SPEEDI情報隠蔽の責任
緊急地震速報は、いまでは携帯電話で受けることが出来る。つまり発信すると一方的に市民に送られる。もちろん、誤報とも言える場合もある。実際には地震は起きているのだから、本当の誤報ではないが、わずか震度2で鳴らされても、と思う人はいるだろう。
しかし、だからといって無用だとかパニックを引き起こすなどという人は、もういなくなった。以前は自動車運転中にこの警報を受けたら慌てて急ブレーキを踏む可能性が指摘され、そのとき後続の車が速報を知らなければ追突事故を起こすと心配されていた。しかし実際に急ブレーキを踏むような行為をする人はまずいない。冷静に路肩に止めるためにウインカーを出すか、ハザードを点滅させる。そのくらいの判断力はある。むしろ誰も速報を受信していないときに大きな揺れにみまわれ、全車両が制御不能になる事態が遙かに危険だ。
ある程度の誤差を含み、慌てる場合もあり得るとしても、それによる損失を上回る利益が見込めるならば導入しようという考えが一般的だ。
ところがほとんど同じく市民を守るために開発されたはずのSPEEDIについては、全く真逆の判断を当時の官邸は行っていた。
枝野官房長官や細野原発担当大臣が公表しなかった理由を「パニックを恐れたから」としている。それが大変な住民被曝を引き起こしたことはもはや隠し
ようもない事実であり、彼らを含め情報を隠蔽した者の責任は極めて重大だ。
また、情報を隠したもう一つの理由に「信頼性の欠如」という理由があった。
当時、原発のモニタリングポストや県のシステムもダウンし、しかも保安院のデータ送信装置に非常用電源を接続していなかったため電源喪失と同時に作動しなくなるなど、原発の状況を知る方法が無くなってしまうなかで、データが無いため正しい拡散予測が出来ないだろうという思い込みが、官邸にはSPEEDIの情報が上がっていたのに、首相などには伝えられなかったという。
しかしこれもまた、情報収集と分析能力の欠如としかいいようのない官邸の失策だった。
双葉町で放射線を計測し、インターネット上でリアルタイムで報告していたジャーナリストの山本宗輔、森住卓、野田雅也、豊田直己、綿井健陽各氏の行動で放射能が拡散していることがわかっていたのだから、これら実測値とすりあわせるなどしてSPEEDIの拡散予測システムによる汚染拡散の状態をシミュレーションすることは十分出来たのだ。
◇ではどうすれば・・・
こういう広報をすることが少なくても可能だっただろう。
・・・3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」に引き続き発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により、放射性物質が環境中に放出されていることが確認されました。そのため原子力災害対策特別措置法に基づき、周辺地域住民に対して避難指示が発令されました。しかしながら、放射性物質の拡散予測については、現時点では原子力発電所からの放出量が正確に計測できない状況にあることから、拡散方位と予想放射線量にかなりの誤差が生じる可能性があります。
首相官邸は対策として、避難先としては適切でないと確認できる地域を、まず広報することといたしました。
なお、今後も引き続き放射性物質の拡散予測の改善を図りますが、放出量が正確に把握できない状況では、拡散予測を適切に発表することができない場合もあります。しかしながら強い放射線量が予測される地域については優先的に避難を指示いたしますので、放射性物質からの被ばくを避けるために、避難指示または屋内退避指示に従って行動をとっていただきますようお願い致します。・・・
いつ、どこへ、何処ルートを通って逃げるかを適切に伝えるからそれに従っ
て欲しいと言えば、パニックは起こらない。
この国が市民を守らず、体面ばかりを気にすることは、民主党政権になったからといってもいっこうに変わらない。むしろ、自民党政権でこういうことをしていたら、おそらく野党である民主党は猛然と非難をしたであろう。しかし実際には能力の無さはどっちもどっちだったとしか言いようがない。
事が「地震速報」「津波警報」ならば、ストレートに情報を市民に流すことはためらわない政府が、「放射性物質拡散予測」となると、にわかに及び腰になり、隠蔽を計る。その理由は、放射性物質の拡散予測に誤りがあり、大災害にならなかった場合、それが原発への恐怖心として市民に伝播したら困ると考える「安全神話に毒された推進派」が権力を握り続けたからだ。
昔は居た「防災よりも経済成長」「地震対策は大げさだ」などという政治家や官僚はもういない。繰り返し襲ってきた地震災害により、絶滅状態だった上、今回の地震津波災害でおそらく滅亡した。原発防災についても同様に、今回の福島原発震災で絶滅して欲しいところだが、残念ながら復活し始めている。それが次の原発震災を準備していることを肝に銘じておこう。
緊急地震速報は、いまでは携帯電話で受けることが出来る。つまり発信すると一方的に市民に送られる。もちろん、誤報とも言える場合もある。実際には地震は起きているのだから、本当の誤報ではないが、わずか震度2で鳴らされても、と思う人はいるだろう。
しかし、だからといって無用だとかパニックを引き起こすなどという人は、もういなくなった。以前は自動車運転中にこの警報を受けたら慌てて急ブレーキを踏む可能性が指摘され、そのとき後続の車が速報を知らなければ追突事故を起こすと心配されていた。しかし実際に急ブレーキを踏むような行為をする人はまずいない。冷静に路肩に止めるためにウインカーを出すか、ハザードを点滅させる。そのくらいの判断力はある。むしろ誰も速報を受信していないときに大きな揺れにみまわれ、全車両が制御不能になる事態が遙かに危険だ。
ある程度の誤差を含み、慌てる場合もあり得るとしても、それによる損失を上回る利益が見込めるならば導入しようという考えが一般的だ。
ところがほとんど同じく市民を守るために開発されたはずのSPEEDIについては、全く真逆の判断を当時の官邸は行っていた。
枝野官房長官や細野原発担当大臣が公表しなかった理由を「パニックを恐れたから」としている。それが大変な住民被曝を引き起こしたことはもはや隠し
ようもない事実であり、彼らを含め情報を隠蔽した者の責任は極めて重大だ。
また、情報を隠したもう一つの理由に「信頼性の欠如」という理由があった。
当時、原発のモニタリングポストや県のシステムもダウンし、しかも保安院のデータ送信装置に非常用電源を接続していなかったため電源喪失と同時に作動しなくなるなど、原発の状況を知る方法が無くなってしまうなかで、データが無いため正しい拡散予測が出来ないだろうという思い込みが、官邸にはSPEEDIの情報が上がっていたのに、首相などには伝えられなかったという。
しかしこれもまた、情報収集と分析能力の欠如としかいいようのない官邸の失策だった。
双葉町で放射線を計測し、インターネット上でリアルタイムで報告していたジャーナリストの山本宗輔、森住卓、野田雅也、豊田直己、綿井健陽各氏の行動で放射能が拡散していることがわかっていたのだから、これら実測値とすりあわせるなどしてSPEEDIの拡散予測システムによる汚染拡散の状態をシミュレーションすることは十分出来たのだ。
◇ではどうすれば・・・
こういう広報をすることが少なくても可能だっただろう。
・・・3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」に引き続き発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により、放射性物質が環境中に放出されていることが確認されました。そのため原子力災害対策特別措置法に基づき、周辺地域住民に対して避難指示が発令されました。しかしながら、放射性物質の拡散予測については、現時点では原子力発電所からの放出量が正確に計測できない状況にあることから、拡散方位と予想放射線量にかなりの誤差が生じる可能性があります。
首相官邸は対策として、避難先としては適切でないと確認できる地域を、まず広報することといたしました。
なお、今後も引き続き放射性物質の拡散予測の改善を図りますが、放出量が正確に把握できない状況では、拡散予測を適切に発表することができない場合もあります。しかしながら強い放射線量が予測される地域については優先的に避難を指示いたしますので、放射性物質からの被ばくを避けるために、避難指示または屋内退避指示に従って行動をとっていただきますようお願い致します。・・・
いつ、どこへ、何処ルートを通って逃げるかを適切に伝えるからそれに従っ
て欲しいと言えば、パニックは起こらない。
この国が市民を守らず、体面ばかりを気にすることは、民主党政権になったからといってもいっこうに変わらない。むしろ、自民党政権でこういうことをしていたら、おそらく野党である民主党は猛然と非難をしたであろう。しかし実際には能力の無さはどっちもどっちだったとしか言いようがない。
事が「地震速報」「津波警報」ならば、ストレートに情報を市民に流すことはためらわない政府が、「放射性物質拡散予測」となると、にわかに及び腰になり、隠蔽を計る。その理由は、放射性物質の拡散予測に誤りがあり、大災害にならなかった場合、それが原発への恐怖心として市民に伝播したら困ると考える「安全神話に毒された推進派」が権力を握り続けたからだ。
昔は居た「防災よりも経済成長」「地震対策は大げさだ」などという政治家や官僚はもういない。繰り返し襲ってきた地震災害により、絶滅状態だった上、今回の地震津波災害でおそらく滅亡した。原発防災についても同様に、今回の福島原発震災で絶滅して欲しいところだが、残念ながら復活し始めている。それが次の原発震災を準備していることを肝に銘じておこう。