goo blog サービス終了のお知らせ 

gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

「ハムレット」 舞台内容 三幕二場

2009-09-13 11:53:33 | 「ハムレット」

イメージ 1


 ハムレットは、城内にある広間で役者たちと、国王等の前で演じる芝居について説明している。
亡霊が語った父殺害が真実であるのか、どうかを確かめるためにである。


 そこへホレイシオがやって来て、ハムレットは、これからすることの説明をし、彼に国王の様子をじっくりと観察することを命じるのだった。
 'There is a play to-night before the king,
   One scene of it comes near the circumstance
   Which I have told thee of my father's death.
   I prithee when thou seest that act afoot,
   Even with the very comment of thy soul
   Observe my uncle――if his occulted guilt
   Do not itself unkennel in one speech,
   It is a damned ghost that we have seen,
   And my imaginations are as foul
   As Vulcan's stithy; give him heedful note,
   For I mine eyes will rivet to his face,
   And after we will both our judgement join
   In censure of his seeming.'
 (今夜は国王の前で芝居がある。
  そのうちの一場面は、君に話しておいた
  例の父の死の事情に近いものなのだ。
  演技が行なわれている間、よく気をつけて
  叔父の様子を見ていてくれないか―― もしも彼に
  ひた隠しにしている罪が、ただ一つの台詞の中にも現れなかったら、
  我々が見た亡霊は悪魔しわざ、この自分の想像も火の神ヴァルカンの
  鍜治場のように穢れてしまっている。
  彼の顔を注意して見ておいてくれ。
  私は自分の眼を彼に釘付けにしよう。
  それから、後で互いの判断を持ち寄って、
  はっきりした結論を出そう)


 国王クローディアスと王妃ガードルードが入場し、後からボローニアス等の家臣が入ってきた。
そして芝居が始まる。
 芝居の場面は、劇中劇という形で展開する。
芝居が進行するに連れて、国王や王妃、ボローニアスたちのリアクションが見ものである。




 芝居は国王の痛いところを突いた。
彼は、眼の前で演じられる芝居に耐え切れずに、顔面蒼白で席を立ち、部屋から出て行ってしまったのだ。
 クローディアスの動揺は、大きかった。自分の悪事が露見してしまっていることに驚愕した。




 芝居は混乱のうちに中断してしまう。
もはや、クローディアスの罪は疑いの余地はなく、亡霊の語った通りだったのだ。
 'O good Horatio, I'll take the ghost's word for a thousand pound.
   …Didst perceive ?'
 (おお、ホレイシオ、私は亡霊の言葉を千金で買い取るぞ。
  …見たであろう?)


 真実を突き止めたハムレットは、行動に踏み切らなければならない。
叔父の罪は十分に知り得たのだ。次の仕事は「汚らわしい不倫の殺人に復讐」することである。
  



「ハムレット」 舞台内容 三幕一場

2009-09-12 15:12:23 | 「ハムレット」

イメージ 1


 謁見の間にて、ハムレットが、学友のロウゼンクランツとギルデンスターンに再会してから、一日が経過した。


 国王クローディアスは、ロウゼンクランツとギルデンスターンからの報告を受けるが、彼らが上手くハムレットの真意を聞き出せなかったことを感じると、昨日、ボローニアスが提案した、オフィーリアとハムレットを引き合わせて、物陰から、その様子を探ることを実行に移すのであった。


 オフィーリアは、王妃ガードルードに励まされて、彼女の失ったハムレットからの愛情を取り戻そうとする。
 オフィーリアは、今でもハムレットを愛している。
あんな仕打ちをしておきながらと、思うかもしれないが、それは現代人の自分たちだから、いえることであり、当時の貴族娘からすれば、当然であったのかもしれない。

 当時の貴婦人は、女性から男性に言い寄るのは、はしたないと思われていたし、男性の気持ちを確かめるために、何度も、わざと連れなくすることなどは、常套手段だったのだ。




 ここで、かの有名なハムレットの台詞が入る。
 'To be or not to be, that is the question:
   Whether 'tis nobler in the mind to suffer
   The slings and arrows of outrageous fortune,
   Or to take arms against a sea of troubles
   And by opposing end them. To die - to sleep,
   No more; and by a sleep to say we end
   The heart-ache and the thousand natural shocks
   That flesh is heir to: 'tis a consummation
   Devoutly to be wish'd. To die, to sleep;
   To sleep, perchance to dreams may come,
   When we shuffled off this mortal coil,
   Must give us pause - there's the respect
   That makes calamity of so long life.
 (生きるべきか、死んだ方か良いのか、それが問題だ。
  気高くあるためには、どちらが良いのだろうか。
  非道な運命の矢弾を耐え忍ぶか、
  あるいは、大波のように押し寄せてくる苦悩を武器を取って立ち向かい、
  踏みとどまり、苦悩を断ち切るか。死ぬことは眠ること。
  ただそれだけだ。その眼りによって、終わりにすることが出来るのだ。
  心の痛みも、肉体に降りかかる幾千の苦しみも。
  願ってもない決着の付け方ではないか。
  死ぬことは眠ること。
  眠れば夢を見るかもしれない。そうか、それが困るのだ。
  たとえこの世のしがらみを振り捨てたとしても、
  死の眠りの中でどんな夢を見るのか分からないではないか。
  悲惨な人生をやたらと長引かせてしまうのだ)


 余りのも有名な、この台詞を取り上げないわけにはならないでしょう。
「ハムレット」作品の内容を知らなくとも、「生きるべきか、死んだ方か良いのか、それが問題だ」という台詞を知っている、という人は多いはず。

 とても単純な台詞にもかかわらず、とても奥が深いのだ。
「生きるべきか」('To be')は、「非道な運命の矢弾を耐え忍ぶ」に繋り、「死ぬべきか」('not to be')は、「大波のように押し寄せてくる苦悩を武器を取って立ち向かい、踏みとどまり、苦悩を断ち切る」に繋っていている。
 ハムレットは、このままの状況で死んだように腑抜けになって、生きながらえるのか、それとも復讐に生き、志に殉じていくか、悩んでいるのだ。
 復讐を果たすことは、その後、どうなるか分からないが、死を覚悟して臨む、ということで「死ぬこと」('To die')へと続く。つまり、志に殉ずることを意味する。

 この台詞は、もっとじっくり考察したいので、別の機会に取り上げるつもり。




 そしてオフィーリアは、謁見の間に続く大廊下でハムレットに出会うのであった。
ハムレットとオフィーリアとの会話の中で、ハムレットが述べた言葉は、オフィーリア、ボローニアス、クローディアスの三人に、それぞれ違った思いを抱かせた。
 ここのハムレットとオフィーリアの場面は、「ハムレット」の中でも見ものなシーンではあるで、これも別の機会に取り上げようと思っているで、割愛します。

 オフィーリアは、ハムレットがいよいよ狂気になったと信じ込んだ。(ある意味、ハムレットを慕うオフィーリアも、彼の後を追って気が触れてしまった、ともいえるかも……)
 ボローニアスは、オフィーリアに対するハムレットの恋が消え去ったことに満足する。
 たが、クローディアスだけは、ハムレットが狂気の振りをしていることを見抜いた。




 クローディアスは、直ちに行動に出る。(ハムレットとは正反対で、彼は行動力がある)
これ以上、自分に迫る危険が大きくならない芽のうちに摘んでしまおうと、ハムレットをイギリスへ、厄介払いしてしまうと考える。(まだ、この段階では、殺してしまうとまでは思っていない)


 ボローニアスは、国王の計画に賛成し、芝居の後で王妃とハムレットを合わせて、彼女に謎(ハムレットの狂気の真意)を解かせて、もしも、それを王妃が出来なかったならば、ハムレットをイギリスに送るか、監禁すればいいと提案する。


 国王は、この意見に賛成した。
 'It shall be so !
   Madness in great ones must not unwatched go.'
 (そうさせよう!
  身分の高い者の狂気は、監視しなければならない)





「ハムレット」 舞台内容 二幕二場 (2)

2009-09-11 22:27:39 | 「ハムレット」

イメージ 1


 ハムレットは、学友のロウゼンクランツとギルデンスターンに再会できたことを喜んだ。
しかし、彼らの不自然な応対を見て、何かあるのではないかと、勘ぐるのだった。


 そこでハムレットは、巧妙な対話で彼らが国王と王妃から遣わされて、ハムレットの真意を探っていることを吐かせてしまう。


 そしてロウゼンクランツとギルデンスターンは、国に旅役者の劇団が来ていることを話し、話題は、劇の芸術的批評へと移る。


 ここでボローニアスが、彼らに加わり、浅薄なお喋りをするが、ハムレットは、亡霊が語った父の殺人の場面を劇にして、国王と王妃の前でさせることで、亡霊の言葉の真偽を確かめることを思いつくのだ。
 この種のことは、証拠固めが必要と考えてのことだ。
亡霊の言葉は、ハムレットしか聞いていないので、彼自身が、確かなる確証が欲しかったのだろうと思う。




 ひょっとしたら、あの亡霊は、悪魔からの囁きで、ハムレットを許さざる犯罪へと誘っているかもしれない。
しかし、亡霊のいうことが真実であるならば、国王が罪を犯した兆候を見せることが期待できる。
そうなれば、そのまま復讐に向かって行動すればいい。
       'I'll have these players
   Play something like the murder of my father
   Before mine uncle, I'll observe his looks,
   I'll tent him to the quick, if a' do blench
   I know my course... The spirit that I have seen
   May be a devil, and the devil hath power
   T'assume a pleasing shape, yea, and perhaps
   Out of my weakness and my melancholy,
   As he is very potent with such spirits,
   Abuses me to damn me; I'll have grounds
   More relative than this-the play's the thing
   Wherein I'll catch the conscience of the king.'
 (あの役者たちに、
  叔父の前で、父の殺害に似た芝居をさせ、
  顔つきを観察し、痛いところを探ってやろう。
  もしも奴がビックとしようものなら、処置のしようがある。
  私が見た亡霊は悪魔かもしれない。
  悪魔は人好きのする姿になる能力を持っている。
  そうだ、私の弱点と憂鬱に乗じて、
  そういう気分につけ込む悪魔が、
  私を欺いて破滅させるかもしれない。
  これよりももっと確実な根拠が欲しい――
  芝居こそ、国王の良心を罠にかけるのに打ってつけだ)


 これで二幕が終わる。



「ハムレット」 舞台内容 二幕二場 (1)

2009-09-11 12:42:00 | 「ハムレット」

イメージ 1


 城内の謁見の間にて、国王クローディアスと王妃ガードルードは、ハムレットの学友であるロウゼンクランツとギルデンスターンに仕事を命じていた。


 その仕事とは、「ハムレットを遊びに誘い、また、彼をあのように(狂気の振る舞い)悩ましながら、余には見当がつかぬが、もしそれが分かれば、余が救ってやれるかもしれぬので、機会あるごとに探って欲しい」というものだった。
 つまり、スパイしろ、というものだ。
 クローディアスは、抜かりのない男で、彼自身、自分の罪が誰にも知られていないと信じていながらも、不正に手に入れた今の地位を確保するため、注意深く用心していたのだ。

 そしてハムレットの行動が変化すると、その原因を突きとめようと動き出す。
 クローディアスは、考えたのは、ハムレットが王位継承の望みを失って失望しているのではないかということだった。
 そこで、その見当が正しいかどうかを確かめるためにロウゼンクランツとギルデンスターンを使ったのだ。




 ハムレットの学友たちが退場すると、入れ替わるように大臣のボローニアスが、ノルウェイへ送った使者を伴い登場する。
 さらにボローニアスは、「ハムレット様の狂気の心因を突き止めました」と述べる。


 クローディアスは「話してくれ。その言葉を待っておったぞ」と、もどかしいそうにいった。
ガードルードは少しは良心が咎めるのか「あの子の父の死と、私たちの急ぎすぎた結婚が原因でないかと思います」と話す。


 しかし、ボローニアスは、ノルウェイへ送った使者の話を先に済ませ、ハムレットに話は、その後でということに。


 ノルウェイへ送った使者の話の内容はノルウェイ国王が命じて、甥のフォーティンブラスがデンマーク攻略のために召集していた兵を、そのままポーランド征伐に向けることになったというものだった。


 次にボローニアスが、ハムレットがオフィーリアに送ったラブレターをネタに話し、ハムレットの狂気の原因は、オフィーリアがハムレットを振ったことにあると説明する。


 そしてオフィーリアをハムレットの下へ「放ち」('loose')、彼と国王が物陰に隠れ、成り行きを見守ることを提案するのだった。
 このボローニアスという男は、どこまで下劣なのだろうか?
「放ち」('loose')という単語には、もう一つの意味があって、「売春宿のオヤジが、売春婦を男に宛がう」という隠語なのだ。
 自分の娘に対し、よくも、まあ、こんな言葉を使うな~、と空いた口が塞がらないですよ。




 この時、ハムレットが国王たちがいる謁見の間に入って来た。
そしてボローニアスとの会話が始まる。
 二人に話が食い違うところが面白い。ハムレットの秘密を知る聴衆に取っての彼が喋る言葉の意味と、秘密を知らないボローニアスに取っての言葉の意味の受け取り方がスレているのである。




 狂人を扱うのに礼儀はいらぬと考えるボローニアスは「私をご存知ですか?殿下」('Do you know me, my load ?')と訊ねるのだが、それに対してハムレットが「お前は魚屋だ」('You are a fishmonger')と答える。
 しかし、この「魚屋」('fishmonger')にも、隠語があって「売春宿の亭主(オヤジ)」という意味がある。




 表向きの意味を取ったボローニアスは、「とんでもございません」('Not I,')といい。
するとハムレットは、「お前が魚屋(売春宿の亭主)くらい正直者(金にうるさい)であるといいのにね」('Then I woulk you were so honest a man,')と皮肉るのだ。


 そして、出し抜けに「お前には娘がいるか?」('Have you a daughter ?')と訊ねて、さらに
 'Let her not walk i'th' sun. 
   Conception is a blessing, 
   But as your daughter may conceive,
   Friend, look to't.'
 (日向を歩かせないように、腐ってしまうからね、
  世間のことを理解するは結構だが、
  ついでとんでもないことになりかねない。
  友よ、気を付けよ)


 ここも隠語が使われている。
 「理解する」('conceive')には「妊娠する」という意味がある。よって、ここは「世間のことを理解するは結構だが、ついでとんでもないことになりかねない」は、「男女のことを理解するのはいいが、放っておくと妊娠させられるぞ」という意味なのだ。




 ハムレットにとってオフィーリアは、既に何でもないのに、ボローニアスは、ハムレットが狂人になっても娘のことに夢中になっていると思い込んでいた。


 そして二人が、やり取りをしているところにロウゼンクランツとギルデンスターンが登場する。



「ハムレット」 舞台内容 二幕一場

2009-09-10 23:10:22 | 「ハムレット」

イメージ 1


 ハムレットが亡霊と出会ってから数週間が経った。
ハムレットが気が触れたのではないのかと、いう噂は城内に広がっている。


 そんなある日、ボローニアス家の一室では、ボローニアスが、家臣のレナルドに、ある命令を授けていた。
 その命令とは、息子のレアーティーズの行動を秘密裏に探ることだった。
 ボローニアスは、自分の経験からして息子を全く信じていない。
自分の品性が低いからといって息子も同じと考えるのは、如何のものかと思う。
 妻の浮気調査じゃ~ないんだから、そこまでするか? 普通、である。




 会話が終わると、そこへオフィーリアが駆け込んで来た。
彼女は、動揺しながら、ハムレットとの間に起こった出来事を父に語る。
 ここでハムレットが、三度ショックを受けてしまうのだ。
すでに彼は叔父が殺人者であり、母が不実の人であり、また、殺人者であり、簒奪者(母を奪った)である叔父が、国民の喝采を受けて、父のものだった王冠をしている。
 誰も自分を理解してくれる者がいない中、唯一残った人物。
昔からの恋人であるオフィーリアから酷い仕打ちをされたのだ。




 オフィーリアは、ハムレットの哀れな姿を目の前にしながら、父の言付け通りに、冷血にも、ハムレットが与えたラブレターを全て突き返し、自分に近づくことを拒絶したのだった。
 マジですかっ!! オフィーリアさん。それはあんまりですよ! 酷すぎる。惨すぎる仕打ち。
ああ、哀れなるかな!! ハムレットくん。と、感じるのは、ヴィクターだけですか?

 彼女が、ハムレットのことが嫌いであるならば、まだしも、好きでいるのに、愛しているのに、どうして、どうして、あんたって人は、何を考えているんですか!? って、何も考えていない彼女でした。




 ハムレットは沈痛な表情で無言でその場を立ち去る。それをオフィーリアは次のように描写する。
 'He took me by the wrist, and held me hard.
   Then goes he to the length of all his arm,
   And with the other hand thus o'er his brow,
   He falls to such perusal of my face
   As a' would graw it.'
 (私の手首をお取りになり、痛いほどお強く握りしめて、
  腕を一杯にお下がりになられ、
  片方のお手をこめかみに当てられて、
    まるで絵を描くかのように、私の顔をじっと
    見詰められ始めました)


 ハムレットは、目の前のオフィーリアは、本当のオフィーリアなのかと、訝ったのだ。


 さらに彼女は、続ける。
        'Long stays he so,
   At last, a little shaking of mine arm,
   And thrice his head thus waving up and down,
   He raised a sigh so shatter all his bulk,
   And end his being; yhat done, he lets me go,
   And with his head over his shoulder turned
   He seemed to find his way without his eyes,
   For out adoors he went without their helps,
   And to the last bended their light on me,'
 (ずいぶん長い間、そうしておいでになって、
  お終いに私の手をそっと揺す振られ、
  頭をこうして三度、うなずくようなご様子を。
  それから、体が壊れて死んでしまいそうな、
  哀れな溜息をおつきになり、やっと私の手を放されて、
  肩越しにこちらを見詰められたまま、
  前を見ずとも分かるといったご様子で、戸口のほうへ。
    そのまま前を見ることをなさらずに、外へ出て行かれて
  いつまでも私を見ておられました)


 ハムレットは愛するオフィーリアから、このような仕打ちを受けて、彼女に対する恋のみならず、女性に対して全ての信頼を棄て去ったのだ。




 この話を聞いたボローニアスは、最近のハムレットの狂気の仕草が、オフィーリアに対する失恋の痛手によるものだと、見事なる勘違いをした。


 そしてこのことを、王と王妃に報告に行く。