「ダブリンのマーケット」
マーケットって不思議な魅力がありますよね。私ももちろん大好きで、どこかの街を訪れるたび、マーケット探しに精を出すマーケットジャンキー、略して「マケジャン」です。遺跡とか見るより、正直、よっぽど好きです。パリやN.Yなどの雑多な蚤の市、いいですよねぇ。特にジャンクなモノが大好きな私は、N・Yの蚤の市で買ったヤギの頭蓋骨のオブジェや、パリのモントルイユの蚤の市で買ったアーミーっぽい頭陀袋の中に入ってたガスマスク(フランス滞在の後、このマスクを持ってイギリスに入国した際、どうかカバンの中を見られませんように、とビクビクした思い出が・・・)など、我が家は無意味なジャンクでいっぱいです。
といっても、観光客として訪れるとなると、野菜や果物、肉や魚など生鮮食品を扱うマーケットでは、実際、なかなか買い物はできませんよね。だって、普通のホテルに滞在してる人間が、「わぁ、あのジャガイモ安い!一山1ユーロだって!」と飛びついても、ジャガイモ抱えてウロウロ旅を続けるわけいかないし。ダブリン市内にも数箇所フード・マーケットはありますが、フランスやイタリアみたいな市場天国に比べると、全然少ないと思う。とは言うものの、そこに住む人々の生活を垣間見れる場所として、観光客でも楽しめる(であろう)マーケットをご紹介します。そこが生活に根ざしたものであればあるほど面白いです。こんなふうに、特に目当てがあるわけじゃないけど、何かビビッ!と来たら買お~かなぁ・・・的な力の抜けたスタンスで歩き回る楽しさ。たまりません。まぁ、ビビッ!と来る前に、なんやかんやと買っちゃうのもマーケットの魔力だけど・・・。
「Temple Bar Food Market/Craft & Furniture Market」
毎週土曜日、朝10時から夕方5時までテンプル・バー内にあるMeeting House Squareで開かれている、ちょっとオシャレなフード・マーケット。オーガニック野菜や果物などの他、ホームメイドのジャムやケーキ、肉屋さんに魚屋さん、オリーブ屋さんにチーズ屋さんにパン屋さん、コーヒー屋さんにクレープリー(クレープ屋さん)、すし屋さん(店の人が日本人かは不明)にタコス屋さんなど、こじんまりした広場にカラフルなパラソルを掲げた20軒ほどの屋台が軒を並べています。メキシカン・フードやおいしいソーセージを挟んだホット・ドッグ、ペストリーなどいろいろ買い食いできるのもココの魅力。
普段、野菜と果物はムーア・ストリートにある庶民派マーケットを利用するのですが、気分がちょっとこじゃれてしまった土曜日(またはちょっとお財布にお金が多めに入ってる時など)、大きなバッグを持って、このマーケットにるんるんと買い出しにやって来ます。店備え付けの籐カゴを抱え、オーガニック野菜などを放り込んでいると、気分は一瞬有閑マダム。でも野菜大好き女の私は、ほっとくとカゴから転がり落ちるほど買い込んでしまい、会計時にその合計金額に口があんぐり開いてしまったりするので、よっぽど自制しなくてはなりません。ここは観光客の多いテンプル・バーという土地柄故か、全体的に値段は高いです(ま、オーガニックの食物はどこでも高いけど)。
一度、ここのチーズ屋さんの前でどれにしようか悩んでいると、ラジオ局からこの市場の取材に来たというキリッとした老婦人と出会いました。彼女は私が日本人だと知ると、「日本人はどれくらいチーズを食べるの?」とか「日本ではどんなチーズが人気なの?」とか質問するので、「ん~、私はチーズ大好きですよ。特にブリーとかカマンベールみたいなやわらかいタイプ。洗ってない靴下みたいに匂いが強烈なフランスチーズも全然平気」などと答えてましたが、その老婦人は私の答えを逐一ノートに書き留めるので、「大丈夫かなあ、これが日本人代表みたいな答えに取られて、“日本人は臭い靴下みたいなチーズが好き”とか書かれたら・・・」と不安になりましたが、その店の若い女の子(日本に興味を持つロシア人)は、その老婦人だけでなく、私にまでいろんなチーズの味見をさせてくれたので、役得役得♪
ここのクレープリーでシンプルなレモン&シュガークレープをかじりながら、豆の量り売りもやっているコーヒー屋さんで濃~~いエスプレッソを飲む。これが私の定番。
土曜日がフード・マーケットなら日曜日はクラフト&ファニチャー・マーケット。お昼から6時くらいまでやってます。フード・マーケットと同じ場所で行われており、玉ねぎやトマトの棚があった場所には、地元や海外からのアーティストによる、アクセサリーやバッグなどのストールが並び、自然派ソープやキャンドル、絵や写真などのほか、家具も売られています。割と新しいマーケットなので、それほど人でごった返すこともなく、のんびり見て回ることができます。日曜日の散歩がてら立ち寄るのもいいかも。私好みのビーズ刺繍を施したバッグやサンダル、石や木を使ったネックレス、ファンキーな色合いのマフラーや帽子など、作家たちが丹精こめて創った、個性的な商品を見て回るだけでも楽しいです。少しだけど古着も扱ってますよ。
「Moore Street Market」
ダブリンを代表する青空市場。全ての点においてテンプル・バーのフード・マーケットとは対極をなしてます。ムーア・ストリートはオコンネル・ストリートのすぐそばの、ヘンリー・ストリートとパーネル・ストリートを繋ぐ通りで、雰囲気はとてもエキゾティック。アジア系(ほぼ中国系)、アラブ系、アフリカ系などの店舗がずらりと並ぶこの通りは、スパイスの香りなどと相まって独特な猥雑感があります。この通りで月曜日から土曜日まで開かれる青空市場には、この庶民的な雰囲気に惹かれ、地元の買い物客だけでなくカメラを下げた観光客も集まって来ます。夕方になるとおばちゃんたちが店じまいの準備を始め、清掃車が空いたダンボール箱などを回収し、その後にはキャベツの切れっぱしや潰れたトマトが散乱する風景は、ダブリンにおける日常風景の一つ。この街の生活に根ざした市場だけあって、質より量と安さを求める人向きかも。
この市場は野菜と果物がメインで、色鮮やかな花屋、おばちゃんたちがでっかい包丁で豪快にぶった切っている魚屋などの他、誰が着るんだ?というようなダサいジャージや巨大下着などを売る服屋、「トブラローネ!(スイスのチョコ・バー。中に砕いたキャンディが入ってるアレです)」と叫んで、チョコなどのお菓子を売っているこじんまりした屋台などがあります。屋台とは別に、太鼓腹のアイリッシュおじさんたちが商う常設店の肉屋も数軒あるし、この通りからILACショッピングセンターに入れるし、日用品がごちゃごちゃと詰め込まれた雑貨屋さん、安さの殿堂スーパー・LIDLもあり、この通り一本で全ての買い物はこと足りてしまいます。
店のおばちゃんたちは見るからに肝っ玉アイリッシュ母ちゃん!といった感じで、客を右に左に大声でさばいています。私はここでリンゴを買っていた観光客らしき男性が「それじゃなくてもっと奥のキレイなやつをくれよ」と文句を言った瞬間、店のおばちゃんが「じゃあ、ここで買うのやめな!」と一喝し、追っ払ってしまった場面を目撃しました。こえ~~!とは言え常連になると、イチゴを2パック買った時、オマケにもう1パック付けてくれたり、「そのブロッコリーは色が悪いからこっちにしな、ハニー」と新鮮なのを持ってきてくれたり、「全部で4・5ユーロだけど、4ユーロでいいよ、ラブ」とマケてくれたりもします。とてもおジョーヒンなマーケットとは言えないけど、ガサツな下町女の私からすると心和む場所ではありました。
ただねぇ、安いのでいつも買い過ぎちゃって、帰りがホントに辛いんですよね・・・。一袋1ユーロのジャガイモやニンジンや玉ねぎ、10個で1.5ユーロのオレンジやリンゴ、恐ろしいほど硬い超巨大キャベツ3ユーロ(マトリューシュカ人形みたいに中に5個ぐらい別のキャベツが入ってるんじゃないのか?と疑うほど)などが入った袋を想像してみなさい!力に自信がある私でも腕がもげるって!私のフラットから近いとは言え、やっぱり帰りはバスに頼ることに・・・。でもしこたま野菜を手に入れた日は、豪快に全ての野菜を刻んでぶっこみ、栄養たっぷりスープを作って、それで3,4日はしのげてしまいます。思い返すとダブリンにいる間、肉にさほど興味がない私は、この市場の野菜だけで生きてたような気がする・・・。お前は虫か?
「Cow’s Lane Market」
テンプル・バー・エリアの西側にあるCow’s Laneで開かれているファッション&デザイン・マーケット。クライスト・チャーチからも近く、この静かな通りを含む周辺はOld Cityと呼ばれ、オシャレな家具やジュエリー、個性的な服を扱う店が多い洗練されたエリアです。このマーケットは毎週土曜日に行われていて、気鋭のデザイナーたちが創ったシックなジュエリーやバッグ、帽子や洋服、靴などを売るストールが並びます。基本的にヒッピーみたいなアクセサリーや古着が大好きな私からすると(昔から母親に「何であんたはいつもそんな小汚いモノばかり買ってくるの?!」と言われてますが)、ちょっと洗練され過ぎてるかな?という店もありますが、それらオリジナルデザインの商品は、シンプルな中にもゴージャス感があるものが多く、買わないにしても時々訪れては、商品チェックをして楽しんでます。
また、かわいい子供服やファンキーなデザインのスカートやジャケットなど、値段は高いけど目を引き付けられるモノばかり。でも、昔はこの通り、何の変哲もないただのしみったれた裏道といった感じだったのに、こんなオシャレな雰囲気になろうとは・・・。いやはや。
「George’s Street Arcade」
South Great Georges Streetにある常設マーケットで、ダンズ・ストアのすぐ隣。パリのパッサージュみたいなスタイルで、要するにショッピング・アーケードです。雨の日は便利だし、日曜日以外は毎日オープン。店の種類や取り扱っている商品などは(規模は比べ物にもならないけど)ロンドンのカムデン・マーケットみたい感じで(チェ・ゲバラの顔プリントTシャツとか南米っぽいデザインのショルダーバッグとかが売ってるような・・・。この感じ、分かります?)、ちょっとツーリスティックな雰囲気。
古本屋や中古CD・レコード屋、指輪やアクセサリー屋や古着、映画ポスターなんかを取り扱ってる店の他、オーガニック・フードを扱う店、自然派化粧品を売る店、占い師など、50メートルほどのアーケードの中に様々な店が軒を並べています。Drury Street側の入り口脇の酒屋さんはワインの種類も豊富だし、店の主人(ちょっとミステリアスな雰囲気を漂わしているヒゲのおじさん)は気さくに相談にも乗ってくれるので、パーティへお呼ばれした際のおみやげや、スーパーの安売りじゃない、ちょっと上等なワインが飲みたいなあ・・・という時はココで買います。
このアーケード内には数件のカフェがありますが、一番のお気に入りはGeorge’s Street側の入り口にあるSimon’s Place。ここはダブリンの街の中でも私の大好きなカフェの一つです。様々なポスターやチラシ(映画のポスター、アマチュア~プロのバンドのライブスケジュール、ヨガのレッスン、ギター教室、「フランス語個人レッスンします」などなど・・・)がベタベタ貼られた店内には、私が理想とするカフェの全てを具現化した雰囲気が溢れています。通りに面した大きなウィンドウ、幅広い客層(常連の学生、工事現場のおっさん、若いカップル、ランチに来た近所で働いてる人、ギターケースを抱えたミュージシャン、観光客・・・)、親密感のあるこぢんまりとしたスペース(地下にもテーブルあり)、飾り気のない気楽な空気、人々のおしゃべりや笑い声、飛び交う店のスタッフの声、エスプレッソ・メーカーが立てる「シュウウウ!」という音・・・。私のように1人でカウンター席に座り、本や新聞をのんびり楽しんでいるお客さんも多く、口にすると何だかバカみたいだけど、「ああ、私はこの街の一部なんだな」と感じさせてくれる雰囲気があります。日替わりのスープや楕円形のパンをスライスして作ったサンドイッチも大好き(特に歯ごたえのある耳の部分)。値段も庶民派カフェにふさわしく、安いです。感動的なほどおいしい!ってわけじゃないけど、気楽な味わいのペストリーやケーキも好き。
「Blackrock Market」
番外編として、ダブリン郊外のブラックロックという町で行われるフリー・マーケット。ここは有名なのでご存知の方も多いと思います。郊外列車DARTのブラックロック駅から歩いて5分ほどの、この小さい町のメインストリート沿いで開かれており、毎週末オープン。規模はそれほど大きくはないんだけど、それでも50店舗ほどが敷地内に店を出しています。はたはたとひらめく飾り旗が掲げられた屋外ではジュエリー、雑貨、服、靴、家具、古本、中古CD、パン屋さん、占い師などが出店していますが、私が好きなのは、敷地の一番奥にある建物内の店。この中で出店しているのは、ほとんどアンティーク。いかにも「昔ながらの蚤の市」といった内容で、田舎のおばあちゃんの家で使われていたような古いスプーンや皿、ポットなどの食器類、50年代に使われていたようなクラシックなカバンや帽子、家具、古いポスターや絵画、古本、置物、時計、そしてもちろん古着。
私が蚤の市を好きな理由の一つが、かすかに防腐剤の匂いが混じったような、埃っぽい空気。私はこの匂いが大好きで、こういう場所に来ると、ついクンクンと嗅いでしまいます。何年もまたは何十年も誰かの家の片隅で憩っていたモノたち。そして人から人へと渡ってきたモノたち。蚤の市での買い物って何だか「一期一会」だな、と思いませんか?デパートでの買い物と違って同じ商品はないので、ここで買わなかったらもう二度と出会わないだろうなぁ、と思わせる情緒があります。このジャケットも私以外、誰も持ってないだろうな~という優越感に浸れるのも結構好き(誰もそんなボロ、着たがらねーよ、というツッコミは別にして)。
私はこのマーケットでチョコレート色の古い皮ジャン(私にしては超大金の50ユーロで購入!)、小さいウサギの置物(かわいげのない顔が好き。写真参照)などを買って、それらはいまだに大のお気に入りです。
上記の他にも、フード・マーケットとしては、Pearse StreetのSt.Andrews Centreで毎週土曜日に行われているインドアのオーガニック・マーケット・「Dublin Food Co-Op」、オシャレなエリア、Ranelaghで毎週日曜日に行われている「Farmer’s Market」、通りの名前は忘れちゃったけど、セント・パトリック大聖堂からも割と近い、庶民的な裏通りで行われていた、まるで戦後の上野のアメ横みたいな雰囲気のマーケット(戦後のアメ横なんて実際には知らないけどさ)など、なかなか「隅に置けないわね!」的なマーケットもあります。
ダブリン市内のマーケット情報はこちらでチェック。上記マーケットの情報のほとんどはここで見れます。
コメント返信:
AMBERさん、「コメント第2号で賞」は予想通り、あなたのものです。おめでとうございます。恐らく「コメント第350で賞」あたりまでぶっちぎりで受賞できると思いますので、今後もよろしくお願い致します。
マーケットって不思議な魅力がありますよね。私ももちろん大好きで、どこかの街を訪れるたび、マーケット探しに精を出すマーケットジャンキー、略して「マケジャン」です。遺跡とか見るより、正直、よっぽど好きです。パリやN.Yなどの雑多な蚤の市、いいですよねぇ。特にジャンクなモノが大好きな私は、N・Yの蚤の市で買ったヤギの頭蓋骨のオブジェや、パリのモントルイユの蚤の市で買ったアーミーっぽい頭陀袋の中に入ってたガスマスク(フランス滞在の後、このマスクを持ってイギリスに入国した際、どうかカバンの中を見られませんように、とビクビクした思い出が・・・)など、我が家は無意味なジャンクでいっぱいです。
といっても、観光客として訪れるとなると、野菜や果物、肉や魚など生鮮食品を扱うマーケットでは、実際、なかなか買い物はできませんよね。だって、普通のホテルに滞在してる人間が、「わぁ、あのジャガイモ安い!一山1ユーロだって!」と飛びついても、ジャガイモ抱えてウロウロ旅を続けるわけいかないし。ダブリン市内にも数箇所フード・マーケットはありますが、フランスやイタリアみたいな市場天国に比べると、全然少ないと思う。とは言うものの、そこに住む人々の生活を垣間見れる場所として、観光客でも楽しめる(であろう)マーケットをご紹介します。そこが生活に根ざしたものであればあるほど面白いです。こんなふうに、特に目当てがあるわけじゃないけど、何かビビッ!と来たら買お~かなぁ・・・的な力の抜けたスタンスで歩き回る楽しさ。たまりません。まぁ、ビビッ!と来る前に、なんやかんやと買っちゃうのもマーケットの魔力だけど・・・。
「Temple Bar Food Market/Craft & Furniture Market」
毎週土曜日、朝10時から夕方5時までテンプル・バー内にあるMeeting House Squareで開かれている、ちょっとオシャレなフード・マーケット。オーガニック野菜や果物などの他、ホームメイドのジャムやケーキ、肉屋さんに魚屋さん、オリーブ屋さんにチーズ屋さんにパン屋さん、コーヒー屋さんにクレープリー(クレープ屋さん)、すし屋さん(店の人が日本人かは不明)にタコス屋さんなど、こじんまりした広場にカラフルなパラソルを掲げた20軒ほどの屋台が軒を並べています。メキシカン・フードやおいしいソーセージを挟んだホット・ドッグ、ペストリーなどいろいろ買い食いできるのもココの魅力。
普段、野菜と果物はムーア・ストリートにある庶民派マーケットを利用するのですが、気分がちょっとこじゃれてしまった土曜日(またはちょっとお財布にお金が多めに入ってる時など)、大きなバッグを持って、このマーケットにるんるんと買い出しにやって来ます。店備え付けの籐カゴを抱え、オーガニック野菜などを放り込んでいると、気分は一瞬有閑マダム。でも野菜大好き女の私は、ほっとくとカゴから転がり落ちるほど買い込んでしまい、会計時にその合計金額に口があんぐり開いてしまったりするので、よっぽど自制しなくてはなりません。ここは観光客の多いテンプル・バーという土地柄故か、全体的に値段は高いです(ま、オーガニックの食物はどこでも高いけど)。
一度、ここのチーズ屋さんの前でどれにしようか悩んでいると、ラジオ局からこの市場の取材に来たというキリッとした老婦人と出会いました。彼女は私が日本人だと知ると、「日本人はどれくらいチーズを食べるの?」とか「日本ではどんなチーズが人気なの?」とか質問するので、「ん~、私はチーズ大好きですよ。特にブリーとかカマンベールみたいなやわらかいタイプ。洗ってない靴下みたいに匂いが強烈なフランスチーズも全然平気」などと答えてましたが、その老婦人は私の答えを逐一ノートに書き留めるので、「大丈夫かなあ、これが日本人代表みたいな答えに取られて、“日本人は臭い靴下みたいなチーズが好き”とか書かれたら・・・」と不安になりましたが、その店の若い女の子(日本に興味を持つロシア人)は、その老婦人だけでなく、私にまでいろんなチーズの味見をさせてくれたので、役得役得♪
ここのクレープリーでシンプルなレモン&シュガークレープをかじりながら、豆の量り売りもやっているコーヒー屋さんで濃~~いエスプレッソを飲む。これが私の定番。
土曜日がフード・マーケットなら日曜日はクラフト&ファニチャー・マーケット。お昼から6時くらいまでやってます。フード・マーケットと同じ場所で行われており、玉ねぎやトマトの棚があった場所には、地元や海外からのアーティストによる、アクセサリーやバッグなどのストールが並び、自然派ソープやキャンドル、絵や写真などのほか、家具も売られています。割と新しいマーケットなので、それほど人でごった返すこともなく、のんびり見て回ることができます。日曜日の散歩がてら立ち寄るのもいいかも。私好みのビーズ刺繍を施したバッグやサンダル、石や木を使ったネックレス、ファンキーな色合いのマフラーや帽子など、作家たちが丹精こめて創った、個性的な商品を見て回るだけでも楽しいです。少しだけど古着も扱ってますよ。
「Moore Street Market」
ダブリンを代表する青空市場。全ての点においてテンプル・バーのフード・マーケットとは対極をなしてます。ムーア・ストリートはオコンネル・ストリートのすぐそばの、ヘンリー・ストリートとパーネル・ストリートを繋ぐ通りで、雰囲気はとてもエキゾティック。アジア系(ほぼ中国系)、アラブ系、アフリカ系などの店舗がずらりと並ぶこの通りは、スパイスの香りなどと相まって独特な猥雑感があります。この通りで月曜日から土曜日まで開かれる青空市場には、この庶民的な雰囲気に惹かれ、地元の買い物客だけでなくカメラを下げた観光客も集まって来ます。夕方になるとおばちゃんたちが店じまいの準備を始め、清掃車が空いたダンボール箱などを回収し、その後にはキャベツの切れっぱしや潰れたトマトが散乱する風景は、ダブリンにおける日常風景の一つ。この街の生活に根ざした市場だけあって、質より量と安さを求める人向きかも。
この市場は野菜と果物がメインで、色鮮やかな花屋、おばちゃんたちがでっかい包丁で豪快にぶった切っている魚屋などの他、誰が着るんだ?というようなダサいジャージや巨大下着などを売る服屋、「トブラローネ!(スイスのチョコ・バー。中に砕いたキャンディが入ってるアレです)」と叫んで、チョコなどのお菓子を売っているこじんまりした屋台などがあります。屋台とは別に、太鼓腹のアイリッシュおじさんたちが商う常設店の肉屋も数軒あるし、この通りからILACショッピングセンターに入れるし、日用品がごちゃごちゃと詰め込まれた雑貨屋さん、安さの殿堂スーパー・LIDLもあり、この通り一本で全ての買い物はこと足りてしまいます。
店のおばちゃんたちは見るからに肝っ玉アイリッシュ母ちゃん!といった感じで、客を右に左に大声でさばいています。私はここでリンゴを買っていた観光客らしき男性が「それじゃなくてもっと奥のキレイなやつをくれよ」と文句を言った瞬間、店のおばちゃんが「じゃあ、ここで買うのやめな!」と一喝し、追っ払ってしまった場面を目撃しました。こえ~~!とは言え常連になると、イチゴを2パック買った時、オマケにもう1パック付けてくれたり、「そのブロッコリーは色が悪いからこっちにしな、ハニー」と新鮮なのを持ってきてくれたり、「全部で4・5ユーロだけど、4ユーロでいいよ、ラブ」とマケてくれたりもします。とてもおジョーヒンなマーケットとは言えないけど、ガサツな下町女の私からすると心和む場所ではありました。
ただねぇ、安いのでいつも買い過ぎちゃって、帰りがホントに辛いんですよね・・・。一袋1ユーロのジャガイモやニンジンや玉ねぎ、10個で1.5ユーロのオレンジやリンゴ、恐ろしいほど硬い超巨大キャベツ3ユーロ(マトリューシュカ人形みたいに中に5個ぐらい別のキャベツが入ってるんじゃないのか?と疑うほど)などが入った袋を想像してみなさい!力に自信がある私でも腕がもげるって!私のフラットから近いとは言え、やっぱり帰りはバスに頼ることに・・・。でもしこたま野菜を手に入れた日は、豪快に全ての野菜を刻んでぶっこみ、栄養たっぷりスープを作って、それで3,4日はしのげてしまいます。思い返すとダブリンにいる間、肉にさほど興味がない私は、この市場の野菜だけで生きてたような気がする・・・。お前は虫か?
「Cow’s Lane Market」
テンプル・バー・エリアの西側にあるCow’s Laneで開かれているファッション&デザイン・マーケット。クライスト・チャーチからも近く、この静かな通りを含む周辺はOld Cityと呼ばれ、オシャレな家具やジュエリー、個性的な服を扱う店が多い洗練されたエリアです。このマーケットは毎週土曜日に行われていて、気鋭のデザイナーたちが創ったシックなジュエリーやバッグ、帽子や洋服、靴などを売るストールが並びます。基本的にヒッピーみたいなアクセサリーや古着が大好きな私からすると(昔から母親に「何であんたはいつもそんな小汚いモノばかり買ってくるの?!」と言われてますが)、ちょっと洗練され過ぎてるかな?という店もありますが、それらオリジナルデザインの商品は、シンプルな中にもゴージャス感があるものが多く、買わないにしても時々訪れては、商品チェックをして楽しんでます。
また、かわいい子供服やファンキーなデザインのスカートやジャケットなど、値段は高いけど目を引き付けられるモノばかり。でも、昔はこの通り、何の変哲もないただのしみったれた裏道といった感じだったのに、こんなオシャレな雰囲気になろうとは・・・。いやはや。
「George’s Street Arcade」
South Great Georges Streetにある常設マーケットで、ダンズ・ストアのすぐ隣。パリのパッサージュみたいなスタイルで、要するにショッピング・アーケードです。雨の日は便利だし、日曜日以外は毎日オープン。店の種類や取り扱っている商品などは(規模は比べ物にもならないけど)ロンドンのカムデン・マーケットみたい感じで(チェ・ゲバラの顔プリントTシャツとか南米っぽいデザインのショルダーバッグとかが売ってるような・・・。この感じ、分かります?)、ちょっとツーリスティックな雰囲気。
古本屋や中古CD・レコード屋、指輪やアクセサリー屋や古着、映画ポスターなんかを取り扱ってる店の他、オーガニック・フードを扱う店、自然派化粧品を売る店、占い師など、50メートルほどのアーケードの中に様々な店が軒を並べています。Drury Street側の入り口脇の酒屋さんはワインの種類も豊富だし、店の主人(ちょっとミステリアスな雰囲気を漂わしているヒゲのおじさん)は気さくに相談にも乗ってくれるので、パーティへお呼ばれした際のおみやげや、スーパーの安売りじゃない、ちょっと上等なワインが飲みたいなあ・・・という時はココで買います。
このアーケード内には数件のカフェがありますが、一番のお気に入りはGeorge’s Street側の入り口にあるSimon’s Place。ここはダブリンの街の中でも私の大好きなカフェの一つです。様々なポスターやチラシ(映画のポスター、アマチュア~プロのバンドのライブスケジュール、ヨガのレッスン、ギター教室、「フランス語個人レッスンします」などなど・・・)がベタベタ貼られた店内には、私が理想とするカフェの全てを具現化した雰囲気が溢れています。通りに面した大きなウィンドウ、幅広い客層(常連の学生、工事現場のおっさん、若いカップル、ランチに来た近所で働いてる人、ギターケースを抱えたミュージシャン、観光客・・・)、親密感のあるこぢんまりとしたスペース(地下にもテーブルあり)、飾り気のない気楽な空気、人々のおしゃべりや笑い声、飛び交う店のスタッフの声、エスプレッソ・メーカーが立てる「シュウウウ!」という音・・・。私のように1人でカウンター席に座り、本や新聞をのんびり楽しんでいるお客さんも多く、口にすると何だかバカみたいだけど、「ああ、私はこの街の一部なんだな」と感じさせてくれる雰囲気があります。日替わりのスープや楕円形のパンをスライスして作ったサンドイッチも大好き(特に歯ごたえのある耳の部分)。値段も庶民派カフェにふさわしく、安いです。感動的なほどおいしい!ってわけじゃないけど、気楽な味わいのペストリーやケーキも好き。
「Blackrock Market」
番外編として、ダブリン郊外のブラックロックという町で行われるフリー・マーケット。ここは有名なのでご存知の方も多いと思います。郊外列車DARTのブラックロック駅から歩いて5分ほどの、この小さい町のメインストリート沿いで開かれており、毎週末オープン。規模はそれほど大きくはないんだけど、それでも50店舗ほどが敷地内に店を出しています。はたはたとひらめく飾り旗が掲げられた屋外ではジュエリー、雑貨、服、靴、家具、古本、中古CD、パン屋さん、占い師などが出店していますが、私が好きなのは、敷地の一番奥にある建物内の店。この中で出店しているのは、ほとんどアンティーク。いかにも「昔ながらの蚤の市」といった内容で、田舎のおばあちゃんの家で使われていたような古いスプーンや皿、ポットなどの食器類、50年代に使われていたようなクラシックなカバンや帽子、家具、古いポスターや絵画、古本、置物、時計、そしてもちろん古着。
私が蚤の市を好きな理由の一つが、かすかに防腐剤の匂いが混じったような、埃っぽい空気。私はこの匂いが大好きで、こういう場所に来ると、ついクンクンと嗅いでしまいます。何年もまたは何十年も誰かの家の片隅で憩っていたモノたち。そして人から人へと渡ってきたモノたち。蚤の市での買い物って何だか「一期一会」だな、と思いませんか?デパートでの買い物と違って同じ商品はないので、ここで買わなかったらもう二度と出会わないだろうなぁ、と思わせる情緒があります。このジャケットも私以外、誰も持ってないだろうな~という優越感に浸れるのも結構好き(誰もそんなボロ、着たがらねーよ、というツッコミは別にして)。
私はこのマーケットでチョコレート色の古い皮ジャン(私にしては超大金の50ユーロで購入!)、小さいウサギの置物(かわいげのない顔が好き。写真参照)などを買って、それらはいまだに大のお気に入りです。
上記の他にも、フード・マーケットとしては、Pearse StreetのSt.Andrews Centreで毎週土曜日に行われているインドアのオーガニック・マーケット・「Dublin Food Co-Op」、オシャレなエリア、Ranelaghで毎週日曜日に行われている「Farmer’s Market」、通りの名前は忘れちゃったけど、セント・パトリック大聖堂からも割と近い、庶民的な裏通りで行われていた、まるで戦後の上野のアメ横みたいな雰囲気のマーケット(戦後のアメ横なんて実際には知らないけどさ)など、なかなか「隅に置けないわね!」的なマーケットもあります。
ダブリン市内のマーケット情報はこちらでチェック。上記マーケットの情報のほとんどはここで見れます。
コメント返信:
AMBERさん、「コメント第2号で賞」は予想通り、あなたのものです。おめでとうございます。恐らく「コメント第350で賞」あたりまでぶっちぎりで受賞できると思いますので、今後もよろしくお願い致します。