世の中の人は認めたがらないが、この世の森羅万象すべてのものに存在の意味はない。しかし、妖怪ウォッチの妖怪たちは、普通のキャラクターとは違って存在と同時にそれに先立つ意味を背負っている。それがポケモンなどのキャラクターとの大きな違いだ。ただ理由もなくそこに存在しているという設定のポケモンとは違って、妖怪は人間に憑りついて影響を及ぼすという人間にとって有意味な存在である。つまり、存在が意味に先立つポケモンは、「妖怪不祥事案件」に伴って「発見」される妖怪とは違って(たとえばペットや戦闘のパートナーなどの)意味をこちらが与えなければならない。そういった点で現実世界に近いものである。現実でも本来は意味のないだろうものに意味を与えるのが人間だからである。現実世界のあるあるの原因は妖怪ウォッチという道具で妖怪を見つけることによって妖怪の形で確認される。その具体的な妖怪の姿があるので、我々はアニメなどで「存在に先立つ意味」というものを目の当りにするのである。普通は存在が先にあって意味というものがそれに付与されるのであるが、妖怪はその逆である。正確には意味と存在が同時に現前に現れる。少なくとも妖怪が「存在する」世界に生きる我々の思考にとっては間違いなくそうである。だから、「妖怪ウォッチ」は、今までのキャラクター系のアニメやゲームとは一味違うものになっている。レベルファイブの日野晃博社長の仰るように、妖怪ウォッチは子供たちの救世主である。人生に意味を持たせることのできる人になれればこれ以上の幸せは無いだろう。