クロさんの独り言・・・

10年前に郷里の北信州山ノ内町に戻り、百姓仕事と旅行など楽しんでいた処、昨年春ものの弾みで町会議員になってしまいました。

下條村伊藤村長を囲んでの勉強会

2008年11月22日 | Weblog

(下記は町長、町議会議長ほか主な関係者にコピイを配布しました。)

下條村伊東村長を囲んでの会派勉強会の報告   (H20年11月  黒岩)

11月5日長野市で私と同志議員4名(6人のうち2名は所用欠席)にて、伊藤村長を囲んで、先方の話しを聞くだけでなく、当町の実情を踏まえた質疑応答など、集中的・効率的な勉強会を行いました。下條村は人口4200人余りの小さな村ですが、今期5選目の伊藤村長の独自の発想力と、驚くべき実行力のもとで県下トップクラスの健全財政を確立し、それをベースとして積極的な地域活性化策で少子化、人口減に歯止めをかけた「奇跡の村」として全国で有名です。
 財政健全度を示す一つの指標である実質公債費比率(借金負担の大きさ)では、下條村は県下81市町村のうち常にベスト3に入り、一方当町はH19年度で下位から28番目です。また行政の貯金にあたる基金総額は30億円に近く(人口が約3.5倍の当町は約25億円)、村の人口は平成2年に比べ約10%増、出生率は1.97(全国平均1.36)、町税の収税率100%(当町はH19年度は約70%)と言う状況です。
観光不況とは言え、わずか10数年でなぜこんな違いが出てきたのか、当町にとって何か参考になることはないかと言うのが今回の勉強会の目的でした。伊藤村長のお話を伺って我々議員グループが感じたのは、当町では周辺状況が違うので、今からそのまま下條村を真似ることは出来ませんが、基本的な姿勢と、発想力と、実行力は、是非とも学ばなければならない、それから具体的な施策の一部は非常に参考になる、と言うことでした。

 我々の事前勉強と当日のお話から、いくつかポイントを例示します。
① 健全財政が確立できた一番大きなポイントは汚水処理について下水道方式でなく建設、維持コストが格段に安い(一概には言えないが、5分の1位?)合併浄化槽式を採用したこと。この決定をするに当たっては、国の誘導に盲従せず、且つ周囲との横並びではなく、自分達のしっかりした考えがあったからこそ出来た。(当町では農村部でも下水道は既にほぼ出来上がってしまっているので、それを前提に次善策を考えざるを得ない。)

② また町の公共投資額を極力抑えた。例えば200万円程度迄の道路建設修理などは、いくら住民から要求があっても一切拒否し、資機材供給ならば行なうことにした。結局住民は資材の供給を受け、機材を借り入れて自分達の労力奉仕でやれば、何年も予算待ちなどせず、道路もすぐ良くなることに気がついた。この方式の工事は累計で1200件になる由。費用は5分の1以下?

当初は、税金を払って居るのだから町がやるべきだと不満であった住民も、やって見れば、即効性があり、お金の面でも将来を含めて結局住民の得になることが判って、住民の結束と意識改革と言う副次効果もあった。

③ 行革は財政改革の切り口から入るのが、数字が示せて判り易いと。また職員の意識改革が必須である。これは一見乱暴な方法でやった。わざと行政の一番忙しい時期に、職員6名ひと組で、それぞれ1週間ずつホームセンターの売り場第一線の激しい職場に放り込んで研修させた。職員は否応なしに民間の仕事が如何に多忙か、お客に対するサービスとはどの様なものかを認識した。全員一巡し一年も経たぬうちに職員の意識が変わったのが目に見えた。

④ 上記の意識改革と並行して職員数を大幅に減らし、行政をスリム化した。現在人口1000人当りの職員数は9.0人。(当町は12.6人。)
職員は従来の様に縦割りでなく一人で何役も張り切ってこなすことで仕事に自主性と張り合いが出て、士気も高くなった。

⑤ 隣の地域中核都市である飯田市との関係においては、従来は勤務者を飯田市に取られてベッドタウン化して人口減、高齢化と言う受け身の状況にあったが、発想を転換して、積極的に良質・活発で住み易いベッドタウンにすることで、逆に飯田市から若年層を吸収して定住させた。グレードの高い村営住宅を毎年計画的に建設(平成2年から15年までに168戸)して、安く(3万6千円)提供している。入居条件は、子供を増やす予定があること、及び地域の共同活動に積極的に参加する意思があること。県の補助金を受けるとこのような独自の入居条件をつけられなくなるので、県の補助を蹴とばして全部村費で建設した。また子供の医療費は中学卒業まで100%行政が負担。人口増により国の交付金も増えるし、若年人口率17.3%(県下3位)で、村が活性化し、住み易く近くに職場があると言うことで、定着率も高まり、地域人材育成にも効果をあげている。

⑥ 農産物加工施設建設、図書館建設、文化交流施設など、産業・文化面の活性化の工夫も大きな効果を挙げて、地域にたいする住民の誇り、愛着を高めている。

(以下は私の個人的な感想です。)
下條村の場合でも、物事すべてスムーズに行った訳ではないでしょうし、また伊藤村長ワンマン批判もあるでしょう。(首長は孤独だと述懐して居られた。)また今年7月の5選目の際は、少ないとは言え25%の批判票もあります。然し伊藤村長の果断な実行力を裏打ちしているのは、おそらく素直な反省力・軌道修正力と、率直なお人柄、ではないかと思いました。人間だれしも大なり小なり誤ちはありますが、概して行政と言う組織は誤ちを認めず、言い訳と過去の正当化、組織防衛に走りがちです。しかしそれでは反省力も、軌道修正力も、果断な実行力も生まれません。                  以上