哲学日記

ショーペンハウアー 編修3

『(盲目の)意志』

無明だ!

 

 

ショーペンハウアーを読んで、
初めて釈尊の説く無明が分かった気がした。

 

 

 

無明が単なる無知であるはずがない。

それでは、現にある人間と世界が、現にあるようには理解できないからだ。

 

 

 

自分にとっては、興奮する発見だった。

 

 

 

 

 

それまで、仏教の解説本を読んでも納得できないでいたのだ。

 

 

 

 

 

数十年後、次の文章をネットで見た。
それが、とっくの昔に言われていたと知って、ちょっとがっかりした。

 

 

 

 

 

Http://page.freett.com/mishima/tsuda-2.htm
(現在はリンク切れ)から該当部分を以下に引用させていただきます。

 

 

 

 

…木村泰賢先生が無明の概念をショーペンハウエルの盲目意志の概念に引きつけて「生きんとする盲目的な、元本的な意志である」とされましたね。当時新進気鋭の和辻哲郎先生がそれに反発された、「無明は単純に不知 Nichtwissen の意」であって、それ以上の何ものでもないのだ、と。これはもちろん木村先生のほうが正しいんですが、論争の決着がつく前に、木村先生が亡くなってしまわれたので、和辻先生の説が学界の絶対権威となり、それ以後のいわゆる近代仏教というものは、仏教という思想の生命の部分をつかみ取ることができなくなって、それが今日まで続いている・・・・・。
(以上引用終)

 

 

 

 

 

 

 

無明は単純に不知…仏教という思想の生命の部分をつかみ取ることができなくなって、それが今日まで続いている…まさに我が意を得たり、という内容で、驚いた。

 

 

 

 

 

 

 

 








 
三木清「語られざる哲学」から引用させていただきます)
 
生の無価値にして厭うべきことを説きながら、自らは疫病を恐れて町を飛び出したり、ホテルでは数人前の食をとったり、愛人と手を携えてイタリアを旅した彼の哲学は、インド思想と共通な涅槃を説きながら、その基調においては悩しき青春の爛熟期の哲学である。
( 引用終)

 

 

 

 

 

 



 
ショーペンハウアーについての現在も続く、わけの分からない紋切り型批評の典型がここにある。

 

 

 

 

 

 

生の無価値にして厭うべきことを説くことと、疫病を恐れて町を飛び出したり、ホテルで数人前の食をとったり、愛人と手を携えてイタリアを旅することは、必ずしも矛盾しない。

 

 

 

 

生の無価値にして厭うべきことを説く理由は、それを事実だと知ることが涅槃に至る道の入り口だからだ。

 

 

 

 

青春の哲学の涅槃を説くことが矛盾だとも、おれには思えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 
『松岡正剛の千夜千冊』のサイトにショーペンハウアーが紹介されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ショーペンハウアー (I・II・III)西尾幹二訳」に関する松岡正剛氏の文章で、最初から最後まですばらしい。
もっとも、哲学に興味のない人には、なにを感激することがあるんだと思われるかもしれないが…

 

 

 

特に感激したところを一箇所だけ以下に引用させていただきます。

 

 

 

 

ペシミストは世間を厭っているのではなく、こんなものは最悪だと突き離せているだけなのだ。いや、世間がくだらないというのではない。世界はそういうくだらない世間しかつくれないと見切ったのだ。
 ブッダの「一切皆苦主義」とは、このことだ。それゆえペシミストはブッダがまさにそうであるけれど、世界の再生や心の安寧は「苦しみ」を直視できないところからはおこらないと洞察したわけだった。
 ショーペンハウアーも、そうだった。しだいに本来のペシミズムの只中において世界を認識し、そこにありうるのは「解脱」の可能性でしかないだろうと見たのであった。
(引用終)

 

 

 

 

 

 

 






 
こういうことがキッカケになって、ショーペンハウアーがもっと注目され、くだらない誤解もとけて、再評価されるようになったらいいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(おまけ)

アレサ・フランクリン。
上手いなあ。
貫禄あるなあ、体型じゃなくて歌声に。

 

「リスペクト」

 

 

 

「シンク」

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