東京文化会館 大ホールでの
ワーグナー「ニーベルングの指環 第一夜 ワルキューレ」。
この日ご一緒したのは……

ミュージカル部総裁にして、オペラ鑑賞の師匠でもあるOさん。
長時間に渡ることから賢明なご判断で、今回はお洋服。
まず、何に驚いたかって
男性客が多い!
男性化粧室の方に、長蛇の列ができる様子を初めてみました、ワタシ……

ということで、
ワタシも、自分のことをゲルマン魂の持ち主と思っているうちは、
彼らとメンタリティが似ているのかも、と

舞台はこんな感じで(これは昨年の)

後方に巨大なスクリーンがあり、
CGで、音楽の場面に合った背景が動画で映されました。
でもCGだとやや、チープかな。
演奏はN響で、指揮者はポーランド出身のマレク・ヤノフスキ氏。
コンサート形式でのワーグナー・オペラの演奏に、定評のある方のようです。
Oさんいわく

これは本物、これはいい、と思って」
今回、私に声をかけてくださったとのこと、ありがとうございます!
その言葉通り、
私がこの日もっとも強く抱いた感想は
指揮者の力って、すごい!
でした。
まあ今まで、
そんなにたくさんクラシックコンサートに足を運んでいるわけでもなく
まして同じ曲を別の指揮者で聴き比べ、なんて機会もなく、
もし退屈だったり、逆に心打つ演奏だったりしても
それはオーケストラのスキルに因るところが大きい、と、漠然と思っていました。
でも、違うんです。
ヤノフスキ氏のタクトは、約4時間という時間をも忘れさせるほどに
心に無理なく寄り添う音楽を生み出し、
ドラマチックなのに、わざとらしくなく
繊細なのに、小難しくなく、
人間の自然な感情の起伏を、決して煽らず、逆なでもせず、
純粋に「美しいもの」だけを届けてくれた、そんな気がします。
だって、そんな眉間にシワ寄せて聴きたくないじゃないですか。
例えワーグナーでも。
少なくとも、私はそう思います。
歌の方も、私には出演者の力量の差が少なく、
どの出演者にも魅力があり、聴きやすかったなあと思いました。
もちろん、現代で最高のワーグナー歌いと称される
マイヤー様(ワルトラウト・マイヤー)には、格別なオーラがありましたが。。。
マイヤー様はピッチが正確で、丁寧な印象を受けました。
フンディング役のシム・インスンは声量がすごい!
この方はおいおい、もっと大役、主役級も張れると思いましたし、
また聴いてみたいです。
発音は、ドイツ人以上にドイツ語らしいというか、
少しsch(シュッという発音)やt(トゥッ)がきついなあと
私は気になりましたが…。
フリッカ役のエリーザベト・クールマンは
歯切れの良い“オトコマエ”で、フリッカにぴったりだったし、
フリッカにやりこめられるヴォータン役のエギルス・シリンスも
渋いイケメンで(←歌とは関係ない 笑)声にも好感が持てました。
ワルキューレ役の日本人歌手のみなさんも、安定していて良かったです。
残念なことと言えば
最後の最後で、フライング拍手が起こったこと。
第一幕、二幕のように、「ジャン!」と勢いよく終わるのなら
我先に拍手してもいいと思うけれど、
第三幕の最後は、父親のヴォータンが娘のブリュンヒルデに
(涙の)別れを告げる場面で、
長調なのに寂しさと不穏さを含みながら静かに終わる曲。
私も、音が聞こえなくなっても余韻に浸っていたかったのに。
指揮者がタクトを下す前に、フライング拍手しちゃう人って、
最後までちゃんと音楽に心を寄せて聴いているのかしら、と、
鑑賞経験の浅い者ながら、思ってしまいました。