持つ。
〈仕事に対する意欲の低いグループ〉
・今の現状で満足しきっている
・将来の目標を描いていないし、夢もない
・無欲 欲しい物もないし、これ以上自分が認められたいとも思っていない(ように見える)
・過去に何不自由なく恵まれた生活をしてきた(裕福な家庭に育った様子)
・今の仕事が上手くいかなくても実家の資産で食っていけてしまう
・危機意識もない
・今の状態がずっと続くと思っている
・あきらめ 自分がどう足搔いても何も変わらないというあきらめ
・惰性で生きているかのように見える
これらの違いはどこから生じるのであろうか?
20歳代から30歳代前半であれば、まだ意識や行動の変えようもあるが、30歳代後半から40歳代を超える年齢になると、こうした性質や思考様式、行動が定着してしまって変えにくくなっていく。
佐原が思うに、人を仕事に突き動かす原動力は、「欲」と「使命感」の二つなのではないかと考える。
「欲」には、良い家に住みたいとか良い車に乗りたい、成功者に見られたいという物欲や自己顕示欲も含まれる。
はじめはそうした欲を原動力に仕事に邁進していくのだろう。
しかし、それだけでは限界がある。
なぜなら自分中心であって自分のことだけに目が向きがちであるからだ。
二つ目の「使命感」は、会社の事業を通じて世の中の困り事を解決したい、とかお客様の期待に応えて貢献し、従業員により良い生活をさせてあげたい、という使命感だ。
ここに至ると視点が自分以外に向いてくる。
経営者の場合は、自分の思い描く方向へ仕事や人生の舵を切りやすい環境にあるので、こうしたことを自分でコントロールしやすい。
しかし、どうしても会社や経営者の意向に沿って仕事を進めることになる従業員の立場ではどうだろうか。
ここに論点が及ぶと、経営者側から見ると会社経営としてのモチベーション向上策の領域になっていく。
つまり、金銭的インセンティブ(給料や賞与など)や非金銭的インセンティブ(昇進、経営参画、承認など)などだ。
そして従業員の立場で自分でコントロールできることとなると次のようなものになるのではないだろうか。
・自ら行うスキルアップ
・お客様への貢献
・会社への貢献
・より経営に近い立場での、経営参画
・自分の裁量と企画力でより自由に仕事をさせてもらえる社内の環境づくり
こうした行動も、自分の意欲や目標意識があることが前提になるのだろう。
肉食系である冒険的な種と、草食系である保守的な種は、一見は前者が優れているように見えるが、実際には優劣などはないのではないか。
人間が太古の昔から、その種を残すためにDNAに組み込まれた機能かもしれない。
今居る地に危機が及ぶような時代であれば、危機を冒す冒険をしてでも次の安住の地を求めていくような種が求められるし、そうした冒険的な種は外敵などに命を奪われてしまうかもしれない。
一方で保守的な種は、自らを危地に追い込むことはないだろうが、緩やかに訪れる危機的変化に対応できずに何も行動を起こさないまま、その場で緩慢に滅びていくのかもしれない。
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