２日ほど前に、ある方からご連絡を頂き
急遽、つちびとの本『泥の水へとかかる虹』を、送ってもらえないだろうかとご依頼があった
重いご病気のご親族がいらして
お見舞いに行かれた時、ご病気の方は比較的体調が良かったそうで
その時、つちびとのポストカードを見て
「かわいいねえ」と微笑まれたそうで
そのご親族の様子を見て、つちびとの本を彼女に届けたいと思ってくださったのだとか
そんなふうに思っていただけることが・・私はとても嬉しかった
送った本をご親族の方に届けられた時のことを
今日、電話で知らせてくださったのだけれど・・
痛み止めの薬で深く眠られているご親族に
つちびとの本を抱いてもらったと教えてくださった
下手くそな私のサインも見せたと・・・
私はもちろんのこと・・
つちびとだって・・何かのチカラがあるわけではない
だけど・・本を届けたいと思って頂けた・・そのことが
何のために作るかと・・心もとなくなっている私に
ただ作ればいいのだと伝えてくれているのかもしれない
作家として有名にはなれないかもしれない
とるに足らない作家のまま終わるかもしれない
だけど・・たったひとりでも
つちびとのことをそんなふうに思ってくださる方がいる
もう・・それでいいじゃないか
夕方・・ほかの用事でアトリエに入ったはずなのに
なぜか、ワイアート後に初めて作ったお坊さんのようなつちびとにふと目がいって
あまりに長いこと置きっぱなしだから、土の成分が表面に出てきていて
真っ黒に変化して表情もわからなくなっていたのに
さらに微調整を始めだしてしまった
なにしてるんだか・・と思いながら
手の爪で削っていくうちに
このつちびとを作っていた時の気持ちが蘇ってきた
アルが突然逝ってしまって
何をどう思っていいかわからなくて・・苦しくて
ただただ・・わからないまま作って
今日・・このつちびとを、また触りたくなった不思議に意味を感じた
私は・・祈りたかったのだ
彼女のご親族が、少しでも長く穏やかであることを
そして、また８年前の今日起こったことで・・・ずっと哀しみを抱えている方々の平穏を
微調整したことで、変色した表面が削り取られ・・少し表情が見えてきたつちびと上人
でも・・手なんかは・・変色した部分も残っていて
まるで、古い時代の仏像の手のようだ
私にできることはほんのわずかだし
自分自身が惑いの真っ最中
だけど、それでも・・
祈るように作ろう
作りながら・・祈ろう
１１月のつちびと展の会場風景は
こちらから
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