翻訳屋さんの日記

駆け出し翻訳者の日常です。

報酬の計算

2005年06月23日 | お仕事
翻訳の仕事は、1ワードいくら、という内職のような報酬体系になっています。

翻訳の仕事を家でしています、と言った時の相手の反応を見ると、“安いんだろうなー”と思っているであろうという事がよくわかります。まぁ、確かにそれほど高給は期待できませんが。しかも、文芸翻訳とかなら、世に自分の名前が載った本が出るという夢もありますが、技術翻訳は、いくら有名な会社の文書の翻訳をしても、名誉的なものは一切ついてきません。出来がよければ、また次もお願いね!と言ってもらえるくらいのものです。

で、この報酬、通常は事前に○○ワードくらいで、単価は○円でと言われるのですが、実はそんなにシンプルでもないのです。というのも、翻訳支援ソフトを使用して、前のバージョンの訳が提供されていたりすると、すでに一致している箇所については、対価がしはらわれない場合もあるのです。

逆に、100%一致する箇所も、再度確認してほしいという要望がある場合には、50%くらいの率で対価が支払われる場合もあります。例えば、前のバージョンのマニュアルに、“Changing the classification”という英語があり、その訳が“分類の変更”となっていたとしましょう。この英語がそのまま次のバージョンでも出てきた場合に、その訳はすでに分かっているので対価は払われない、という場合と、英文3ワードX単価10円X50%で15円が頂ける、なんて場合もあるのです。

もちろん、100%一致も確認するという場合は、既存の訳でも、見直して直すべきものは直さないといけません。

翻訳会社からファイルをもらう時には、トータルのワード数と新規ワード数、それに単価が伝えられます。新規かどうか、は1つのセンテンスあたり例えば70%以下の一致率(マッチ率といいます)は無視して、70%以上のマッチ率は、ワード数X(1-マッチ率)=新規ワード数として計算されます。
ややこしいですね。5ワードのセンテンスで、50%しか一致していない場合は、新規ワード数が5となり、マッチ率が80%の場合には新規ワード数は1となります。

とにかく、そういうややこしい計算をして、新規ワード数がだいたい1日2000ワード程度の作業量となるように日程を組んでくれる訳です。

で、だいたいの報酬額は想定して仕事をしている訳ですが、これがどうしたことか、時々、予想を上回る金額がいただけたりする場合があるのです。うれしい、うれしい。

予想より少なかった、という事はいままでなかったので、きっと100%マッチの分などの計算の仕方なんかがその違いになるんでしょうけれど、詳しい理由は未だにわかっていないのです。ま、まだ収入云々よりも、技術を身につけることの方が先という気もするし、予想より少ないという訳ではないので、“ま、そんな事もあるのかな、らっきー”と思って過ごしています。

1ワード8円から10円がたいていの相場なんですが、8円が一定の金額までちりも積もるのって、途方もない彼方のように思えますよね。それが、“安いんだろうなー”という同情?のまなざしの元でもあるんでしょうけれど。ははは。

さて、今日の作業量は約1500ワード。さて、おいくら?