ラピス・ペイン

いわゆる愛着障害、アダルトチルドレンと言われる人間の過去と現在と自己分析

一人暮らし-4

2016-07-01 20:58:00 | 日記
大人になってから聞いた話だけれど、お母さんは『子供は綺麗な存在だから、大人の自分はあまり触らない方が良い。』と、思っていたと言っていた。

それに、お姉ちゃんが子供を産んで抱っこしたり、頬ずりしながら育ているのを見て、『そうか。こんな風に子供を可愛がるんだ。と気づいた、それまでは知らなかった。』とも。

過去にこんな実験をした二人の人物がいる。

一人はローマ帝国の皇帝、フリードリヒ2世。
言葉を教わらずに育った子供がどんな言葉を話すのか?との疑問から行われた実験だ。
その内容は50人の赤ちゃんを部屋に隔離し、十分なミルクを与え、排泄処理はもちろん、お風呂にも入れて清潔に世話をする。
ただし4つの決まりがあって、
1.目を見ない。
2.笑いかけない。
3.話しかけない。
4.触れあわない。
つまりスキンシップを一切せずに育てる。というもの。
その結果、50人の赤ちゃんは1歳になる前に全員死んでしまったという。

もう一人は、心理学者のルネ・スピッツ。
戦争で孤児になった乳児55人に対し、フリードリヒ2世同様、スキンシップを一切せずに育てる。という実験を行った。
その結果、27人が2年以内に、17人は成人前に死んでしまい、生き残った11人は、その多くに知的障害などの影響が出たという。

これは、スキンシップが無かった事による、成長ホルモン障害が原因だとされているが、スキンシップから伝わる母親の愛情なしには正常に成長が出来ない。という事だろう。

一人暮らし-3

2016-06-30 09:06:14 | 日記
こんな経験をしてからは、目に見えない存在を否定する事はなくなった。

それにしても、ようやく手に入れた自分の居場所で金縛りにあうとは。。。
あたしはとことんついていない。

けれど、それでも良かった。
実家で暮らすくらいなら、幽霊とルームシェアした方がよっぽど気が楽だ。

それに、気持ちが落ち込まなければ自分にそんな隙はないはず。
気持ちが落ち込まない為の抑止力になると考えれば、それはそれで良いじゃないか。
あたしは強い。自分で自分を守る自信は十分にある。

何故かそれほどの恐怖も感じず、むしろ孤独を抱えた者同士、ちょっぴり仲間意識を持った。

そんな一人暮らしを今でも満喫している。
好きな音楽をかけて、好きな時間にお風呂に入って、好きな時間に寝て、美味しいご飯を作って、人の目を気にせずお酒も楽しめる。
全てが自由で快適だ。

お母さんの事も前ほど考えなくなった。

不満も寂しさも、実家にいた頃よりだいぶ薄れてきた。
ただ、お母さんに会うと顔を見て話が出来なくなってしまった。
でもきっと、これはお母さんに対する想いを断ち切る第一段階。と、思いたい。
何のわだかまりもなく、晴れ晴れとした気持ちで会話を楽しめる日が来ることを願いたい。

一人暮らし-2

2016-06-29 20:49:39 | 日記
金縛りにかかる前の感覚。それは身に覚えのあるものだった。

20代半ば、鎌倉に住んでいた時の事。
アパートで寝ていたあたしは、明け方にふぅ。っと目が覚めて、薄っすら明るくなった部屋の天井を見つめていた。

ベッドで寝ているあたしの枕の両脇を、誰かが手で押しながら顔を覗き込む。

ベッドはギシギシと音をさせながら沈み込み、あたしは薄眼を開けて口を半開きにさせたまま、すでに体は動かなかった。

目に見えるのは、薄っすら明るくなった部屋の天井と、あたしの顔を覗き込む半透明の黒い影。
あたしは怖くなって全身の力を振り絞って金縛りとき、体を起こした。

その直後、体の中心に勢いよく意識が吸い込まれる感覚になり、気絶するようにベッドに倒れ込んだ。

そしてまた同じように、枕の両脇を誰かが押しながらあたしの顔を覗き込む。
あたしの名前を呼びながら。

全身の力が抜けて体はピクリとも動かない。
あたしの顔を覗き込んでいた半透明の黒い影は、ゆっくり広がって全身をすっぽり覆ってしまった。

次の瞬間。
その半透明の黒い影が、半開きの口の中に勢いよく入って来た。
まるでドライヤーを最強にして、口にくわえたかのような風圧と衝撃。

『このまま全部入ったらマズイ!!!』ほとんど反射的にそう感じたあたしは、体中の細胞を叩き起こす勢いで、渾身の力を込め金縛りをといた。

そしてまた意識が体の中心に吸い込まれる感覚。
座っていると、それに負けて倒れ込んでしまいそうなので、自分を奮い立たせて勢いよく立ち上がった。

そして、ようやく全てが消えた。

一人暮らし

2016-06-28 16:07:00 | 日記
久しぶりの一人暮らしは快適そのものだった。

最初に感じたのは呼吸をしている感覚。
次にご飯が美味しいこと。
ときどき襲ってくる、心の底から湧き上がる幸せの感覚に、体がシビれて全身に鳥肌が立った。
『幸せ。。。』全身でそう感じた。

もっと早く出れば良かった。

少しずつ足りない物を買い足しながら、生活が落ち着いたのは1ヶ月が経った頃、ある日ちょっとした事で気持ちが落ちてしまった日があった。

その夜、いつものようにロフトで寝ていると、夜中に自然と目が覚めた。

部屋の中は真っ暗。
左側の頭上に気配を感じて、寝たまま見上げてみるけれど何も見えない。
左側のほっぺただけが冷たくなっていた。
『なんか気持ち悪いけど、まぁいいか。』と、もう一度寝ようとした時だった。
目を閉じると体の中心に勢いよく意識が吸い込まれる感覚になり、体が固まった。

『金縛りだ!』全身の力を振り絞って抵抗し、完全にかかる前に振りほどいて灯をつけた。

おばあちゃんの座布団-7

2016-06-27 13:02:55 | 日記
おばあちゃんにもらった座布団。
おばあちゃんを感じたくてあの座布団を探した。
以前はお母さんの化粧台のイスに使われていたはず、けれどあった所を探してもみつからない。
お母さんが家を出た時に持っていったのでは?と、お母さんに聞いてみたけれど、えんじ色の座布団の事自体、全く憶えていなかった。
仕方ない。大事にしなかった自分が悪い。
しばらく探したけれど、結局見つからなかった。

それから数ヶ月が経ち、引っ越しの荷物整理をしようと、久し振りにお母さんが使っていた部屋に入った。
部屋に入ると目の前に化粧台、そのイスには、まるでずっとそこにあったかのように、おばあちゃんの座布団が置いてあった。
『あっ‼︎』
何度も見て何度も探したその場所に、おばあちゃんの座布団はあった。
嬉しくて懐かしくて、すぐに手に取る。

それにしても不思議な事があるものだ、あの部屋には誰も入っていないはず。
確かに以前は無かった。

もしかしたら、おばあちゃんが『ちゃんと見守ってるよ。』と言ってくれているのかも知れない。
引っ越しをするタイミングで見つかったのも、一人でモヤモヤを抱えたまま出て行くあたしと、一緒に行ってくれる。という意味なのかも知れない。

嬉しかった。

久し振りに手にした座布団をよくよく見てみると、ミシンの縫い目が曲がっていたり、片面は布が継いであったりしていて、どうやら手作りの物のようだった。

おばあちゃんの座布団と一緒に引っ越そう。