ちびたのつめとぎ

猫の日のはじまり、はじまり



猫を飼いたいと親にねだったのは、十代終わる頃。


私は暗闇に棲んでいて、そこから抜け出る力が欲しかった。


初めての仔は小さな三毛猫。


「ミイ」と名づけ、一緒に暮らし始めた。


我慢のいい仔だった。


私は暗闇に棲み続け、ミイは太陽になり、月になり。


私に光を届けてくれた。


小さな網戸から、ちょこりと下を向く。


眼差しが真っ直ぐで。


強いこの仔は3度も住まいを変わり、


最終地ではボス猫になり、


19年生きた。


ミイを幸せにしたのは私でなく、


母だった。


私は幸せにしてもらった。


ミイに。


猫を飼って、


猫の柔らかさ、


しなやかさ、


泣きたくなるような温かさ。


猫の日は、


我が家では毎日。


ひなたでまどろむ猫のまんまるは、


愛を届け続ける。



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