想いつくままに

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憲法を考える(Ⅱ):「憲法9条」について本当に考えなければならないことは?(その3)

2007-05-26 08:22:30 | 憲法
 戦後世代の日本人には、戦争は「他人事」になってしまっていると思います。子供の時とは言え戦争を体験した一人として戦争についてもう少し掘り下げて考えてみたいと思います。世界の歴史を振り返ってみて、戦争によって問題が解決したことがあるでしょうか。特に世界大戦以後に限ってみても、戦争の火蓋を切る側は最初は常に「正義の味方」ですが、つねに泥沼にはまってしまって、何のための戦争だったのかも不明確になってしまっています。朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガン戦争、湾岸戦争そして今のイラク戦争。どこにも「正義」は無かったものばかりです。「正義」すら大国のエゴに過ぎなかった事例ばかりです(特にイラク戦争ははじめから嘘の塊でした)。そして戦場になった国民、一般市民は悲惨な状況に耐えなければならないのです。戦争を仕掛けた張本人たちは、のほほんとして生命の危険すら感じないで済んでいるのです。特にアメリカは自国内で戦争した(攻められて戦場になった)経験が無いのです。

 そこで提案できるのが、国際紛争解決のために国際連合に強力な警察機構を置く事です。今の
PKO活動(軍そのものはPKF)の拡大版と考えてよいでしょう。その第一歩を日本が提案し実行することです。上に書いたことの繰り返しになりますが、専守防衛の軍隊をそのままそっくり国際連合の管理下に置き、日本国としては一切それに干渉しないことを宣言することです。その軍の維持は日本国が責任を持つ。国民が同意する範囲の(税金の使い方の)規模を維持すればよいのです。そして他の国々にも呼びかけ、地球上で最強の軍備を国連に持たせることです。これによって、強国の勝手(エゴ)をゆるさないようにすることができるでしょう。その先には安保理での強国の拒否権も有名無実になること(国連の民主化)も考えられます。

 明治維新後に廃藩置県が実施されて始めて日本は国家として一つに統一されました。警察機構も一本化されて国内の治安が守られるようになりました(少なくとも制度としては)。これと同じことを世界規模で行うことは可能なはずです。将来の理想としては国家というものを廃止して世界連邦に統一し、一つの警察機構で世界の平安を維持することにするのです。ここへ一足飛びに到達することは現実的でないとするならば、上に書いた各国の軍隊を国連の統治下に置くことから始めればよいのではないでしょうか。それに伴って軍を預けた国が集まって新しい「安全保障理事会」を作り(拒否権無し)、この国際警察機構の維持・運営に当たるというのはいかがでしょうか。現在の安保理では強国のエゴ(拒否権)に支配されていて、強国のエゴの支配を認めていることになっています。これではとても民主主義とは言えず、国家間の格差が拡大するばかりで、世界平和は永遠にやってこないでしょう。


 徹底した専守防衛の考え方と実効方法については、中国・戦国時代の墨子の「墨攻」が大変参考になります。彼の非戦論は徹底したものです。私のブログをご参照ください:
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07/1/14:「専守防衛」と墨子の「非戦論」:政治と外交  | 人生の知恵http://blog.livedoor.jp/konton_1937/archives/50903576.html<o:p></o:p>

 いわゆる「不戦条約」といわれるものは、歴史的に第
9条が初出ではありません。第1次大戦後にできた「パリ不戦条約(1929)があります。この条約の第1条と2条を読むと、現在の9条によく似ていることがお分かりになると思います。<o:p></o:p>

第1條 : 締約國ハ國際紛争解決ノ爲戰爭ニ訴フルコトヲ非トシ且其ノ相互關係ニ於テ國家ノ政策ノ手段トシテノ戰爭ヲ抛棄スルコトヲ其ノ各自ノ人民ノ名ニ於テ厳肅ニ宣言ス <o:p></o:p>

第2條 : 締約國ハ相互間ニ起コルコトアルベキ一切ノ紛争又ハ紛議ハ其ノ性質又ハ起因ノ如何ヲ問ハズ平和的手段ニ依ルノ外之ガ處理又ハ解決ヲ求メザルコトヲ約ス<o:p></o:p>

 明らかに国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄し、平和的手段(すなわち外交だと思われます)以外のものは使わない、と誓っているのです。結構な条約ですが、例によって国際連盟にしても国際法にしても何ら規制する力を持っていないために有名無実のままになっています。
GHQのメンバーが憲法9条を書いた動機にはこの果せなかったパリ条約を「今度こそは」実現したいという意気込みが有ったのではないでしょうか。しかし現実は厳しいですね。こうした苦い経験を2度と繰り返さないようにする具体的な私の提案が上記の国連の警察機構なのです。<o:p></o:p>

 以上3回にわけて憲法9条についての私見を述べてみました。大切なことは、これからの日本が世界の中での他国との関係をどう位置づけていくのか世界をどの方向に持って行こうとしているのか、を考えることだと思います。そうすれば憲法9条をどうするべきかがはっきり見えてくると思うのですがいかがでしょうか。こうした視点からの議論がほとんど聴かれないことを心配しています。忌憚の無いコメントをいただければ幸いです。
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2 コメント

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憲法9条がんばれ!! (かぐや姫)
2007-06-03 22:15:39
私は岩手の中学生です。つい最近、沖縄へ学習旅行へ行ってきました。私は沖縄へ行ったことで戦争へ対する考え、平和についての思想が思いっきり丸変わりしました。
私は今まで、こんな変な世の中だからいっそのこと第3次世界大戦でも起こって世界が1に戻ってそこからまた新しい世界になればいいのに…と考えていました。しかし、今は違います。戦争をすれば何もかも1に戻るわけじゃない。戦争は何も残さない、残すのは平和に対しての傷だけという考えが出てきました。
沖縄では、ひめゆり学徒隊の生き残りの宮城さんという1フィートの会のお方にに講演をしていただきました。戦争はひどいものです。人が目の前で死ぬんです。もう二度と戦争はしてはいけないのはみんな分かっているはずです。しかし、今どうして戦争をしようとしているのですか?どうして人と人が再び殺しあおうとしてるのですか?もうそのような過ちは十分したでしょう?何があっても戦争はいけません。基地もいらない私達がほしいのは「平和」なんじゃないのですか。自分の国を自分の手で護るのに戦争なんていらない。私はそう思います。
今、日本は北朝鮮に対して核兵器をやめろと言っていますよね。それは大事なことだと思います。しかし、他国にそのようなことを言う前に自分の国はどうなんですか?沖縄の集団自決について、教科書では「日本国民は自国を思う純粋な気持ちで集団自決した」となっていますがウソです。本当は「日本軍がアメリカの捕虜になるくらいなら手榴弾で死ね」といって死なせたのです、大量に日本人を。そのことを、政府は隠しています。そんな日本の大きな問題をほったらかして他国にあーだこーだ言えますか?
闘わなきゃいけないのは自分自身です、どんな時代も。自国を護るため武器を取り、人を殺すのはバカげてます!!「命どぅ宝」沖縄の方言で「命こそ宝」という意味です。1番大切なものは「命」なんですよ!!
武器が無きゃ自国は護れない、そんな心せまい日本、私はたった一人でも変えていきます。こんなのみんなが望んだ世界じゃない。
変えられるのは未来と自分、「平和への道を拓く」ことができるのは私達若者です。憲法9条改正反対に深く共感します。私達がほしいのは平和だけ。
皆さんどうお考えですか?
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Unknown (Konton)
2007-06-08 14:55:29
>かぐや姫さん、コメントありがとうございました。
 沖縄で大変良い勉強をなさったようですね。世の中は真実と虚構(嘘)が入り混じっています。とくに、支配者側や権力者側の人たちは嘘をつくことに全力を尽くすものです。そうしないと自分の立場や権力を維持できないからです。これは歴史が示しています。
 今回のあなたの体験はこうした「事実」を学んだわけですね。とても貴重な体験だと思います。こうした経験を積んでいきながら、世の中の「嘘」を見抜き、「真実」を見出していく「力」を身につけていってください。そうすれば立派な大人に、社会人になっていくことでしょう。
(P.S.)引きつづき次のサーバーで私のブログをお読みください。コメントお待ちしています。
http://blog.livedoor.jp/konton_1937/
よろしく!
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