あの6回に点を取られていたら
私が、、、、やさぐれていたよ=_=

涌井の93球目は、133キロのスライダーだった。茂木のバットは反応できず、球審の右手は上がった。6回無死一塁。フルカウントだった。ヤクルトは一走・北村拓にスタートを切らせた。宇佐見の送球は美しい軌道で、待ち受ける山本のグラブに刺さった。
安打なら一、三塁。ボールでも一、二塁。あるいは勝敗がひっくり返っていたかもしれない。しかし、三振&盗塁刺で2死走者なし。互いが勝負を懸けた一球は、竜が制した。
まずは投げきった涌井の言葉。2、4、5回と得点圏に走者を背負ったが、粘り強くしのいでいた。ただ、北村拓への死球は、勝利への流れが逆流しかねなかった。どう見ても左肘を突き出していたが、球審は故意とは認めず。さすがの鉄仮面も「冷静ではなかった」と打ち明けた。だからこそ「宇佐見がいい送球をしてくれて、非常に助かった」と同郷(千葉県松戸市)の後輩に感謝した。
刺した宇佐見は「いつ走ってきてもいい準備はしていた」と胸を張ったが、この一球のすごみはバックドアだったところにある。左打者の茂木の外角ボールゾーンから小さく曲げ、ストライクにねじ込む。5回に西川から奪った三振もそうだったが、投げ損じのリスク(四球)を考えれば難易度はさらに高い。涌井への信頼感。そして13日も先発マスクをかぶっていたことが生きたという。
「(茂木には)詰まらせてもついてこられてヒットを打たれていた。だからあの球は見逃し三振を取りにいった球なんです」
ファウルで粘られて四球というのは絶対に避けたい。フルカウントからの7球目で、何としても仕留めたかった。そのためには茂木の想定外の球種とコース。それがバックドアだった。
「最後に選択したボールですよね。宇佐見と涌井の意見が一致して、相手バッターの頭になかったボールを投げられた。非常に大きかった」
勝負のバックドアを、井上監督もたたえた。求めた宇佐見、投げきった涌井。どちらにとっても会心の一球だった。
中日スポーツ