原子力発電所再稼働に関して国の慎重な対応を求める意見書
政府は、今般、本県に隣接する福井県に所在する関西電力大飯発電所三号機及び四号機について、現状のままでは、今夏、電力不足に陥る可能性があるとの判断から、急遽定めた安全基準により安全性を確認し、地元自治体である福井県やおおい町に再稼働に向けての協力要請を行っているところである。
ここまでに至る経緯を見ると、昨年七月に、当時の内閣総理大臣が、突然、原子力発電所の再稼働の条件としてストレステストを課すことを決めたことから、定期検査入りした原子力発電所が停止したままとなり、結果として、全国各地の原子力発電所が稼働できない状況となったものである。それが一変し、今回の大飯発電所の再稼働に際しては、従来のストレステストのルールに追加する形で、わずか三日間で新たな安全基準が策定され、この基準に基づき安全性を確認したとされているところである。
今回の新たな安全基準は、本来は原子力安全委員会の審議を経て決定すべきものであるが、政治判断の名のもとに、専門的知識も持ち合わせていない四大臣の会合で決定されたものであり、何の法的根拠も有していないと言わざるを得ない。そして何よりも、福島第一原子力発電所事故の検証が十分にできていない状況で、このような重要な基準が、審議の状況を国民に公開することなく策定されたことに対し、大きな疑問を抱くものである。
また、一部の閣僚からは、再稼働の条件について、地元自治体の同意は法律等の枠組みで義務づけられているものではなく、必ずしも前提条件とはならないとして、これに関しては法律を厳格に解釈し、地元の意思を軽視するかのような趣旨の発言がなされている。
このような法の趣旨やしかるべき行政の手続を無視し、さらには地元の意思を軽視した政府の手法は、あまりにも稚拙で不見識と言わざるを得ず、原子力発電所周辺自治体議会である本県議会としては、容認できるものではない。
よって、国においては、大飯発電所をはじめ原子力発電所の再稼働の判断にあたっては、福島第一原子力発電所事故の十分な検証を踏まえ、原子力安全委員会の審議等、中立性が確保された手続を経た上で新たな基準を策定し、その基準に基づき慎重に行うとともに、原子力発電の安全性及び再稼働の必要性について丁寧な説明を行う等、立地自治体をはじめ周辺自治体も含めた自治体関係者や住民の理解を十分に得ることを強く求め、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
岐阜県議会から上記の意見書を自民党議員団・公明党議員団の連名で国に提出するよう議会に諮りましたところ、なんと民主党議員団もなんら異議なく賛成してくれました。政権を担っている民主党と地方議会の民主党議員の考えは違うのかなー