最近は、プラスチック、金属、ガラス、セラミック、タイルなど、さまざまな種類の表札が流通していますが、今回は、天然銘木の表札をレーザーで彫刻してみました。
文字の彫り方に、かまぼこ彫りと薬研彫りというものがあります。(もちろん、その他にもありますが)
かまぼこ彫りは、文字の断面が盛り上がる形状、薬研彫りは文字の断面がV字になっています。
レーザーで、これらを加工する場合、データ作成の時点から手を加えます。
もとになるデータは、全く同じものを使いました。
これを、それぞれ下記のようにグラデーションをかけます。左がかまぼこ彫り用、右が薬研彫り用です。
もちろん、これだけではレリーフ調には彫ることが出来ません。 このデータを、プリンタドライバの設定でグラデーションの濃淡をレーザーの出力に置き換えるモードに設定します。
これが、その加工モードのパラメーター設定画面です。下の数値はデフォルトのままですが、実際は、それぞれの彫り方を綺麗に表現できるように数値をセットします。 このパラメーターの数値設定とデータ作成時のグラデーションのガンマ値の補正が最も重要です。
前置きはこれぐらいで、早速、加工を始めます。
Youtube動画
http://www.youtube.com/watch?v=74TEDMI4ZU4
動画では、1度のレーザー照射しか映していませんが、実際には6回、繰り返しレーザーを当てています。何度もレーザーを当て、彫りの深さを稼がないとレリーフ形状の表現が出来ません。 平彫りであれば、一気に強いレーザーを当てれば、そこそこの深さで彫ることが出来るのですが、今回のようなグラデーションデータの場合は、そうはいきません。
これが、彫刻の直後。 木の脂(ヤニ)がたくさん出ています。 このヤニは、木の乾燥具合によって増減します。このヤニを綺麗に拭き取ります。
それぞれの文字を拡大画像。まずは薬研彫りから。
V字になっているのが、よくわかります。
遠目には、わかりづらいかもしれません。
次に、かまぼこ彫りの文字です。 今回は、表札サイズということで、文字が小さく細かったので、少しシャープ目に彫りました。看板サイズの場合は、もう少し丸みを帯びさせる方が良いでしょう。
薬研彫りと違って、淵が深く掘られているので、クッキリとした印象です。
2つ一緒に並べると、さすがに印象が違います。
表札屋さんは、この後、文字に着色するわけです。
レーザー加工機を使えば、こういった加工は難なく出来ますが、前述の通り、加工データの作成とパラメーターが適切に設定されていなければなりません。
このような、少し変わった加工を行うためにレーザーの導入を検討される場合は、必ず、レーザー加工機の販売店で加工サンプルを作ってもらうことをお勧めします。
なぜなら、同じレーザーを使っているからといって、全く同様の加工が出来るとは限りませんので。
ちなみに、それぞれの1個あたりの加工時間はデータ作成を含め、約50分程度です。
詳細は、レーザーワークスまで