きろく

日々の記録

井上雄彦 最後のマンガ展 上野の森美術館

2008-05-30 10:36:21 | Weblog
昨日、井上雄彦さん個展「最後のマンガ展」に行ってきた。

午前11時。
上野に着いたときは大雨。
でもこの駅は人が多い。
こんな時間でもごたごたしてた。
久々だなあ上野。

ここは人のキャラクターが皆こゆいです。
おばさんがシャワーキャップかぶって歩いてる。
おまわりさんに道聞いたら、うーん・・・とうなっておもむろに帽子の中からしわくちゃの地図をとりだしました。
おばちゃんたちの服が7割異色コーディネート。
おもしろいなあ。この駅。「雑多」という言葉が似合う。と思う。


上野公園の敷地内には、巨木が多数生息。
多数生息、って変か。
でもなんか昨日の木はそんな感じだったんだ。
雨にぬれた幹が、太くてむちむちしてて、黒い、にぶい艶で光ってて。
根っこもタタリガミみたいに動き出しそう。つやつやのうねうね。
木ってグロテスクだよなぁと思いながらみてました。



ともかく、美術館に到着。
1500円を払うことに今更ビビる。
そっか、もう学生じゃないんだ。たかい・・・><


以下ネタバレ

暖簾をくぐると、和紙に墨でかかれたでっかい武蔵。
それをみた瞬間涙がわいてきてあせる。
理由が分からない。
興奮?
奥歯を噛み締めてこらえつつ歩き進める。


マンガ展て、そういうことか。
今迄かいてきた原画をガラス越しに展示、というのを想像していたが、そんなありきたりなもんじゃなかった。
展示スペースの壁に漫画のコマが並べられている。
つまり、順路にしたがって歩く事でバガボンド最終回を読ませるというしかけ。
浮遊する漫画のコマのなかをうろうろしてる感覚。
漫画を読んで夢中になると、あたかもその世界の中に入ってしまったような、そんな気持ちになるようなことがあるけれど、実際は現実空間で漫画をよんでいる。
でも、この展示は、現実にバガボンドの漫画のコマが自分をとりまいていて、漫画の中を歩きまわっているような・・・巧く言えない。
とにかく、不思議な感覚だった。

まず、生の原稿がみられたことに胸がふるえる。
うわぁ本物のタッチだ。
修正ペンの跡の生々しい感じがうれしい。
髪の毛の線の迷いのないきれいな流れとか、ものすごく緻密な背景の描写とか。
いつも印刷で見て、スゴい・・・と思っているものを本物でみられたことが、本当に嬉しい。
武蔵が座っている岩のでこぼこ感を出す陰影のハッチング(?)すご。


風木の素振りシーン周辺は鉛筆でラフっぽくのこしてた。
軽さとかスピードとか表す為だと思うけど、違和感。展示準備がぎりぎりだったことがよぎり、途中っぽくみえた(違うと思うけど、効果的じゃなかったような)。

寿命間近の武蔵の前に、これまでの登場人物が次々にあらわれる。薄墨の胤舜、とてもかっこよい。

スタッフの人が首からさげてるカードに、「スタッフ」と井上さんの字。井上さんの字っていいよね。力抜けててかわいい。

すいすいみれるところと、つまっててなかなか先が見られないところがある。
初日は終始つまってたのかな。私には耐えられなかっただろな。


しばらく見ているうちに、感極まった気持ちも落ち着いてたけど、おつうが「大丈夫?」と手を握るところでまた涙がせりあげてきて、思いっきり奥歯を噛み締める。


白い壁の明るい展示空間から一転、武蔵の心に焦点を当てたシーンでは、黒くぬられた壁の部屋にコマが並ぶ。
ライトアップされたパネルがうきあがってみえる演出。
とげは、描かずに針のようなものをつきさしている。横でみていた少年が「これぬきたい。」とつぶやく。
おまえ。


水墨画の技法で描かれているコマが多い。
一つの絵画作品としてで展示できるクオリティーのものが、漫画のコマとして展示されてる。


「それは、ただの言葉だ。」このセリフは今の私にはかなりくるもんがある。


広く明るい4番目くらいの展示室にはいると、赤ん坊の武蔵を母親が抱いている大きな絵が目に入ってきた。
やさしくやわらかな光のつつまれた空間。
この展示室に入ったとたん、また泣きそうになって噛み締めたけど、こらえきれなかった。
涙がこぼれてしまった。
こぼれた、というよりどばっとあふれた、というかんじ。
まわりに何人かいたけど、だれも泣いてる様子はなく、こんな泣いてしまってるのを気付かれたくなかったので、ハナもすすらず涙もふかずたれ流し。
涙が首をつたって服の中に入ってきて、首元が濡れまくり(汗みたい・・・)。
武蔵が木刀を落とすと同時に彼の最後の刺も抜け落ちたんでしょう。
よかった。
ちなみに落とした木刀はリアル木刀でした。
演出。


ラストの砂浜のシーンではほんとに砂が敷いてあるという演出。
足跡いっぱいついてたけどあれ、入ってよかったの?



ああ。ほんと見に行ってよかった。
素直に感動した。
内容ももちろんだけど、私は井上さんという人に感動している。
行く前日、スラムダンクとバガボンドをぱらぱら見返して、画力の成長っぷりに本当に驚いた。
圧倒的、という感じ。
しかも、今回更に新しい試みに挑戦して、なお進化を続けている。
だってまた巧くなってた。

物には、作り手が出る。
私は、井上さんが、ひたむきな努力家でチャレンジングば精神の持ち主だからこそ、すばらしい物語、キャラクター、表現をうみだせるのだと思う。
きっと井上さんは、まだまだどんどん、すごくなる。



関係ないけど。
アメトーク、早くスラムダンク芸人やってくんないかなぁ

神様のボート

2008-03-10 14:06:06 | Weblog
いつみてもすばらしい装丁。
千年後にみてもすばらしい装丁だ。きっと。

あ、芥川賞作家の表紙、水野さんお買い上げの人じゃん。

それにしても。ENZO MARIのりんごの本とひよこの本。次ときめいたら買おう。

群ようこのコラム

2008-03-10 13:56:13 | Weblog
本が好き!にのっていた群さんのコラムで、『フリーガン』という人たちを知った。
フーリガン、じゃなくてフリーガン。

フリーガンの人々は、棄てられている食品、物品を拾ってきて、自分達の生活で再利用している。
でも、ホームレスでもないし、貧しい暮らしの足しにしようというのではない。
現在の消費社会の、大量生産、大量消費、大量廃棄に反対して、そういった活動をしているのだ。


iMac G5

2008-03-10 13:32:37 | Weblog
おととい。電源つけっぱなしで寝てしまった。
目覚めたら部屋が白くかすんでいる。
寝起きだからかな、っと思ったがなんか煙くさい。

なんと原因はパソコンでした!おそろし。

今週の建物探訪

2008-03-07 00:48:49 | Weblog
すっごくよかった!!!シンプルでぬくもりがあったし、ランプとかの小物遣いや照明の配置のセンスもすばらしい。階段もバラガン風でおもしろい。
はあぁ。あんな家に住みたい~と思ってみてたら最後にKOIZUMI STUDIOの文字が。小泉誠さんデザインなのかな?だとしたらさすが。

太田はこう思う

2008-03-07 00:34:53 | Weblog
カーボーイで時々やる企画、「太田はこう思う」がニコニコで聞ける。
共感できる部分が多くあるし考えさせられる。
太田は、日頃よく考えててえらいよなあと思う。

ナンシー

2008-03-07 00:12:36 | Weblog
しょっぱなからではありますが、亀の条件を何ひとつ持ち合わせていません。ハガキの表に「記憶スケッチ<亀>係御中」と書いていなければ私の手元にすら届かなかったかもしれません。
うーむ。何だかわかりませんがただひとつ死んでいることは確かでしょう。頭や手足を甲羅に引っ込める間もなく死んじゃいました。不慮の事故でしょう。そう言えば無念な感じもしてきました。
亀といえば何はなくとも甲羅。重要なだけに全体の亀感を大きく左右します。で、この場合完全に運んでいます。背負ってしまいました。己を守ってくれるどころか、お荷物なわけです。
硬い甲羅はさまざまな外敵から亀をガッチリ保護してくれます。しかしこの甲羅、細いものを使えば隙間からかなりのダメージを与えられます。あと包丁の背でそげば、ボロボロときれいに取れる可能性もあり。
亀はおめでたいものの象徴とされています。縁起がいい。が、この亀は何か人をまがまがしい気持ちにさせます。原因は甲羅に対してあまりに小さい頭と手足と見ました。中、スカスカでしょう。
甲羅からのぞいた手・足・頭・しっぽと、亀の亀たる条件に何の不足もありません。しかし、この圧倒的な寂しさは何なんでしょう。この亀、歩いても歩いても進まなそうです。泣けてきます。