「奇跡の一本松」なんてテレビニュースでやってますね。
もともと僕の髪の毛は若い頃から細くて柔らかく、二番目の姉が笑って
「私の髪にそっくり。ネコの毛みたい」
と言ってたものです。
その髪も長髪時代を経て、「コケ時代」に突入したのが40代でした。
サイドの髪は普通にあり、今もありますが
頭頂はまるで黒カビが生えているのか、コケが生えているのか程度でした。
やがて50才、頭頂は産毛が有る程度となりましたが、不思議な事に
1本だけ長い髪の毛が頭頂まん中に頑張っていました。
ハゲ山の一本杉
杉の木というより柳みたいなものでしたが。
もともとネコの毛みたいに細く柔らかいから
はた目には1本有ることなんか誰も知らなかったはずです。
でも僕はその「可愛い1本」を大事にしていました。
過ぎ去りし青春を惜しむがごとく…。
50才のある日、住んでいたマンションの駅の向こう側の住宅街にある小さな散髪屋に
スソ刈りのため行きました。
店主1人だけのひっそりとした小さな店で客はいません。
もともと散髪屋嫌いの僕は20代の頃からほとんど行く事なく自分で切っていました。
(長髪時代に3回だけパーマかけに美容室に行った事はありましたが)
「このスソがどうも決まらないんです。お願いします」
と僕は店主に言いました。そして付け加えました。
「てっぺんに1本だけ長いのが有りますね、この毛。これは絶対に切らないで下さいね」
「あ はい、いいですよ」
同意を得て散髪は始まりました。
シャンプーも香水も嫌いだけど店主のなすがままにしていました。
サイドしか黒髪が残ってない頭も スソ刈りは終りに近づき
「どうですか?」
と店主が後ろに立ち手鏡をかざし2人で鏡を見ました。
「はい、いいです」
よく分かんないけど、そう僕が答えた時、店主は何食わぬ顔してハサミで
プチと禿げ山の一本杉を切りました。
そ
れ
は
僕
に
は
れ
は
僕
に
は
と音がするほどの衝撃でした。
唖然として声を無くした僕と、無表情で無言の店主。
互いに目を合わせぬまま、支払いを済ませ僕は店を出ました。
くっそ~、こんな気の抜けた散髪屋なんて来るんじゃなかった。
従業員同士の連絡が不足した操作ミスじゃない。もともと1人しかいない場末のシケた店。
二度と伸びて来ない、青春の最後の痕跡1本を失った50男は、メマイでふらつく足取りでよろよろと歩くのでした。
帰宅して三面鏡で見ると、スソ苅りなんてシロものじゃなく
自分でやってる普段のスソと何にも変わっていやしない。
「バカ店主。客の要望を何だと思っている!
今度 そこの道を歩く時、店は丸焼けだと思え」
僕はその日から理容室(散髪屋)という所には行ってません。
カツラ屋さんの美容室には行ったけど。はは
La musica que Camoolo escogio
あの店主はただのバカだ。散髪屋というより魚屋みたいだった。
いっそのこと三田住人さんも「カツラ」をいかが?
決して「薄い」などと思っても言ってもいないのだけど。。。
しかし貴重な1本を何てことするんだ!という怒り、すごく分かります。
髪の毛の一杯ある人にはわからねえだろうな~~?!
認識してれば、はじめから散髪屋などに
行かなかったのですが。
うかつでした。
いやはや何れにせよ適切な引用ではなかったようで申し訳ありませんでした
ちっとも申し訳なくないのです。
カムーロは「天才バカボン」読んでなかったの。
世代的には読者なんだけど。。。マンガ全体に好きでなかったから。
別に小説や教養書を読んでいた訳でも全くなく、
ただ飲んだくれていただけの人生でした。