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hirataの雑記帳

思いつくまま、気の向くまま

なぜ英国に滞在した人は献血できないのか?

2006-05-18 02:08:55 | diary
 日赤のウェブサイトを見ると、「献血をご遠慮いただく場合」という説明がある。その中の1つに「1980年から1996年までに英国に1日以上滞在歴のある方」という項目がある。わずか1日だぞ。ということは「17年間にイギリスに立ち寄ったことがある旅行者は、全員献血を遠慮してください」と言っていることになる。

 輸血用の血液は不足気味なのに、なぜこんなに厳しい制限を課するのか……。答えはイギリスで、献血者からの輸血で変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)が感染したと考えざるをえないような症例が出現したからだ。

 同じイギリスの滞在歴でも、1997年から2004年までの期間だと、「通算6カ月以上滞在した方」と一気に許容範囲が長くなる。これはイギリス国内の狂牛病対策がほぼ完結した後とその前との違いである。

 狂牛病に感染した牛を食べた人に感染する可能性が高い、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病には、いくつかのパターンがある。プリオン蛋白のアミノ酸配列を調べると、129番目前後のアミノ酸がメチオニン・メチオニンだと比較的早期に病気の症状が顕著になる。一方、メチオニン・バリン、あるいはバリン・バリンタイプだと、症状の発現と診断の確定にさらなる長期間を要するらしい。いわゆる遅発性タイプだ。

 メチオニン・メチオニンの早期発症タイプだと見つかっているはずなのだが、バリンが入っている遅発タイプだと、見つからない期間に善意の献血をするとvCJD感染を拡大する可能性があるらしい。だから赤十字は、狂牛病対策が完成する前の英国滞在者は、わずか1日の滞在期間でも献血対象から除外したのだ。

 ということは、見方を変えると、輸血でも感染する可能性があるわけだ。血液から感染するなら、すべての肉が感染源になりうる。プリオン蛋白が集積している脳や脊髄などの特定危険部位を除去すれば安全というのは、全くの幻想に過ぎないことになる。

 アメリカ企業と議会は、自分たちが儲けるためなら平気で他国にウソをついているが、この件ではきっと米国内のBSE患者がますます増えるに決まっているから、どこまでウソを突き通すかの時間的勝負になるだろう。

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