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冬のソナタに恋をして

ふくらんでゆく気持ち

 その日は朝から雨が降りそうな雲行きだったので、チュンサンは空ばかり見ていた。うちに帰るまでに降りださないだろうか、とぼんやり考えていた。

ふと下を見ると、ユジンが知らない男子生徒と話しているのが見えた。メガネをかけたその生徒は、確か隣のクラスの図書委員で、ユジンも図書委員だったはず。ユジンはとても楽しそうにケラケラ笑いながらスキップをするように飛び跳ねている。何がそんなに面白いんだろう。チュンサンは面白くない。すると突然男子生徒は何か大きな声を上げながら、ユジンの両頬を両手ではさんで、グラグラとゆすった。そして、あろうことか左腕で頭を羽交い締めして、グリグリと小突いている。信じられない、、、。それでもユジンは手を叩いて大笑いしている。なんでなんだ。今の僕の顔はきっとポカンと口を開けて、さぞかしマヌケだろう、とチュンサンは思った。

やがて2人は手を振って別れたが、ユジンが教室に入ってくるまで呆然と戸口を見つめてしまった。

しばらくするとユジンは踊るように教室に入ってきて、チェリンやチンスクたちに、さっき図書委員のキュソクとコントのマネをして大笑いしたことを楽しそうに話していた。話の内容はわかったが、何かが不快で仕方がなかった。チュンサンは自分のそんな想いに戸惑っていた。きっと僕はユジンが他の男子生徒に向かってあんなふうに笑顔で話すことや、触れられたり触れたりする事が嫌なんだ、とつくづく感じた。
いつのまにか2人の秘密が増えていくたび、彼女の笑顔を見るたび、胸の中で彼女の近くにもっといたい、自分一人だけに笑顔を見せてほしい、という気持ちが膨らんでいく。この想いをどうしたら良いんだろう、今にも涙のように溢れ出しそうな雨雲いっぱいの空を見ながら、ひとりため息をついた。
そのとき、誰かが目の前に立つのを感じた。

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