「ビーナス」と書くより「ヴィーナス」と書くほうが美しい感じがしますし、「ベルサイユ」と書くより「ヴェルサイユ」と書くほうが絢爛豪華なイメージが漂いますね。
また、「ベール」と書くよりも「ヴェール」と書いたほうが、神秘的な感じがするものです。
というように、カタカナ語を書くとき、アルファベットの「V」に「ヴ」を当てますが、通説では、英語の「V」に相当する発音に「ヴ」というカナを初めて当てたのは、福沢諭吉だといわれています
ご存じ1万円札の肖像にもなっている福沢諭吉は、「学問ノススメ」という本を書き、慶應義塾大学を創設した人です。
本人自ら、「ヴ」の表記は自分が発明したと語ったこともあるようです。
ところが、調べてみると、福沢諭吉よりも前に、「ヴ」を使っている人がいるのです。
まず、諭吉より200年ほど前の学者新井白石は、「東雅」という本で中国語の発音に「ヴ」という字を用いています。
ただし、白石が英語に当てたわけではなかったこともあって、諭吉が「V」の字に「ヴ」を当てはじめた、ということになったのでしょう。
少なくとも、明治時代、この「ヴ」という書き方を広めたのが諭吉であったことは確かなようです