両親からの祝い金とアタシの祝い金を熨斗に包んで従兄弟の襲名披露へ。
彼の襲名は父もとても気にしていたから、もしその事実が理解できたらきっと大喜びし、また安堵していたことだろう。
その父の想いを伝えたいと、お節介ながら急遽東の都から帰省したアタシ。
無事、その役目を果たしてまいりました。
ただね、ちょっと残念なことがあって。
というのは、肝心のその当主と話が弾まないのよね。
父の話もどこまで伝わったかどうか。
彼はアタシのいくつ下かしら。
アタシが高校生の頃に小学校の低学年だったように思うから、下手したら10歳くらいは離れているのかしら。
一応彼とアタシのちょうど真ん中くらいに当たる従姉妹も手伝いに来てくれていたのだけれど、彼女とて同年代と呼ぶには若過ぎる。
そんな時ふと頭に浮かんだのがアタシの一つ上の従姉妹のことで。
彼女がほぼ原因不明の病で亡くなったのはかれこれ5年半前になるらしい。
美人で気風が良く明るくて姉御肌だった彼女。
こういう来客のもてなしやあしらいはすべて彼女が取り仕切っていた。
彼女がもしここにいれば会場はもっと華やいだだろうし、アタシとてその新当主ともっと話が弾んだだろう。
今更になって彼女がいないことの大きさに想いを馳せたのでした。
先代に比べて職人気質な新当主。
いずれにせよ精進して家業を盛り立てて行ってもらいたいものです。