氣まぐれ剣士の言いたい放題
547 お客様が作る店
ある日、小さなスーパーを経営されている社長さんのお話です。
「改装したいのですが、そのための費用として二千万円借りる方法を教えてください」
「何故、改装されるのですか?」
「近くに大手のスーパーが進出してきたことで、店の売上が落ちてきたんです」
「改装すれば、売上は伸びるのでしょうか?」
「もう二十年以上、何もしていませんから・・・」
「二千万円借りるということは、今まで以上の売上が必要になりますよ」
「何もしなければ、悪くなっていくだけなんです・・・もういいです!自分でなんとかします」
二か月後、また社長はやって来られました。
「どうしても、お金を借りることができません。困っています・・・」
「目的は、お金を借りることでしょうか?」
「お金を借りるのは手段です。目的はもちろん、売上を伸ばすことです」
「そのためには、魅力のあるお店をつくればいいんですよね」
「そうです、だからお金がいるんです!」
「お金がなくても、魅力的なお店はできますよ」
「え! どうすればいいんですか?」
「お客様のために、毎日一つ改善して見てください。そうすれば、百日後には百の改善ができていることになります。きっと、その頃には魅力的なお店になっていますよ」
「一日一つ改善するんですね。わかりました。やってみます」
そのまた二か月後、社長はやって来られました。
「毎日考えているんですが、何をどう改善していいのかわからなくなってしまいました」
「それならば、お客様に聞いてみてはどうでしょうか?」
「直接聞くんですか?」
「それでもいいかもしれませんが、お店の中に大きな看板を貼り出してもいいと思います」
「看板に何を書くんですか?」
「たとえば、『御客様、私たちのお店は、心の底からお客様に喜んでいただきたいと思っています。しかし、どうしていいかわかりません。どんなささいなことでもかまいません。教えてください・・・』と書いてみては、どうでしょうか?」
「そんなこと書いてもいいんでしょうか?恥ずかしいことじゃないんですか?」
「本当にお客様に喜んでいただきたいのなら、恥ずかしいとは感じないはずです」
そして、社長はお店の中に大きな貼り紙をしました。年配の女性が声をかけて来ました。
「リンゴが奥にあって取りづらいよ。軽いものは奥でもいいが、重いものは手前に置いとくれ」
「中身が詰まったスイカの選び方がわからない。選び方の説明書きをしたらどうですか?」
「果物を積み上げると見た目はいいが、傷むのも早くなるんじゃないか?見た目よりも、場所はとるけど、ひとつひとつ並べて置いておけば、果物を大切にしている感じがしていい」
社長はどんなお客さまからの要望にも、いっしょうけんめい応えるようにしました。
そのうちに、お客様から喜びの声が聞こえてくるようになりました。
「私が言ったことを、ちゃんとやってくれたんだね。ありがとさん」
「言ったことを、そのまま実現してもらえるなんて、自分がこのお店をつくっているみたいだ」
言ったことを、なんでもそのままやってくれるお店など、めったにありません。こうして、お客様はまるで自分のことのように、お店のことを考えるようになっていきました。そして、次々とすばらしいアイデアを、提案してくださるようになったのです。
さらに・・・
「看板が汚れているよ。私は看板屋だから、余った材料でとっても個性的な看板をつくってあげよう」
「壁紙が、はがれているところがある。明日、直しに来てもいいですか?私は、日曜大工が趣味なんですよ」
「接客でしたら任せてください。以前は、航空会社で働いていたんです」
町中のみんなが集まって、お店をつくってくださるようになったそうです。
すごいですね。お客も楽しんでお店を作ってくれるんですね。
次回もお楽しみに 以上
547 お客様が作る店
ある日、小さなスーパーを経営されている社長さんのお話です。
「改装したいのですが、そのための費用として二千万円借りる方法を教えてください」
「何故、改装されるのですか?」
「近くに大手のスーパーが進出してきたことで、店の売上が落ちてきたんです」
「改装すれば、売上は伸びるのでしょうか?」
「もう二十年以上、何もしていませんから・・・」
「二千万円借りるということは、今まで以上の売上が必要になりますよ」
「何もしなければ、悪くなっていくだけなんです・・・もういいです!自分でなんとかします」
二か月後、また社長はやって来られました。
「どうしても、お金を借りることができません。困っています・・・」
「目的は、お金を借りることでしょうか?」
「お金を借りるのは手段です。目的はもちろん、売上を伸ばすことです」
「そのためには、魅力のあるお店をつくればいいんですよね」
「そうです、だからお金がいるんです!」
「お金がなくても、魅力的なお店はできますよ」
「え! どうすればいいんですか?」
「お客様のために、毎日一つ改善して見てください。そうすれば、百日後には百の改善ができていることになります。きっと、その頃には魅力的なお店になっていますよ」
「一日一つ改善するんですね。わかりました。やってみます」
そのまた二か月後、社長はやって来られました。
「毎日考えているんですが、何をどう改善していいのかわからなくなってしまいました」
「それならば、お客様に聞いてみてはどうでしょうか?」
「直接聞くんですか?」
「それでもいいかもしれませんが、お店の中に大きな看板を貼り出してもいいと思います」
「看板に何を書くんですか?」
「たとえば、『御客様、私たちのお店は、心の底からお客様に喜んでいただきたいと思っています。しかし、どうしていいかわかりません。どんなささいなことでもかまいません。教えてください・・・』と書いてみては、どうでしょうか?」
「そんなこと書いてもいいんでしょうか?恥ずかしいことじゃないんですか?」
「本当にお客様に喜んでいただきたいのなら、恥ずかしいとは感じないはずです」
そして、社長はお店の中に大きな貼り紙をしました。年配の女性が声をかけて来ました。
「リンゴが奥にあって取りづらいよ。軽いものは奥でもいいが、重いものは手前に置いとくれ」
「中身が詰まったスイカの選び方がわからない。選び方の説明書きをしたらどうですか?」
「果物を積み上げると見た目はいいが、傷むのも早くなるんじゃないか?見た目よりも、場所はとるけど、ひとつひとつ並べて置いておけば、果物を大切にしている感じがしていい」
社長はどんなお客さまからの要望にも、いっしょうけんめい応えるようにしました。
そのうちに、お客様から喜びの声が聞こえてくるようになりました。
「私が言ったことを、ちゃんとやってくれたんだね。ありがとさん」
「言ったことを、そのまま実現してもらえるなんて、自分がこのお店をつくっているみたいだ」
言ったことを、なんでもそのままやってくれるお店など、めったにありません。こうして、お客様はまるで自分のことのように、お店のことを考えるようになっていきました。そして、次々とすばらしいアイデアを、提案してくださるようになったのです。
さらに・・・
「看板が汚れているよ。私は看板屋だから、余った材料でとっても個性的な看板をつくってあげよう」
「壁紙が、はがれているところがある。明日、直しに来てもいいですか?私は、日曜大工が趣味なんですよ」
「接客でしたら任せてください。以前は、航空会社で働いていたんです」
町中のみんなが集まって、お店をつくってくださるようになったそうです。
すごいですね。お客も楽しんでお店を作ってくれるんですね。
次回もお楽しみに 以上