前回からの続きです。
黒旋風李逵とあまり関係ありませんが、107話で予告した目の彩色の話しです。
今私に適当な目の絵がないので、玄龍庵に飾っている先生の絵をお借りして解説します。

花和尚の目(かおしょう・長谷川達温先生筆)
107話で目の周りの隈取の話をしましたが、隈取の前に目の彩色をします。
トーロー絵などは,簡単にローで目の中を塗りつぶすだけですが、鏡絵の時はちょっと手を加えて仕上げます。
この花和尚の目は、一般的な目の彩色だと思います。
目尻の内側の線から目の中心(黒目)に向けてボタン刷毛を薄く掃くように使います。
黒目の周りが白目に見えるようにつけ、さらに目じりに赤を入れてからローで目の中を塗りつぶします。
隈取は普通に薄墨を使いボタン刷毛は使っていません。目じりの赤色を採用するしないは好みでしょう。私個人的には好みません。
この題材では、目の周りのローつけがよくわかります。長谷川流では目の上の線と眉毛の間にローはつけません。ローは、つけてもつけなくてもと良いうことではなく、つけてはいけないと習いました。目が浮いて見えるからではないかと思いますが、理屈抜きで、素直に言いつけを50年守っています。
玄龍庵の生徒も色々写真などを見て研究して、普通にローをつけている人が多く、このような目の周りのローつけは、現在主流なのかなと逆に考えてしまいます。

張飛の目(長谷川達温先生筆)
薄墨の代わりに、赤色を上述した通りに入れ、ローをつけます。
先生は一時期、墨・赤色・青色と試しましたが、墨を入れる場合が一番落ち着くかなと言っていました。この目の中の処理は、ご自分の前に私を座らせ、細かく描きながら何回か教えてもらった記憶があります。
ただご覧のように赤色を入れると、非常に血走った感じになるので、張飛あたりの激しい気性だと言われている武将の絵にはいいかなとは思います。これが仮に関羽だとしたらおかしくなります。

関羽の目
色紙等に描く時は、黒目を除いて銀色をいれ、胡粉を使い黒目の周りに白目を作るように丸く彩色します。
色紙の場合は、目じりに青色を入れることがあります。これも好みですが、赤色は血走ってしまうので、ローつけする絵でありませんが、関羽等を題材とした場合は要注意です。
また、瞳部分を白ヌキしていないと死に目と言い、生首等の絵等に使います。
俗にいう黒目を描く場合は、細筆を使わないと上手く描けません。瞳を描く為には、最低でも顔を描いた筆より細いものを使うべきです。先生でも最低3~4本の墨筆をそばにおいて描いていました。
白ヌキした目の見つめる先が何処をさしているのか、考えている通り描くことができれば、そろそろトロー絵は卒業になります。
女性の目については、後日細かく説明します。 この項終わり
黒旋風李逵とあまり関係ありませんが、107話で予告した目の彩色の話しです。
今私に適当な目の絵がないので、玄龍庵に飾っている先生の絵をお借りして解説します。

花和尚の目(かおしょう・長谷川達温先生筆)
107話で目の周りの隈取の話をしましたが、隈取の前に目の彩色をします。
トーロー絵などは,簡単にローで目の中を塗りつぶすだけですが、鏡絵の時はちょっと手を加えて仕上げます。
この花和尚の目は、一般的な目の彩色だと思います。
目尻の内側の線から目の中心(黒目)に向けてボタン刷毛を薄く掃くように使います。
黒目の周りが白目に見えるようにつけ、さらに目じりに赤を入れてからローで目の中を塗りつぶします。
隈取は普通に薄墨を使いボタン刷毛は使っていません。目じりの赤色を採用するしないは好みでしょう。私個人的には好みません。
この題材では、目の周りのローつけがよくわかります。長谷川流では目の上の線と眉毛の間にローはつけません。ローは、つけてもつけなくてもと良いうことではなく、つけてはいけないと習いました。目が浮いて見えるからではないかと思いますが、理屈抜きで、素直に言いつけを50年守っています。
玄龍庵の生徒も色々写真などを見て研究して、普通にローをつけている人が多く、このような目の周りのローつけは、現在主流なのかなと逆に考えてしまいます。

張飛の目(長谷川達温先生筆)
薄墨の代わりに、赤色を上述した通りに入れ、ローをつけます。
先生は一時期、墨・赤色・青色と試しましたが、墨を入れる場合が一番落ち着くかなと言っていました。この目の中の処理は、ご自分の前に私を座らせ、細かく描きながら何回か教えてもらった記憶があります。
ただご覧のように赤色を入れると、非常に血走った感じになるので、張飛あたりの激しい気性だと言われている武将の絵にはいいかなとは思います。これが仮に関羽だとしたらおかしくなります。

関羽の目
色紙等に描く時は、黒目を除いて銀色をいれ、胡粉を使い黒目の周りに白目を作るように丸く彩色します。
色紙の場合は、目じりに青色を入れることがあります。これも好みですが、赤色は血走ってしまうので、ローつけする絵でありませんが、関羽等を題材とした場合は要注意です。
また、瞳部分を白ヌキしていないと死に目と言い、生首等の絵等に使います。
俗にいう黒目を描く場合は、細筆を使わないと上手く描けません。瞳を描く為には、最低でも顔を描いた筆より細いものを使うべきです。先生でも最低3~4本の墨筆をそばにおいて描いていました。
白ヌキした目の見つめる先が何処をさしているのか、考えている通り描くことができれば、そろそろトロー絵は卒業になります。
女性の目については、後日細かく説明します。 この項終わり