欠ノ上田んぼ

欠ノ上田んぼ様子をお知らせします。

流し水管理

2017年07月03日 | 日記

ここが全体の水口になる。生育も遅れている。これでも例年よりましかもしれない。この水口の3番田んぼは苗床にしている。苗床なのでどうしても、肥料が多めになる。水の冷たい田んぼは少し多めの肥料が必要になる。そこでちょうどつり合いが取れる。写真ではわかりにくいが、常時、稲が押し倒されているくらい水が入っている。田んぼは流し水管理である。常に水を入れている。その水の量毎秒2リットルくらい。これを24時間続けている。水は最初に2系統に分かれるので、毎秒1リットルづつと言う位か。それでも一番下の田んぼでの排水はない。水が行き着く、最後の田んぼが3か所あるのだが、何処でも排水をすることはない。たまに水尻の堰を超えていることはあるが、基本の水管理としては水尻の水を出さない管理である。流し水管理という水の入れ方がある訳ではない。この田んぼの構造状流し水で入れるしかなかった。それをしている内に、この田んぼでは流し水の管理の方が良いという事が分かった。理由は水は流れていると生きた水になるという事だと思っている。

これが2番目の田んぼへ水が落ちるところである。一番目の入水口の稲と較べると、成育の違いがよく分かる。この水が落ちているあたりが案外に成育が良い。水口田んぼで水が暖められて落ちるから状態が良くなる。この水がこの下11番まで行くのだから、ここも相当の水が流れ込んでいる。流れ込んでいてもここは水温が高いから、生育が遅れるという事はない。そして泡立ち水の中に酸素が供給される。水を活性化させる。これが下の田んぼにとって良い効果が出ている。下の田んぼでは水口周辺が生育の良い場合が多いいのだ。

これは3番の水尻である。板を超えている水の量でどれほどの水が流れているかが少し想像できる。

このようにどの田んぼもかなりの水が流れ続けている。以前、平地の鬼柳境でやった田んぼは幅5メートルの長さ50メートルとかいう田んぼだったがここなどは水路で田んぼをやっているような感じだった。これは抑草を期待して、流れ水管理にしていた。全体を緩やかな川状態にして、酒米の山田錦を作ったが、畝取りが出来た。田んぼの水は常に変わっていた方が良いという考えでやるのが、流し水管理である。朝夕だけ水を入れるとか、様々な水管理があるが、水が充分にあるなら流し水管理が優れていると考える。流れ水では雑草が発芽しにくい。特にコナギは生えにくいと考えている。実際に鬼柳境の田んぼでは前年まではすごい雑草田んぼだったのに、ほぼ草を抑え込むことに成功した。稲刈りも水の中という状態ではあった。

これは5番から6番に落ちるところだが、4番からこのぐらいの水が流れ込みそのまま流れ落ちている。田んぼの中をこれだけの水が常に動いているという事になる。ここでも700CC/秒ぐらいの水はある。

ここは10番の里地里山の田んぼ、ここは入る水はたぶん50CC/秒になっているぐらいに見える。水がここまでくる間に、それだけ減る。それがタテ浸透の水になる。その上の田んぼが9番だがここはどん図まりの田んぼで、ここにも50CC/秒の水が入るが流れ出ることはない。この最後の田んぼが一番できる田んぼだ。出来過ぎで倒れる傾向がある。一昨年秋に病気が出た。過密になり蒸れたのだと思う。ここでも水を流して落とせばいいのだが、それだけの水がないという事でもある。

12番の田んぼだけ糯米のマンゲツモチを作っている。成育がおとなしい感じがある。また、今年初めて作っている田んぼなので、土壌の状態が良くない。この長い塩ビ管は動くことになっていて、今は12番に落としているが、初期段階では、7番に落としていた。13番14番の代掻き田植えが終わってから、12番に水が落とせるようになった。

これは2番から12番田んぼへの水。水が落ちているあたりの方が生育が良いのが分かる。このあたりは地面から水が湧いている。その為土が冷えている。上からの温かい水が落ちてそのあたりが生育が良くなってきた。酸素が供給されることも良いのではないかと考えている。

これは1番から2番への落水口。

これは3番の上から見た稲。稲はこのように上から見ると様子がよく分かる。3番の方が2番の方が生育が進んでいる。

 


田植え1か月目の管理

2017年07月03日 | 日記

右から3番、4番、5番、6番、7番、8番、9番、奥に12番、その上が2番

田植え一か月後でその年の稲作は定まる。この時の田んぼの土壌の状態で、その後の管理が決めればいいと考えている。田んぼ中を歩いてみる。土を握り触ってみる。その感覚でその年の土壌の状態が分かるように感覚を磨く努力をする。1、歩いて見て田んぼの深さはどこまで深くなっているか。2、泥の粘着度はどうか。3、表層のトロトロ層はどうなっているか。4、泡の沸き具合いはどの程度か。泡の匂いは。5、土の匂いはどうか。6、水口と、水尻のちがいはあるか。7、草の生えるところはどういうところか。8、藻が出るとすればどんな条件の所か。9、生育の良いところ、例年との違い。10、葉色の淡い変化でおかしなところがあれば、土壌の確認。

田んぼごとに違うのだと思うが、自分の田んぼではどういう時に良いお米が出来たかを記憶する。そして、その良い土壌のできる条件を覚えておく。

手前が11番の冬水田んぼ、その上が里地里山の10番田んぼ奥に9番と、8番と7番。さらに奥が12番と2番 田植え直後が13番、14番の岡本田んぼ

田植え一ヵ月までが停滞気味であるか、順調な生育であるかを判断する。苗が良かったのに、停滞気味であれば、土壌に土壌分析でわかるような問題がある場合も多いい。リン不足の経験が多いい。冬の間の土壌の管理状態の是非を再考する。今年は田植え3週前にソバカスを撒いた。これが初期生育に好結果となっている。良い生育であれば、その理由を考えてみる。秋起こし、藁の状態、緑肥、堆肥、天候。苗が重要という事は一か月後によく表れてくる。1か月後に分げつが充分でない理由は、水温、日照、肥料分、が苗に直接的に作用している。水温が低ければ、水尻は良いはずだ。日照不足であれば、全体的に生育の遅れが生じている。肥料分が足りなければ、葉色が浅い。いずれにしても株をよく触ってみる。握って硬さを確認する。葉が厚ければ、握ってゴワゴワする。シナシナするようではすべてに良くない。有機栽培であれば、初期生育が遅れるという事が言われるが、そういうことは全くない。苗作りが失敗しているか、土壌が悪いかである。そもそも有機農業だから収量が少ないなどという事は、全くない。

冬水田んぼ、田植え直後とは水の状態がまるで変ってきている。

有機農業技術は自然に従い、判断してゆく、柔軟さと研究が必要という点で、体験的な蓄積が必要。有機農業の方が、手間がかかることは確かだ。水管理もその日その日で変えてゆくほどの細やかさが必要になる。そして天候の影響を強く受ける。その年の天候の読みも必要になる。1月目の稲は分げつが平均で10本に達していれば安心である。あと3週間で6月20日で20本分げつを目指す。葉は9枚目前後が出ている。分げつも3回目が出始めたころだ。その株が、扇のように広がり開帳型であってほしい。握ってすすきのような硬いイネであってほしい。田んぼを歩けば根が切れるようなブチブチ感がある。根が田んぼ全体に広がり始めている。この時期にはヒエが出るなら出始める。見つけ次第取り除く。今は一本のヒエも出ていない。取り除くことは可能な雑草だ。コナギに集中するようにしなければ、性格の違うコナギの駆除ができない。コナギの性質が分かれば対応ができるのだが。これがなかなか手ごわい。

里地里山の田んぼ 一本植が、右側の4本植に近づいてきている。左奥の白く見えるところは陥没して土嚢袋で補修。

コナギが無くなれば1俵増える。草が無くなれば、田んぼ作業の労働時間が半分になる。草取りを頑張るより、草を出さない努力をする。その方が作業時間は半減する。1か月までのコロガシである。コロガシを縦横2回行えば、かなりのコナギは取りさることができる。残ったコナギは7月中の拾い草程度で何とかなる。この後の課題はは穂肥をどうするかである。倒伏させずに畝取りするのが目標になる。今まで倒伏が心配だから、追肥は控えてきた。肥料と言っても糠を使う位しかないのだが、糠の緩やかな肥料の効き方が、稲の丈を伸ばしてしまい、倒伏に繋がる不安がある。しかし、穂肥を与えない栽培では最後の穂の大きさ、粒の張り具合に物足らないものがある。多分穂肥と、干し田は組み合わせ技術なのだろう。干して倒さないという事と、穂肥を与えられる土壌作り。ここからが重要な管理となる。