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冬のソナタに恋をして

告白のあとで

転校してから、早くも1週間がたった。クラスのみんなが僕に慣れて、孤独が好きな僕を適度な距離でほおっておいてくれるようになった。4人を除いて。

 ひとりはヨングクと呼ばれる細い目のお調子者の少年。僕にも開けっ広げの笑顔で分け隔てなく接してくれる。僕はいつの間にか、この少年に親しみを持つようになった。彼は、僕にないものを全て持っている。だから好きなんだ。


もうひとりはオチェリン。一番苦手なタイプだ。自分は可愛くて美人で、誰もが夢中になると思いこんでいる。きっと魅力的なんだろうがが、僕のタイプではない。それなのに、僕が彼女を好きだと思い込んでいるからたまらない。

 そして、因縁のキムサンヒョク。僕らの間には決して友達にはなれない、深い溝があるのだ。しかし、そんなことを知らない彼は、偽善者の笑顔で、哀れな転校生に優しくする優等生の仮面をかぶって、いつも僕に近づいてくる。彼のプライドをズタボロにするような態度をとることで、悲しそうな顔をする彼を見て、いい気味だといつも思っていた。

そしてチョンユジン、、、。たまにサラッと話しかけてくるが、初対面のときのような威張った感じはなく、どこかよそよそしい。それなのに時々僕をあの無垢な目でじっと見つめていることがある。たまにその目を見返すと、慌てて逸らすから面白い。クラブ活動を気にしてくれたり、時間割を教えてくれたり、持ち物を確認してくれたり、さりげなく気遣ってくれている。世話焼きというか面倒見が良いタイプらしい。

そんなユジンのことで気になるのは、彼女はサンヒョクと付き合っているのではないかということ。よりによってサンヒョクと、、、。2人はいつも一緒にいるし、彼といる彼女は僕の前では決して見せないような笑顔で笑っている。時々戯れあっている姿も見るし、昨日は大声で笑いながら一緒に帰っていた。
正直面白くない、、、。彼が気に入らないから面白くないのか、彼女が気になるのか分からなくて自分でも混乱してしまう。

そんな昼休み、いつものように屋上でぼんやりしていると、ユジンがひとりの男子生徒に連れられて、木立の方に歩いて行くのが見えた。2人とも俯いて、微妙な距離を保っている。
僕はどうしても気になってしまい、屋上からそっと降りて後をつけることにした。こんなことをするなんて、自分でも信じられない。でも胸がドキドキしていても立ってもいられなかった。

やっと追いつくと2人は木立の中で声を潜めて話をしていた。
僕は慌てて何かの記念碑の後ろに隠れて、そんな2人の様子をうかがった。
男子生徒は、かなり大柄で、確かバスケ部のキャプテンをしているヤツだった。かっこよくて人気があるのよ、私のことが好きとかなんとか確かチェリンが嬉しそうに話していたヤツに違いない。また、チェリンの勘違いだな。そいつが真っ赤な顔で彼女に話をしている。多分告白をしているんだろう。
彼女は長い髪を右手で弄びながら、こちらも真っ赤になって、俯きながらボソボソと話していた。
「、、、ごめん、、、わたし好きな人がいるの、、、、、きあえないわ、、、。」
わずかにそんな言葉が聞こえた。
男子生徒が怒ったような声で
「君はキムサンヒョクと付き合っているの!」
ときいている。しかし、彼女は困ったような顔で首を傾げながら、苦笑いをして答えなかった。「ほんとうにごめんなさい、、、」

男子生徒はいたたまれない様子で踵を返し、走って木立を抜けていく。
僕の心も彼に負けないくらい、ギュッと何かに掴まれたように苦しく早鐘を打っていた。勝手に見たから動揺しているのか、好きな人がいる発言に動揺したのか自分でも分からなかったが、、、。

やがて、ユジンは木立を仰ぐと、ひとつため息をついて教室にもどって行った。

僕もしばらく呆然としていたが、昼休み終了のチャイムの音を聴いて、慌てて教室に戻った。

5時間目の授業はまるで身に入らなかった。馬鹿みたいに彼女の方ばかり見てしまい、珍しくゴリラにまで注意されてしまった。「おい、カンジュンサン、起きてるのか」と。彼女もびっくりしたような顔で振り返ったが、すぐに前をむき、何事もなかったように授業を受けていた。彼女の冷静な様子にますますイライラしてしまい、僕の中の荒れ狂うような気持ちに、自分自身戸惑いを隠せなかった。
僕は何をそんなに動揺しているんだろう?


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