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いびつな力関係…仲間の命奪った“悪ふざけ” 舞鶴港・少年水死

2010-08-09 09:00:18 | 日記
 京都府舞鶴市の舞鶴西港で、建設作業員の布川由一さん(17)が、友人の少年に両足首をしばられ、タイヤのホイールを巻かれたうえ、桟橋から海に突き落とされて水死する事件が起きた。少年3人が殺人容疑で逮捕され、そのうち2人が傷害致死と暴行、1人が暴行の非行事実で7月に家裁送致された。さらに少年3人のうち1人については8月5日、少年審判で検察官送致(逆送)が決定した。事件当時、現場には、布川さんと少年6人がいたという。事件は、遊び仲間内での「悪ふざけ」がエスカレートするなかで発生したとみられる。「明らかに、一線を越えている。考えられない程、浅はかな行為」。捜査幹部が指摘するように、集団で行った「悪ふざけ」のエスカレートは、1人の命を奪う最悪な結果となった。

  [フォト]おもしろ半分で…足縛り桟橋で海に知人突き落とす

 ■“おもしろ半分”

 「泳いでいた友人がおぼれた」。6月20日午後7時ごろ、布川さんと一緒にいた少年から119番があった。布川さんは、約1時間半後に海底から引き揚げられたが心肺停止状態だった。

 京都府警は、布川さんの両足首にロープがまかれ、約10キロもあるタイヤのホイールが先につけられていたことから、殺人事件として捜査。その後、現場にいた少年6人のうち、3人を逮捕した。

 逮捕後、アルバイトの少年は、「布川さんは泳ぎがうまく、おもしろ半分でやった」と供述したという。布川さんが縛られていたロープもホイールも、現場近くにあったもので、少年らに計画性はなかったとみられる。

 京都府警によると、少年らは同日午後6時ごろから、現場付近の桟橋で遊んでいた。はじめは普通に泳いでいたというが、リーダー格とされる少年(19)が、布川さんの両足にロープをつけて泳がせることを発案。

 逮捕された運送業アルバイトの少年(18)と建設作業員の少年(19)の2人とともに、布川さんの足首をロープで縛り、海に入らせ、桟橋上でロープを引っ張りながら、泳がせていたという。

 その後、アルバイトの少年と建設作業員の少年により、布川さんは、足首にタイヤのホイールを結びつけられ、海に突き落とされた。

 布川さんは、アルバイトの少年に「これで行け(泳げ)」と強要され、「これはやばいでしょう」と訴え、桟橋に座り込む状態だったという。しかし、建設作業員の少年に、けり落とされ、水深約7メートルの海中へ。

 「先輩に強要されて、激しく抵抗することができなかったのでは」と捜査関係者は推察する。

 両足首をしばられ、ホイールをつけられた布川さんは、すぐに、そのまま沈んでいったという。驚いた少年たちは助けに飛び込んだが、引き揚げることはできなかった。

 ■感覚の麻痺

 遊び仲間とはいえ、年齢差があり、いびつな力関係があった少年たち。

 布川さんと少年らについて、布川さんの中学時代の同級生は「遊び仲間のような感じだったが、上下関係はあり、1番年下の布川さんはよく命令されていた。悪ふざけが行きすぎていた時もあった」と振り返る。

 当初、3人の少年は殺人容疑で逮捕されたが、京都地検は、リーダー格とされる少年について、嫌疑が認められないと判断、暴行のみの非行事実で家裁送致し、ほかの2人については「殺意が認められない」などとして傷害致死などで家裁送致した。

 リーダー格とされる少年の弁護士は「今回の逮捕は捜査権限の乱用。友人同士、同意の上の遊びで行っていた行為は、暴行罪になるようなものではない」と抗議する。

 これに対し、捜査幹部は、この少年について、「全体を統括する存在であり、口裏合わせの可能性もあった。全容を解明するには逮捕の必要があった」と強調する。

 少年事件などに詳しい愛知教育大の折出健二副学長(教育学)は、「今回の事件は典型的ないじめの構図。3人の加害者は、おもしろ半分にやったことかもしれないが、被害者は、強く抵抗や反抗ができずに死んでしまった。集団で行うと『ただの遊び』がエスカレートしやすい」と指摘する。 

 また、大阪大谷大の桜井智恵子教授(教育学)は、「ゲーム感覚で危険な犯罪を起こしてしまうのは、少年たちの自尊心の欠如から、常識的な感覚が麻痺してしまっている可能性が高い」とする。

 「いじめやホームレスを襲撃する少年らは『自分たちが社会から疎外されている』と感じているケースが多い。今回の加害少年も同様な思いを持っており、弱者に攻撃を向けたのでは」と推察している。

 ■遊びの代償

 「浅はかな遊び」が、命を奪った代償は重い。布川さんの葬儀には大勢の友人らが駆けつけた。同級生の1人は、「一緒にいて楽しく、本当にいい人だった。気を使うから、嫌なことがあっても絶対仲間には言わない人。加害少年らに、冬なのに服を着たまま泳がされていたのを見たことがある。今回の事件につながりそうな気はしていた…」と沈痛な表情で話す。 

 現場となった桟橋には、多くの花束や写真が手向けられ、同級生らが冥福(めいふく)を祈っていた。

 現場近くの住民は「金髪の高校生も多いけど、根はみんないい子。いまだに事件が信じられない」。布川さんの勤め先の上司は「仕事はまじめ。明るい性格で友達はたくさんいた。こんなことになるなんて」と信じられない様子だった。

 事件が、地元に与えた衝撃は大きい。防犯団体のメンバーは「先輩後輩の関係の中で、おもしろ半分でやったのかもしれないが、信じられない」。補導委員(64)も「夏休みを迎え、今後は広範囲にパトロールする必要がある」と指摘する。

 捜査関係者も「常識を外れた行為。夏休みの非行防止のため、警戒を強化する」と話している。



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