貸本マンガ史研究会

貸本マンガと戦後の歴史

石川球太さん

2018-12-28 15:03:28 | 日記
今日12月28日、石川球太さんが10月15日に亡くなられたことが報じられました。78歳でした。
石川球太さんは、動物マンガの第一人者として知られています。それもかわいい動物ではなく、リアルな恐怖の対象としての動物を描けば、右に出るものはいない存在でした。
若くは『漫画少年』の常連投稿者でしたが、貸本マンガにも『ななし野ものがたり』(漫映出版、1956年)をはじめとして、若木書房などでいくつかの作品を残されています。
私事になりますが10数年前、ある仕事が終わった打ち上げで石川球太さんに初めてお会いしました。その席で研究会の会誌をお渡しし、その後も会誌を送ると、励ましのお葉書が届いたりしました。
2007年に開催した『貸本マンガRETURNS』の出版記念会にもご出席いただきました。そのときの芳名帳に残る石川さんのサインです。



力強く「球太」とだけ書かれています。
会場で石川さんがこう言われたのを憶えています。
「つげ(義春)さんは来てないのか。会いたかったのにな」
石川さんは、ともに「むさしのプロダクション」を結成した永島慎二さん、杉村篤さん、深井ヒローたちとの交遊は知られていますが、つげ義春さんとも交流がありました。
心から石川球太さんを追悼いたします。(H)

つげ義春×池上遼一

2018-12-20 12:56:35 | 日記
1967、68年に『ガロ』に掲載された、つげ義春さんと池上遼一さんの作品を集めた作品集『ガロ1968 前衛マンガの試行と軌跡』が双葉社から発売されました。
水木しげる作品を手伝うことで出会った二人が、競い合うように『ガロ』誌上に作品を発表した時代がありました。新しいマンガを模索する二人の〈共闘〉を知ることができる、今までにない切り口で編まれた作品集です。

収録作品
つげ義春
「通夜」「山椒魚」「李さん一家」「峠の犬」「海辺の叙景」「西部田村事件」「ねじ式」
池上遼一
「夏」「地球儀」「禁猟区」「風太郎 無風時間」「風太郎 片目男の独白」
解説:高野慎三「実験と変革の時代」
企画・編集:山田英生

四六判256ページ
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-575-31416-8



長谷邦夫さん

2018-12-04 01:06:24 | 日記
長谷邦夫さんが11月25日、81歳で亡くなられました。
長谷さんは赤塚不二夫さんのブレーン、アドバイザーであると同時に、パロディを中心としたマンガ家であり、詩人でもありました。また、マンガ評論家としても知られていました。
若いころはいわゆるトキワ荘グループの周縁におられましたが、〈よき児童マンガ〉を標榜する彼らとは立ち位置が少し違い、曙出版で貸本マンガを描かれていました。
私たちは2007年2月23日に、長時間にわたって長谷さんにお話しをうかがう機会がありました。そのときの写真を掲載します(撮影:梶井純)。
1枚目の写真の左が長谷さん、右がインタビューの労をとっていただいた、かつて曙出版で長谷さんと親しかった、マンガ家であり編集者であった宮川義道さんです。





この記録はいずれまとめたいと思っています。(H)