* この記事はアップした時の内容のままで修正しませんが、
より新しく正確な情報は、岐阜大学動物病院のHPでご確認下さい。
*
日中、小夏はほとんど居間のソファで寝そべっている。
以前は低いカウチだったが、
買い換えた折に、可能な限り足を短かくしてもらったものの、
それまでより随分高くなった。
で、踏み台を兼ねた大き目のクッションをソファのすぐ下に置いている。
低反発素材なので気持ちが良いのか、
オモチャで遊ぶ時などはそのクッションの上に居ることも多い。
今年4月に入ってから、小夏がそのクッションに居ることが多くなった。
最初は「最近のマイブーム?」などと笑っていたが、ある日ふと思った。
「ソファに登れないの?」
で、掛かりつけの動物病院へ。
これまでも、小夏は何度も足の故障をして来たが、こんな症状は初めて。
昨年、後ろ左足の半月板を損傷した時ですら、
ソファに上がろうとするので、ケージに監禁(!?)したくらいだったのに。
院長先生は、すぐに後ろ左足がおかしいと見抜いた。
つねっても反応が鈍い。どうも感覚が麻痺しているようだ。
自分で後ろ足のことが良く判らないので、不安で踏み切れないのだろうと。
症状から、先生はある疾患の可能性を示唆。
コーギー等、特定の犬種にみられる遺伝病で、その疾患だともう治ることは無い。
「変性性脊髄症(DM)」
先生はこれまでに、この疾患のコーギーを4頭診ている。
2頭は私も知っているコーギーで、
その経過を見ているのは、大変厳しく切ないものが有る。
今のところ、小夏の足は感覚も(ほとんど)戻り、
力も入っているので、進行性であるこの疾患の可能性は薄まっている。
しかし、この疾患は未だに原因不明、
DMであるとの診断は、死後に細胞を採取して調べなければ確定できないもの。
「DMを発症していない」と言い切ることは出来ない。
コーギーを飼っている以上は知っておかなければならない疾患だと思うので、
以前から、この疾患についての記事をアップしようと考えていた。
感情的な表現は排除し、
現在判っている事実のみを記述する様心掛けた。
* * *
『変性性脊髄症(DM/Degenerative Myelopathy)』
椎間板ヘルニアと症状が類似している点もあり、間違えやすい疾患の一つ。
腰部の脊髄内神経及び支持組織の進行性変性によって、
運動失調や後ろ足の片方が麻痺を示し、病状が進むと両後ろ足が麻痺する。
ジャーマンシェパードやウェルシュコーギーなどに発症が多いと報告がある。
遺伝パターンは不明だが、家族性に発症することが認められている。
現在のところ、完全に治療する方法は無い。
通常、治療には、一時的に病状を改善できるステロイド剤が使われる。
実際の病気に痛みは伴わないが、歩行障害のため後ろ足を怪我しやすい。
この病気の神経症状発症は5歳以上とされているが、若い犬の発症もある。
初期症状は、脚を折り曲げて伏せたとき、足の位置を変えられないこと。
この疾患は進行性であり、両後ろ足の麻痺に至るまでには、
一般に6ヶ月かそれ以上を要する。
脊髄の変性が上方に広がって来ると、
呼吸困難さらには呼吸停止により死に至る場合も有る。
この疾患を確定診断する方法が無い現在、
MRI検査、CT検査、脳脊髄液検査などで他の疾患をルールアウト、
他のどの疾患にも当たらない場合、DMと診断する。
*
コーギースタイルVol.8の58ページにもこの疾患についての記述が有る。
《アメリカで問題になっている遺伝性の病気で、
9~11歳くらいの時期に発症する老齢性の病気、、、
アメリカではDMの研究解明を急務として進めている、、、》
2003年秋号なので、6年前のものだ。
*
よくヘルニアに罹りやすい犬種はダックスとコーギーと言われるが、
実のところ、コーギーのヘルニアは2割ほど。
胴長の子はヘルニアになり易いし、確かにダックスは多いが、
コーギーは他の犬種と同じくらいの発症率。
ヘルニアと思われても、検査してみると8割は別の疾患。
そして、ダックスのヘルニア完治率は9割あるのに対し、コーギーは5割。
その原因にDMが大きく係わっていると思われる。
ヘルニアと確定診断され、手術をしても、
DMもあわせて発症していることも有る。
*
今年1月に、ある医療専門サイトに載った記事から。
《犬の変性性脊髄症(DM)の原因遺伝子変異が、
ヒトに筋萎縮性側索硬化症(ルーゲーリック病、ALS)を引き起こす
遺伝子変異と同じことが示された。》
しかし、人間のALSですら、いまだ原因不明。治療法も確立されていない。
*
アメリカでは、DMの変異DNAの特定に成功し、
DMの変異DNAを持っているか検査できるようになった。
コーギーの場合、陽性率がかなり高いようだ。
しかし、陽性でも必ずDMを発症するとは限らないようである。
この検査について話を聞いて来た掛かり付けの病院長は、
上記の実情から、
発症していない時点で、わざわざアメリカに検査依頼をして、
陽性の結果を受けて、むやみに不安に駆られるのもどうかと言っていた。
ただし、今後は日本でもDNA検査がこの疾患の確定診断の要件になるであろうし、
繁殖を考える場合は、検査を受けた方が良いだろうとおっしゃっていた。
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