会社の帰り、不思議な光景を目にした。
対向車線の向こう側、一匹の柴犬が綱もつけずにとてとてと歩道を歩いているではないか。
「えー、首輪してないじゃん、野良犬…?」
と、なんとなく気になってみていると、しばらく歩いたところで柴犬が立ち止まり振り返る。
振り返った先には…もしかしたら、前もまともに見えていないんじゃないかと不安になりそうな程背中の曲がったおじいさんが、手押し車を押しながらゆっくりと、それはもうゆっくりとした足取りで歩いていた。
もしかしたら私に見えなかっただけで実は綱でつながっている…?
犬はじっとおじいさんが来るのを待っていた。
やがておじいさんは犬に追いつくが、頭を上げることなく、同じテンポでゆっくりと犬を追い越した。
すると犬はまた歩き出し、おじいさんを追い抜き、後ろを振り返りおじいさんを待つのだ。
犬はおじいさんが速く歩けないことを知っているのだ。
知っていて、追いついてくるのを待って、一緒に歩こうとしているのだった。
何とも言えない気持ちになった。
人間同士でも気持ちを理解できずに自己中心的にふるまったり、誘惑に負けたりしてしまうのに、犬がおじいさんを気遣って、走り出すこともなくペースを合わせて歩くのだ。
きっとおじいさんはとても犬を大切に育てたのだろう。
そして、賢い柴犬はそんなおじいさんを「自分が守っていこう」とでも言う使命感を感じて暮らしているのではないだろうか。
さくらちゃんを見ていると動物にしかない、一生懸命さ、ひたむきさ、純粋さに胸が苦しくなることがある。
打算も下心もなく、ひたすら私たちに信頼を置き、愛してくれる動物たちを絶対にかわいそうな目に合わせてはいけない。
改めて動物の凄さを思い知った帰り道であった。
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