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国家にとっての外貨とは

2011年10月14日 | 金融
教えて!goo 投稿日時:2005/01/29 18:11
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1191833.html

Q:wenti
中国は改革開放以後、外貨獲得のため、経済特区などを設置しましたが、そもそもなぜ外貨が必要なのでしょうか?外貨の使い道を教えてくれないでしょうか?

A:TANAKA1942b
「貿易赤字は悪である」は「経済学の神話」
 中国が経済特区を設置したのは「外貨獲得のため」ではなくて「経済発展」のためだったと思います。その違いは「外貨を誰が保有するか?」です。経済特区を設置し、輸出を奨励したのは「先に豊かになれる者から豊かになる」政策の実行です。輸出をし、外貨を稼ぐのは私企業であり、それを税金として徴収してはじめて、中国政府が外貨を保有することになります。もし経済特区での企業の発展を支援するために税金を免除したら政府の外貨準備金は増えません。経済特区を設置したために、もしかしたら外資の導入で、外貨が増えるどころか外国への借金が増えたかもしれません。
 金本位制・為替固定相場制から通貨管理制度・変動相場制に変わり国家が外貨を保有する必要性は減ったと思います。自国の通貨を高く維持したいときに、外貨(実際は米ドル)を使って自国通貨を買う場合には外貨が必要になる、程度でしょう。それでも、「私企業が輸出を伸ばし外貨を稼ぐことは良いことだ」との固定観念は根強いようですね。ミルトン・フリードマンやポール・クルグマンが「貿易赤字はそれほど悪いことではない」と言っているのですが、これを分かりやすく説明するには、このスペースでは、とても出来ません。「貿易赤字は悪である」は「経済学の神話」です。「経済学の神話」をキーワードに検索すると参考になるサイトがあるかも知れませんよ。

Q:wenti
ありがとうございます。外貨の使用用途についても教えていただけると幸いです。

A:TANAKA1942b
 管理通貨制度では外貨の使い道は少ない
 外貨の使い道に付いてはNo.1で書いたように「自国の通貨を高く維持したいときに、外貨(実際は米ドル)を使って自国通貨を買う場合には外貨が必要になる、程度でしょう。」ということです。これは管理通貨制度・変動相場制での話。金本位制度・固定相場制では違います。外貨がいっぱいあればそれで金を外国から買い、その金を保証に通貨を発行することが出来る。そうすることによって成長通貨を供給し、経済と成長させる事ができる。ケインズが『一般理論』(The General Theory of Employment, Interst, and Money)を発表したのは1936年、このころはほとんどの国が金本位制度・固定相場制で、本格的に管理通貨制度・変動相場制に移行したのは1971年8月15日ニクソン大統領がドル防衛の「新経済政策」を発表したときからです。つまり長い間経済学では金本位制度・固定相場制を前提として研究が進められたので、通貨に関してもその考えが抜けないでいるようです。
 上に書いたように、現在の管理通貨制度・変動相場制では政府が外貨を持つことの意味はあまりありません。「政府が外貨を沢山持つべきだ」「経済特区を作り外貨を貯めるべきだ」と言うのは金本位制度・固定相場制の考えです。一度金本位制度・固定相場制と管理通貨制度・変動相場制との違いを勉強するといいでしょう。経済学の中でも特に「貨幣理論」は面白いですよ。ここでミルトン・フリードマンの言葉を紹介しましょう。
 貨幣理論は日本庭園と同じである。日本庭園には多様性から生じた審美的な統一性がある。複雑な真相を覆い隠す外見の質素さであり、深い奥行きの広がりの中に溶け込む表層的な風景である。それを心行くまで堪能するには、多角的に検証し、しかもじっくりと腰を落ち着けて深く吟味しなくてはならない。貨幣理論も日本庭園も同じである。しかも、両者とも全体から切り離して、それだけでも楽しめる部分を有し、全体から取り出した一部分からでも全体的な認識を得ることができる。

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