と、いうワケで・・・・・・。

昨冬、コレに入れて保存していた夏着物を
出してみた。
中身は、コチラ
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左から、マダム越後(越後上布の縮み。証紙はなし)、
色紙の刺繍が入ったチャコールグレーの絽の付け下げ
レモンの上布(能登上布)
どうなっているかな?
・・・・・・特に、何の変化もなし。
お手入れの済んだキレイな状態のまま、出てきた。
そりゃもちろん、入れたときよりも傷んで、カビでも生えて出てきたらビックリだし
逆に、お手入れ直後よりもピッカピカになってしつけ糸までついて出てきたら、もっとビックリだ。
でも・・・・・・ 変化がないってツマンナイ。
保存袋なのだから、無事に保存できましたよ、ということが確認できれば十分なのだけど。
きちんと仕事をしたのに、あまり喜ばれないかわいそうなアイテム。
ただ、一つわかったことは、
(少なくとも夏着物を)保管するのに、この袋以上のコストや手間をかけなくてもいい
ということ。
温度湿度がばっちり管理されたトランクルームに預ける必要も
桐箪笥にしまう必要も、ない。とりあえず私には。
これって意外と、大事なこと。
あるものに対し、別のものが劣っていないことを証明する試験を
医薬の分野では「非劣性試験」という。 -そんなことを思い出した。
※「虫干しパック」の説明(入手時の記事)はコチラ
※「虫干しパック」に着物をしまったときの記事はコチラ
----------(ここからは話がどんどん脱線していきます。興味のある人だけどうぞ)-------------
「でもさあ、非劣性試験って、ツマンナイんだよねー」
かなり前の取材時、とある消化器外科医はこう言い放った。
誰だってさ、今より効く薬を開発したいわけよ。
「治療薬Aで、治癒率がアップ!」という方が
「治療薬Aは、今ある治療薬Bに治癒率は劣らないけど、使い勝手がいい」というより
インパクトが強いでしょ?
新聞の見出しだって、そうじゃないのー?
(使い勝手というのは、例えば点滴よりも飲み薬の方が患者さんへの負担が少ない、というようなこと)
薬の開発や承認には莫大なお金がかかるし、
そこに研究者の実績や名誉みたいなものが絡めば、確かに「よりすぐれているもの」を
世に出したい気持ちは、わかる。
だけど・・・、と、彼は続けた。
「これから日本はもっと高齢化するでしょ。そしたら副作用なんかも含めて
患者さんにきつい思いをさせるよりも、効果は同じでもカラダに優しいとかね、そういう治療法が
もっとスポットライトを浴びるようにならないとねえ」
これは医薬の分野に限らないかも・・・・・・。
「○○よりすぐれている」△△を目指すあまり、いろんなことに我慢を強いている例は、
ないだろうか。
私たちの普段の生活でもそう。
「○○よりすぐれている」「△△より劣っている」という発想ばかりで
物事を捉え、論じるのは、疲れる。
(○○や△△には、しばしば「世間一般」とか「自分」が入る)
「劣っていない」ことを証明するのって難しいわりに地味。でも。
非劣性であることにもっと目を向けられるようになったら、
日本は今とは違う社会になるのかも知れないな。