K.G

とりあえず一作

ビワの木のこと

2009-10-10 01:10:25 | Weblog
昔、食べた枇杷の種を植木鉢に植えてみたことがありました
冗談半分のようなものだったのですが、その一つから芽が出ました
近所にも幾つか枇杷の木があったので、枇杷というのは割と成長し易いものなのでしょうか
それから枇杷はどんどん育ち、植木鉢の中で根が絡みあっているような状態になったので、近所の地面に植え替えました
母方の祖父が植え替えてくれたので、今でも覚えています
その後も枇杷は大きくなり、「茎」ではなく「幹」と呼べるような、しっかりした木になりました

そして、私は今住んでいる家に越して来ました
しっかり根付いたその木を持ってくるわけにも行かず、当然ながらそこに残してくることになりました
ただ、引っ越した先はそれほど遠い所ではなかったので、私はたまに、枇杷の木を見に行ったりしました
枇杷の木はまだ大きくなっているようで、近くにあった椿の木も追い越し、ある日には、実がついているのを見て驚いたこともありました

そして、先日、枇杷の木を見に行った時
木は切られて無くなっていました
元々、そこは私有地でもなんでもなかったのですから、私がどうこう言える立場には決してありません
枇杷の木が大きくなり、私の身長を優に越すようになったのを見上げた時、自分があの時に種を植えなかったらこうはならなかったんだな、なんて感慨深く思ったこともありました
それがこんな結末を迎えるなんて、思いもしませんでしたが

私はその場に残された小さな切り株の切り口を、少しだけ撫ぜて、帰りました

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