規則的なリズムで瞼の裏側を照らす明かり。
騒がしい靴音。
頭上から響いてくる車のエンジン音。
何かがおかしい。<違和感> 摂理からかけ離れている。ぼんやりとそんなことを考えている。
「・・・・・きて!」
「さあ・・・・きて!」
「・・・・・・起きて!」
はっとなり目を開ける。射し込むような警光灯(パトランプ)の赤い光が眠っていた視神経を刺激する。ひどく頭が痛い。
見覚えのある白黒ツートンカラーの自動車を認識することにより、意識レヴェルは加速度的に上がっていく。<覚醒> 取り戻す自我。
「人の家の車庫の前で寝てたらだめだよ~」
まるで子どもを諭すかのように男が近づいてくる。青いワイシャツの上には物々しいチョッキを着込み、下は紺色のスラックス。そこで認識する。こいつらは「警察」だ。
なぜだ?なぜ自分はこんなことになってしまったんだ?パトカーの後部座席に深く腰を掛け考えを巡らせている。
そうだ。
酒を飲んでいたんだ。
今日は仲間らと酒を飲んでいたんだ。珍しい霧島(赤ラヴェル)の一升瓶があり、こいつはいいと気持ちよくグラスを空けているところまでは覚えている。そういえば、部屋から外に出た気もする。しばらく歩いた記憶も・・・・・ッ痛。閃光が走るように激痛が頭を左から右へ走る。
面倒くせえ。どうでもいいや。
考えることをやめる。
車の窓を流れる夜の田舎道を眺めながら思う。ぼんやりと思う。昔観たテレビ番組のことを。季節の変わり目などに組まれる特番で良くある「特別捜査24時」的なあれだ。そこには必ずと言っていいほど、泥酔した男が道路にへたりこみ、お巡りさんになだめられ交番に連れていかれる、といった件がある。まさに、今、自分がそれだ。
こどもの頃の自分にとって、ブラウン管越しに観るその風景は完全な別世界だった。お巡りさんにくだを巻くオッサン達は、自分とは全く違う生き物だった。
あっという間にアパートの前に着いた。
最後に「靴の裏を見せて」とだけお願いされ、一人取り残された自分が思うことはただ一つ。生まれてすみません。
~これが2012年 夏の出来事だ~
騒がしい靴音。
頭上から響いてくる車のエンジン音。
何かがおかしい。<違和感> 摂理からかけ離れている。ぼんやりとそんなことを考えている。
「・・・・・きて!」
「さあ・・・・きて!」
「・・・・・・起きて!」
はっとなり目を開ける。射し込むような警光灯(パトランプ)の赤い光が眠っていた視神経を刺激する。ひどく頭が痛い。
見覚えのある白黒ツートンカラーの自動車を認識することにより、意識レヴェルは加速度的に上がっていく。<覚醒> 取り戻す自我。
「人の家の車庫の前で寝てたらだめだよ~」
まるで子どもを諭すかのように男が近づいてくる。青いワイシャツの上には物々しいチョッキを着込み、下は紺色のスラックス。そこで認識する。こいつらは「警察」だ。
なぜだ?なぜ自分はこんなことになってしまったんだ?パトカーの後部座席に深く腰を掛け考えを巡らせている。
そうだ。
酒を飲んでいたんだ。
今日は仲間らと酒を飲んでいたんだ。珍しい霧島(赤ラヴェル)の一升瓶があり、こいつはいいと気持ちよくグラスを空けているところまでは覚えている。そういえば、部屋から外に出た気もする。しばらく歩いた記憶も・・・・・ッ痛。閃光が走るように激痛が頭を左から右へ走る。
面倒くせえ。どうでもいいや。
考えることをやめる。
車の窓を流れる夜の田舎道を眺めながら思う。ぼんやりと思う。昔観たテレビ番組のことを。季節の変わり目などに組まれる特番で良くある「特別捜査24時」的なあれだ。そこには必ずと言っていいほど、泥酔した男が道路にへたりこみ、お巡りさんになだめられ交番に連れていかれる、といった件がある。まさに、今、自分がそれだ。
こどもの頃の自分にとって、ブラウン管越しに観るその風景は完全な別世界だった。お巡りさんにくだを巻くオッサン達は、自分とは全く違う生き物だった。
あっという間にアパートの前に着いた。
最後に「靴の裏を見せて」とだけお願いされ、一人取り残された自分が思うことはただ一つ。生まれてすみません。
~これが2012年 夏の出来事だ~