1話読み切り童話風のおはなしです。
なんとタザ記直筆のイラスト付きです!!
読んでくれた皆さんが前より少しでも笑顔になってくれたら嬉しいです。
では、どうぞ!
はととからす
あるところに、1羽のからすがいました。このからすはとても頭がよく、街の人々もこのからすのいたずらにいつも困っていました。
ある日、いつものようにゴミ袋から食べ物を探して食べていると、なんとまあ美味しそうなパンをくわえたはとがいるではありませんか。からすはどうしてもそのパンが食べたくなりました。しかし、無理やり奪いに行っても逃げられてしまいます。そこで、からすはこんなことを考えました。
「そうだ。あいつと知恵くらべをして勝ったらパンをもらうことにしよう。」
からすは早速はとに声をかけました。
「やあ、はとさん。随分と美味しそうなパンを持ってるね。」
「あ、からすさん。いいでしょー、パン屋のおじちゃんがくれたんだ。」
「ところで、僕とひとつ知恵くらべをしないかい?君が勝ったら、このポテトをあげるよ。でも、僕が勝ったら君のパンをちょうだい。」
「え!ポテトくれるの!?嘘ついたら針千本だからね!!」
はとは見事にからすの誘いにのりました。
「それで、何をするの?」
はとは聞きました。
「簡単だよ。ほら、あっちの木に木の実がなってるでしょう。あの木の実を先に食べ終わった方の勝ちね。」
「先に食べ終わればいいんだね!」
IQ6のはとはこう返事をしました。
「じゃあいくよ。よーい、どん!」
2羽とも一直線に木に向かい、木の実を食べ始めました。やっぱりからすは早いです。
はとがやっと1つ目を食べ終わる頃には、からすはもう2つ目の半分を食べ終わっていました。
結局、からすが先に食べ終わりました。
「やっぱりからすさん凄いなぁ。はい、約束のパン。」
はとはしぶしぶパンを差し出しました。
「う〜ん。お腹いっぱいだ〜。食べれないよ〜。」
からすは木の実でお腹がいっぱいになってしまい、パンをたべることができませんでした。
「あれ?食べないの?じゃあ僕が食べちゃおー。」
木の実をあまり食べれなかったはとはお腹が空いていたのでパンを食べてしまいました。
「うう…。こんな勝負にするんじゃなかった。ちゃんと考えないとなぁ…。」
からすは、自分の欲に負けて焦ってしまったことを後悔するのでした。
それから、2羽は川のほとりでゆっくりおしゃべりをしましたとさ。
ーおしまいー