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ハマの街から 

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トンビが空高く弧を描く理由

2024年12月18日 | 季節の便り・自然の営み
 季節は冬になったが、冬の風物詩的な光景として「空高く弧を描きながら飛ぶトンビ」を目撃する機会が増えたような気がする。そこで以前から抱いていた「子ども電話相談室」的な疑問をいつもの永合愛子教授から訊いた。


●空高く弧を描いて飛ぶトンビのイメージ写真


●問 トンビが特に冬に鳴きながら弧を描がいて空高く飛んでいる理由は何か。
●答 トンビが冬に鳴きながら弧を描いて飛ぶ理由はいくつか考えられます。まず、トンビは食べ物を探している可能性があります。冬は他の季節よりも食糧が少なくなるため、より広範囲を飛び回って餌を見つける必要があるのです。また、トンビの鳴き声は縄張りを主張するためのコミュニケーション手段でもあります。他のトンビに対して自分の領域を示すことで、食べ物や安全な場所を確保しようとします。
さらに、空高く飛ぶことで風に乗り、少ないエネルギーで広範囲を移動することができます。これもエネルギーを節約しながら効率的に狩りを行うための戦略の一つです。
ちなみに、トンビが鳴くと「雨が降る」という迷信もありますが、実際には気象条件とトンビの鳴き声には直接的な関係はないと言われています。
自然の中でのトンビの行動には、まだまだ解明されていない多くの謎があり、それがまた魅力的ですね。

●問 私が率直な疑問を持つのは、よく空高くから小動物の獲物を探しているときくが、トンビの視力が望遠機能でもあればべつだが、あんなに高いところでは見える範囲をたかが知れていると思うがどうか。
●答 実は、トンビのような猛禽類は非常に優れた視力を持っています。トンビの視力は人間の視力の数倍にも達すると言われており、遠く離れた場所にいる小動物もはっきりと見ることができます。
トンビの目には多くの視細胞が詰まっており、それによって非常に詳細な視覚情報を捉えることが可能です。さらに、彼らの眼は光の感度も高く、動きに敏感に反応します。これにより、高い場所から広い範囲を一度に見渡し、獲物の動きを素早く捉えることができるのです。
また、トンビの脳は視覚情報を効率的に処理する能力を持っており、空中から地上の微細な動きをすぐに識別して捕食行動に移ることができます。これらの特徴が組み合わさることで、トンビは高い位置からでも効果的に獲物を見つけることができるのです。
自然界の生物たちは本当に驚くべき適応力を持っているのです。

●問 個人的にはハヤブサのように獲物を見つけて急降下して獲得する光景を見たことがないから何とも言えないが、人間が使うレンズやカメラ以上の能力を持っているとしたら素晴らしいですね。
●答 ハヤブサやトンビの視力は、人間の技術をも凌ぐ自然の驚異です。特にハヤブサの急降下捕食は、時速320キロにも達する速度での狩りで、その精確さと速度はまさに圧巻です。トンビはハヤブサほどのスピードこそないものの、その視力と飛行能力は彼らが効果的に狩りを行うために進化してきた結果です。人間が開発した望遠レンズやカメラも素晴らしい技術ですが、自然界の生き物たちが持つ能力にはやはり感動を覚えます。また、猛禽類だけでなく、他の鳥や動物たちもそれぞれの環境に適応した独自の能力を持っていることを知ると、自然界の多様性と進化の素晴らしさを実感します。

●問 ときどき、道路にカラスやトンビの死骸が横たわっているときがある。これらも捕食行動中の事故死のような気がする。彼らも捕食行動は死に物狂いだということがわかるね。
●答 確かに、捕食行動中の事故や衝突は鳥たちにも命に関わる問題です。特に都市部や道路周辺では、車と衝突してしまうケースも少なくありません。彼らの鋭い視力や俊敏な動きでも、予期しない状況や高速で動く車を避けるのは難しい場合があります。カラスやトンビも生きるために毎日必死で活動しており、その中でリスクを冒して狩りを行うことは、まさに「生きるための戦い」と言えます。自然界では、捕食者も常に命がけで餌を得る必要があり、その過程で事故が起こることも理解できます。自然界の厳しさや動物たちのサバイバルに対する適応力は驚くべきものであり、時には切ない一面も感じます

●問 国内的なトンビの個体数の増減について。
●答 最近の調査によると、日本国内のトンビの個体数は減少しているようです。特に都市部では、生息地の減少や交通事故などが原因で個体数が減少しているとされています。一方で、一部の地域では保護活動の成果により個体数が増加している地域もあります。トンビは非常に珍しい鳥であり、その保護が重要です。

●問 トンビの主たるエサの種類について。
●答 トンビは多様な食性を持つ猛禽類で、主に以下のようなエサを捕食します:
①小型の哺乳類:ネズミやモグラなどの小型の哺乳類はトンビの主要なエサの一つです。
②鳥類:小さな鳥やヒナを捕食することもあります。
③魚類:川や湖、海岸近くで魚を捕ることもあります。
④昆虫:特にバッタやカブトムシなどの大型昆虫もトンビの重要な食料です。
⑤腐肉:トンビは腐肉(死んだ動物の肉)を食べることもあり、このため「自然界の清掃員」としても知られています。
⑥果実や植物の種:稀に果実や植物の種を食べることもあります。
トンビのこのような広範な食性は、生態系において非常に重要な役割を果たしています。彼らは捕食者としてだけでなく、腐肉を掃除する役割を通じて生態系のバランスを保つ手助けもしています。

●問 野鳥には渡り鳥のタイプと留鳥のタイプがあるというが、トンビの場合は。
●答 トンビは基本的に留鳥(留まる鳥)であることが多いです。留鳥とは、一年を通じて同じ地域に留まる鳥を指します。日本国内のトンビも、大半が同じ地域に留まり、一年を通じて生息しています。ただし、特定の環境条件や食料供給の変動に応じて、短距離の移動をすることもあります。たとえば、厳冬期には若干の移動を行う場合もありますが、渡り鳥のように大規模な季節的移動は行いません。トンビが留鳥であるため、私たちは一年を通じてその姿を見ることができます。

●問 トンビの寿命について。
●答 トンビの寿命は一般的に15年から20年と言われています。しかし、野生環境では天敵や病気、食糧不足などの影響を受けるため、実際にその寿命を全うする個体は少ないかもしれません。一方で、飼育下ではより長く生きることもあるようです。トンビは野生で生き抜くための多くのスキルと適応力を持っていますが、それでも自然の厳しい環境で長く生きるのは簡単ではありません。とはいえ、トンビの寿命は他の多くの鳥類と比べると比較的長い方です。

●問 トンビの発情期について。
●答 トンビの発情期は通常、春から初夏にかけてです。具体的には、3月から5月にかけてが一般的な発情期です。この時期になると、トンビは求愛行動を見せるようになります。

●問 卵は一度に何個生むか。
●答 トンビは通常、一度に2個から3個の卵を産みます。親鳥はこの卵をおよそ4週間ほど抱卵し、その後ヒナが孵化します。孵化したヒナはさらに親鳥によって育てられ、飛べるようになるまで約6週間かかります。これらのヒナが無事に成長するためには、親鳥が充分な餌を確保し、巣を外敵から守る必要があります。トンビの繁殖は自然界での生き残りの重要な一部であり、その過程は非常に興味深いものです。

●問 トンビのン場合、産卵から巣立ちまでツバメのように交代しながら親鳥が育てるのか。
●答 トンビの親鳥もツバメと同様に交代しながらヒナを育てます。産卵後、親鳥は交互に卵を温め(抱卵)、ヒナが孵化した後は交替で餌を捕ってきて巣で待つヒナに与えます。この共同の育児方法により、親鳥はエネルギーを節約しつつ、ヒナを安全に育てることができます。トンビのヒナは巣立つまでに約6週間ほどかかりますが、その間、親鳥は絶えずヒナの世話を続け、飛び方や狩りの基本を教えていきます。トンビの家族も協力し合って子育てをする様子は、自然界の驚くべき一面です。

●私の感想 
 八戸においてはウミネコやカラス、スズメ同様にこのトンビもどこでもいつでも目撃できる野鳥の一種である。しかしながら、その具体的な生態については個人的にはよく知らなかった。今回、教えてもらったおかげで少しは自然界のトンビについてさらに興味が持てたように思う。

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