横並びの基準日 足かせ(記事冒頭のみ)
新型コロナの影響で決算や監査が遅れているが株主総会を延期する会社は少数であるという記事。東証の調査を引用しています。
「新型コロナウイルスの感染拡大で決算や監査の業務が滞り、株主総会を延期するかどうかが焦点になっている。東京証券取引所が1日公表した定時株主総会調査では延期を検討・決定した企業はオリンパスなど1割に満たなかった。開催日を6月末の期限ギリギリまで遅らせる企業が増え、最終週の集中度は例年以上に高まる見通し。各社がそろって3月末に配当や議決権の基準日を設ける横並びの問題が新型コロナで浮き彫りになった。」
延期を決定した企業は、東芝、スカパーJSATホールディングス、日本板硝子など9社にすぎないそうです。
記事では、基準日に問題があるといっています。
「3月期決算企業は3月期末時点の株主が、議決権と配当を受け取る権利を得る。総会は基準日から3ヶ月以内に開催する必要があり、7月に遅らせると基準日も移さないといけない。その結果、3月期末の株主が、その後に売却すると配当を受け取れなくなる。延期を決定したオリンパスの担当者は「一部の株主には申し訳ない」と話す。」
昔は、有報(今と同じように決算日後3ヶ月以内提出)に利益処分計算書を記載することになっていたので、利益処分を決定する総会は決算日後3ヶ月以内に開催していたという面もあったのでしょう。総会が3ヶ月以内なら、決算日からの期間もさほど長くないので、議決権基準日を決算日にあわせておけば、わかりやすい、配当基準日も決算日までの1年間の利益を配当するという意味で決算日に合わせるのが自然だということなのでしょう。しかし、配当基準日が配当を確定させる総会決議より先に来てしまうと、基準日から総会決議までの間、配当の有無・金額が未確定のまま株式の取引が行われるわけであり、投資家には不測の損害や利益が発生する可能性があります。むしろ、記事でふれている海外の例のように、配当決議は、総会後の日付を基準日として行うようにすれば、よいのではないでしょうか。当然、配当基準日と議決権基準日は分かれることになります。
新型コロナをきっかけに、会社法や実務慣行のおかしなところをなおしてもらいたいものです。今年の対応としては、大きな見直しは無理でしょうが、国会は休んでいないので、法律で3ヶ月以内というのを、特例で1年以内にするなどすればよいのでは。
第209回 新型コロナウイルス禍における定時株主総会の開催時期、法人税の申告期限延長等(税務研究会)
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

財務諸表監査人と GHG 排出量保証業務実施者の現状 ~サステナ情報開示と GX-ETS を両睨みする「保証の担い手」の決着を~(第一生命経済研究所より)
【独自】金融庁、信金信組の検査を強化 不正融資の発覚受け人員増(共同通信より)/金融庁、組織再編を検討 「資産運用・保険監督局」新設へ(時事より)

資金配分開示、300社に倍増 1~7月、投資家目線の経営強化 成長投資や株主還元意欲(日経より)
コンサル大座談会 大手社員が赤裸々告白!《デロイト再編の狙い、BIG4超えのコンサル》(Yahooより)

フリーレント期間の法人税処理が明確化:支出ゼロでも前倒し損金算入が可能に(アゴラより)

最低賃金引き上げに中小企業向け支援施策 厚労省が一覧表を公開(ツギノジダイより)
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事