
先日合わせた桐生織と葡萄帯は、
秋のコーデに違いはないけれど、ちょっとテイストが他のと違うかな。
“1回休み”といったところでしょうか

10月1日を迎え、
袷を出さなきゃと慌てて衣替え。
もうまもなく、これらの帯がお目見えします。

左が栗山紅型の更紗と鳥の帯、右が澤田麻衣子さん作の紅葉帯。
こうして並べてみると、右の銀通しのキラキラが目立ちますね。
(左の帯地は縮緬)
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少し前の話になるが、
先週、ミキモトホールで開催中の
「金唐紙の世界展 -新しい風・古典から現代まで-」を観に行った
(~10月8日、入場無料)。

明治時代を代表する洋風建築には、大抵
壁紙にこの金唐紙が使われている。
ヨーロッパでももてはやされ、一時期は有力な輸出産業に
なっていたものの、皮肉なことに機械化が進むにつれ、手仕事の良さが失われ
品質が落ち、輸出が振るわなくなって衰退の道に。
内需も、第二次世界大戦後の復興時に多少、再評価されたものの、
一般には浸透せず、技術も断絶してしまった。
そこに再び光を当てたのが、
現在、世界で唯一の金唐紙制作技術保持者として、
文化庁より認定を受けた上田尚(たかし)さんという方。
1983年に博物館で見た金唐紙に感銘を受け、仕事を辞めて、
乏しい資料にあたりながら、復元に取り組んできたという。
(まるで沖縄の織みたいですね)
ざっと制作工程を紹介すると
・和紙に薄い金箔か錫箔を張る(現代では殆ど錫箔)。
↓
・直径20㎝くらいの木の棒に巻きつける。
この棒には模様が彫り込まれており(版木)、和紙を巻きつけて打ち付けることで
箔部分に模様の跡がつく。
壁紙などの大きなものは、これを何度も繰り返し、連続した模様を和紙に
写し取る。
↓
・薄茶の漆で下塗り後、いろんな色の漆で色をつける。
↓
・ワニスを塗り、輝きを出す。
…という感じの流れ。
展示会場にて、制作工程を紹介するビデオも上映されていた。
モチーフは草花(アカンサスなど)が多く、狩りをする人や動物も少し。
版木を彫る技術は、浮世絵がベースになっているそう。
ミキモトホールには、
金唐紙のルーツとされている、1500年代のスペインの革の作品から、
旧岩崎邸など有名建築の内装の一部、屏風や壁掛け、宝石箱などの小物、
そして帯も一点、展示されていた。
拝金主義的な金ピカではなく、漆の渋みとあいまって
少し浅目の(例えるならK9くらい?)の控えめな輝きが
却って高級感を醸し出していた。
宝石箱や小引き出し付きの箱は芸術作品といってもいいほどで、
それだけで一つの世界があって、いつまでも眺めていたいほどだった。
この展示が無料というのはホント、お得だと思います。
8日までに銀座へ行かれることがあれば、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
※ミキモトホールのHPはコチラ
※金唐紙の歴史や制作工程は、コチラのサイトが(読み物としても)
面白いのではないかと思います。