
■衰える球威は技術でカバー
防御率2.30で16勝を挙げ、最多勝と沢村賞に輝いた2009年ほどの球威はない。しかし、涌井は年齢と共に衰える球威を持ち前の制球力でカバーし、昨季の躍進につなげた。
球種別の投球割合(SPAIA参照)からも分かるように、涌井の投球の78.2%を占めるストレート、スライダー、シンカーの被打率はいずれも.250未満で、順に.233、.185、.224と圧巻の数字が並ぶ。球威が衰えてもこれだけ打たれていないのは、コースもしくは高さを間違えずしっかり投げ切れている証拠だ。
この投球割合上位3球種のすごいところは、空振り奪取率にもある。2桁なら優秀とされる空振り奪取率が、3球種とも10%を超えており、ストレートが10.2%、スライダーが12.3%、シンカーが10.3%。これほどの数字を記録できたのは、熟練された投球術と洗練されたコントロールの賜物と言えるだろう。
SPAIA